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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
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(215)エルロン襲来

 一応前向きな質問だったので、エルロンは問われた効果について説明する。


「・・・確かにその通りだな。良いぜ?こいつは高濃度の爆薬だと思っておけ。大きな衝撃を加えるとこの大きさからは考えられねー程の大爆発を起こす。城の大きさを考えりゃー、何処に置こうが一つでも起動すりゃー連鎖して木っ端みじんだ」


「そ、その衝撃とはどの程度ですか?設置時にそっと置く必要があるのでしょうか?」


「んなわけあるかよ?ちょっと踏んだくらいでも何もなりゃしねーよ!」


 敢えて目の前で落として踏もうとしている仕草を見せた事から、誤爆しては身体能力の高いエルロンは助かっても自分は助からないので必死に止めるテヘラン。


「り、理解しました!承知しました。なるべく広範囲に設置させて頂きます。いくつ程設置すれば宜しいでしょうか?」


「正直王城にいる連中に興味はねーからな。騒動が起こりゃー王族に連なる連中は対処にかかりっきりになんだろ?偽善者の【黄金】共も中途半端にかかわってくるはずだからよ?その混乱時に連中を血祭りにあげんだよ!」


 テヘランとしては望んだ回答を一切得られていないがこれ以上の刺激はまずいと思ったのか口を噤むと、玉を渡す為かエルロンが入室してくる。


「・・・・・・・」


 その姿をボーっと見ているテヘランだが、やがて例の書籍の近くにエルロンが近づいた際にそのまま消えてくれれば万事収まるのではないかと思い至る。


 思わず一瞬表情に出てしまったのかエルロンが少々訝しみながら周囲の書籍を足で壁に蹴りつけると、その態度に怯えたテヘランの姿を見て何かを問いかける事はしなかった。


 やがて最後の使用人が消えた程度の位置にエルロンが近づくと、一瞬でエルロンは離脱する。


「あ?テメー・・・何をしやがった?」


 流石は元Sランカーで、詳細が不明ながらも何らかの危険を本能で察知して退避した。


「わ、私にも何が何だか・・・」


 これ以外には何も言い様がないのだが、当のエルロンはそうは思わない。


 赤い目がより怒りにより血走っており、それだけで心臓が止まりそうなほどの恐怖を感じているが説明できる事は何も無いテヘラン侯爵。


「ほ、本当に何も分からないのです!その書籍に何かしらの原因がありそうですが、私が見た段階では模様しか見えませんでした!その後に使用人が書籍に近接した段階で消えてしまったのです!」


 これだけ怯えている姿の為に今更嘘はつかないだろうと言う思いと、とある情報を得ていた事から書籍に人が飲まれるような事象に興味があった事で一先ず即座にテヘランに対して攻撃する事はしないエルロンだが・・・テヘラン侯爵がこのまま無事かと言われるとそのような事は無い。


「俄かには信じられねーがよ?仮にその不思議な内容が事実であれば今回は見逃してやるぜ?」


「ほ、本当ですか?ありがとうございます!」


「礼には及ばねーよ。早速テメーがこっちに来い!当然その本の上を通過するんだぜ?」


「え?」


 本に近接すれば消えてしまうと言う事実を証明する為にテヘラン自身を実験台にしようとしており、言われたテヘランは慌てる。


「エルロン様!わ、私がいなくなると王城にその玉を仕掛ける事が出来なくなるのではないですか?」


「問題ねーよ。貴族共の手駒はテメーだけじゃねーからな。オラ!グズグズしてねーで早く来い!さっさとしねーと、俺の我慢も限界になるぜ?」


 長くSランカーとして活動し今では闇ギルドまで手中に収めている事から一般的に手に入る情報以上の知識を持っているエルロンは、今の話しの中で模様しか書いていない書籍について思い当たる事があった。


 その情報はある程度近接してきた生物を瞬時に吸収してある程度の力を蓄積すると特殊な能力を授けてくれる品がある事だが、正直相当眉唾で信用していなかった。


 ところがその情報通りの事象が起きたと目の前の手駒が伝えてくるので、本当に人が消えるのであれば能力を与えてくれる部分も事実だろうとはやる気持ちを抑えている。


 相当信頼性に劣る情報だと思っていた為に詳細を得る事はしておらず、辛うじて思い出せるのは能力を与えた直後にその本は消滅する所と模様に応じた能力を得られる部分だけ。


 与えられた人物がどのようなリスクを負うのか、そもそも対象の人物はどのように選定されるのか一切分からない状況だ。


 未だに恐怖から即行動できないテヘラン侯爵を見ながら、こんな事ならばもう少ししっかりと情報を得ておくべきだったと今更ながら思っているエルロン。


「チッ、そもそも俺がここまで追い詰められるとは思っていなかったからな。新たな能力の必要性を感じていなかった部分が仇になっちまった」


 愚痴を零しながらも成り行きを見守っており、未だ椅子から立ち上がらないテヘランに業を煮やしている。


 ここから攻撃する事は可能だがその攻撃によって受けた傷で動けなくなってしまった場合にはそれ以上何もできる事は無く、寧ろ目的を達成できなくなる可能性が高い。


「クソ雑魚が・・・オイ!テメーが無事にここまで来られりゃー、今後の作戦については不参加を認めてやる!ついでにある程度の報酬も渡してやるぜ?どうせさっさと逃げだしてーんだろ?」


 敢えて餌をぶら下げる事で行動を促す方向に舵を切っており、テヘランとしてはどの道最悪の結末が避けられないのであれば餌に飛びつく他ないと覚悟を決める。


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