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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
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(218)悪魔の能力

「まさかこの俺が無様にも気絶状態に陥るとはよ?で、効果はどうなんだ?」


 使用人の逃亡を防ぐために個別に部屋に入れて本に飲み込ませていた為、時間は半日程度経過していたのだが蓄積されていた力としては実はそう多くない。


 そのような事実までは知識が無いので全く理解できないエルロンは、相当な力を持っていると自負している自分自身でも抗えない力を体験した事から得られた能力も相当の力がある可能性が高いと期待に胸が膨らんでいる。


 体感としては目覚めたばかりで何となくぼんやりしてしまう部分はあるが相当な力が湧き出ている感触があるので、早速能力を確認する事にしていた。


 自分自身の能力はレベルを含めて当然把握する事が出来るので、早速確認すると眉を顰める。


 把握した中では自らの力の根源である<闘術>Sはあるのだが、同時に<補強>Cが見えている。


 エルロンもギルドから正式に公開されている情報程度は把握できており、過去にミランダが苦労した既に持っている能力を無駄に補強して制御できなくする力だと理解している。


 <補強>Cのレベルよりも高い能力を持っていると・・・今回は<闘術>Sが該当するが、その能力自体の制御が極めて困難になる。


 威力だけはその名の通りに補強されて過剰に上振れされるのだが、故に全く制御が聞かずに周囲だけではなく場合によっては自らも被害を受ける事になる。


「は?」


 余りの事態に茫然として頭が真っ白になってしまうエルロンだが、このままではジリ貧になる事は間違いないので打開策を考える。


「何とか模様と能力の関連性を把握して・・・再び本を仕入れる他ねーか?」


 差し当たり周囲の散乱している本だけではなく本棚に多数ある本を捲ってはいるが、既に消えてしまっている能力を与える本と同一の本は存在していない。


 テヘランがその本の存在すら把握していなかったとはわからないので、せめて何処でこの本を手に入れたのか知る事が出来れば改善の糸口が見つかると思ったエルロンだが・・・使用人を含めて全てが餌になり果てているので何も情報は得られない。


「クソが!こんな事ならテヘラン程度は生かしておくべきだったぜ!」


 結局この場で出来る事は何もないと理解し、テョレ町に留まる事も王国シャハに留まる事も危険だと判断したのか闇ギルドに戻る。


 過去とは異なり急いで移動しようとすると能力が過剰に補強されて上手く移動する事が出来ず、常人よりも少しだけ速い速度でしか移動する事が出来ずに鬱憤が溜まるばかり。


 やがてはこらえきれずに爆発して素のエルロンが出てくれば、自爆覚悟で復讐を果たそうとするだろう。


「忌々しいが・・・逆に考えれば、仮にこの能力を制御すれば俺は無敵になる」


 <闘術>Sに至る迄の経験がある事から、同様に修練すれば<補強>Cすら使いこなせるに違いないと確信しているエルロン。


 生活に関しては闇ギルドの手下を使えば潤沢な資金を得る事が出来るし、配下に対する楔は溢れ出る力だけで威圧可能の為に困る事は無い。


 実際に戦闘になってしまえば敗色濃厚だが、雑魚に後れを取る事など絶対に認められないエルロンの苛烈な性格が功を奏して高圧的な態度に一切の変化は無く、配下も突然力が過剰に上昇したエルロンの気配を機敏に感じ取り今まで以上に従順になっている。


 修練の場所に至っては新たに他者が侵入厳禁の閉鎖空間を作成させ、略毎日のように籠って修練しているエルロン。


 閉鎖空間で防音措置が施されているのだがそれでもエルロンが制御できない力で暴れまわっている事から振動や轟音が絶え間なく続いており、これも配下にとっては絶対に逆らってはいけない存在と認識させるに至っていた。


 一方で突然貴族会議に出席しなくなったエルロンとテヘラン侯爵なので、同調していた・・・させられていた貴族も含めて非常に大人しくなっている。


「嵐の前の静けさでなければ良いが」


 無駄な突き上げが無くなった事には安堵しながらもエルロンが大人しくしているわけがないと確信している国王サミットなので、思わず不安が口から洩れでる。


「陛下。エルロンは闇ギルドに籠り何やら修行をしているようですが、内容までは侵入できない独立空間の為に把握できておりません。しかし・・・相当な振動と轟音を把握している為、ご指摘の通りに大人しくし続ける可能性は低いでしょう」


「・・・であろうな。引き続き情報を集めてくれ」


 今では頼もしい影として活動しているスクエからの報告を聞き、どう考えてもこのまま平穏は続かないと眉を顰めながら頭を振るサミット。


 この不安は的中してしまい・・・正に自らの力を限界まで復讐に向けて酷使し続けたエルロンは、有ろう事か本来制御が不可能と認識されている<補強>による強化の影響を受けた状態で<闘術>Sを使いこなすに至ってしまった。


 Sランクに至る迄の素質に加えて絶え間ない修練を行った実績がある事に加え、勝手な逆恨みながらも復讐を成し遂げる為には自らの命もいとわない有り得ない決意と行動によるものだ。


 能力を鑑定しても表示上はSランクで維持されているのだろうが実質的にはSSランクと言って差し支えない力を有しており、相当な手ごたえを感じている。


「ははははは、能力が使えねーと少しだけビビっちまったがよ?この力があれば作戦なんて関係ねーな。あの忌々しいソルベルドの師匠とか抜かしている萎びたババァ(サルーン)も纏めて始末してやるぜ?【黄金】を軽く踏み台にして俺の時代の幕開けだ!」


 修練場から出て闇ギルド本部内で多少体を癒しており、隠すつもりも無い力の強者の波動を周囲に撒き散らしながら行動している為に情報収集にあたっていたスクエは急ぎサミットの元に戻っている。


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