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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
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(214)不思議な現象

 ギルドに対して良い思いがないばかりか、国王に対しても機会があれば反逆する気持ちを持ち続けていたテヘラン侯爵。


 それが可能な権力と財力を持ち合わせている自負があるのだが、戦力だけは不足していると認識していた為に暫く大人しくしていた所で思わぬところから援軍(エルロン)が来たのでホイホイ話しに乗ってしまった。


 エルロン自身を相当甘く見積もっていたことは否定できず、味方すら容赦なく食い殺せる異常者なのだと理解した頃には既に抜け出せない所まで来ていた。


 自らを食い荒らす害虫から身を守る為に書籍を読み漁っていた所で、とある書籍を投げつけた使用人が忽然と目の前から姿を消した。


「・・・おい、おい!!ネバガ!!何をふざけているのだ?」


 ギルドにいる【黄金】にエルロンからの命令によって出頭を伝えてきた使用人ネバガを呼んでいるのだが、一切反応は無い。


「フン・・・忌々しい事ばかりが起こる」


 最早冷静に物事を受け止められるほどの余裕がないのか超常現象とも言える自体が目の前で起こっても慌てる事だけは無くなっており、乱雑になってしまった部屋を片付ける為に他の使用人を複数呼びつける。


「誰かいるか!!直に来い!」


 三人程この場に来るとテヘラン侯爵から書籍の片づけを命じられ、怒りの声が聞こえた直度であった事から多少身構えていた使用人達はこの程度であれば通常業務の一環である為に普通に仕事に取り掛かる。


 三人が部屋中に散らばった書籍をある程度持ち本棚に戻しているので個別行動となっており、その姿をボーっと見ているテヘラン侯爵は例の書籍に近接した瞬間に再び突如として使用人が消えた事を目撃する。


「!?」


 驚きながらどのように対処するのかを考えているのだが、他の使用人は只管片付けを行っている為に一人が消えても気が付かないまま・・・追加で一人が消える。


 ここまでくれば例の書籍が何らかの異常を引き起こしている事は間違いなく、恐らく近接した段階で消え去ってしまう事だけは理解した。


 だからと言って最後に残っている使用人に対してその旨を伝える様なお人よしではない為、何とか部屋の中央付近に置いてある書籍を棚に戻してほしい気持ちから成り行きを見守っている。


 消えてしまう範囲はまだ確定ではないながらも、ある程度の範囲に入った瞬間に消えてしまうと考えると部屋から出る事が難しく・・・窓から飛び降りる他なくなる。


 そうこうしている内に例の書籍が部屋の中央部分に陣取っているまま最後の一人も消えてしまい、どう対処すべきか悩んでいると・・・最大の元凶が前ブレなく現れる。


「おい・・・あのクソ野郎共(黄金)には指示通り伝えたのだろうな?」


 扉近くにエルロンが見えており、相当散乱している部屋を視界に入れているはずがその辺りには一切興味がないのか何の反応も見せずにテヘラン侯爵に問い掛けている。


「ご命令通りにしましたが、実際に伝えた使用人によればかなり高い確率で無視されるとの事でした」


 最早どちらの爵位が上かわからない態度だが、貴族と言う仮初の仮面を脱ぎ捨ててしまったエルロンに逆らえるわけも無い。


「はっ、そうかよ。事前予想の通りだがよ?仮に出頭してくりゃー半年程度痛めつける程度で勘弁してやったんだがな」


 余計なリスクを背負わずに怨敵を甚振れる方法を試していたのだが達成できる可能性は限りなく低いと理解しており、目的が達成できないと言われても落ち込む事は無い。


「結果的に、改めて俺と言う存在をしっかりと認識させる必要があるって事だな」


 予め捕縛は無いだろうと思っていたので町だけではなく国家も潰してやろうとの意気込みで準備をしていた為、過去に使っていた棒の他にもある程度の品質になっているグローブや暗記も装備しているエルロン。


 いくら本能から破壊行動を起こそうとしていても真正面から【黄金】一行に向かう程バカではなく、最悪は国家とも敵対する事になる為に早い段階で劣勢になる可能性があると思いテヘラン侯爵同様に他の貴族にも相当な脅しをかけて騒動を起こすように命じていた。


 監視としては自らの配下である闇ギルドを使っており、弱みを握られてしまった貴族程忠実にエルロンの命令を実行する為にその時を待っている。


 【黄金】一行に難癖をつけて能力鑑定を行わせる事に賛成した貴族が該当しており、全員が激しく後悔しているのだが時すでに遅い。


 少し前にあまりにもエルロンが暴走していると苦言を呈した勇気ある貴族がいたのだが、翌日には邸宅が見るも無残に破壊されて一族も消え去っていた。


 証拠は一切残っていないがどう考えてもエルロンが何かしたのは間違いないので、コレを切っ掛けに誰一人としてエルロンに逆らう事は無くなった。


「テヘラン。お前には次の仕事を与える。王城に向かってこいつを見えない位置に複数設置して来い」


 手に持っているのは小さい玉に見えるが何の変哲も無い玉であるはずがなく、反射的に効果を聞いてしまう。


「その玉はどのような効果があるのでしょうか?」


「あぁ?随分と偉そうじゃねーかよ?テメーで試すか?」


 この時点で碌な効果ではない事は確定するのだが、仮に設置した瞬間に近辺に毒でも撒き散らす道具であれば自分自身が助からないので何とか交渉を続ける。


「め、滅相もありませんが・・・効果を知っていた方がより有効な場所に設置できると思った次第です」


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