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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
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(211)改善と改悪

 ドロデスの提言・・・初心に立ち返る意味でも難易度の異常に低い依頼を許可が出れば受注する事について異論はない他の面々は、周囲の状況を確認して少しだけ気が楽になっている。


 いくら酔っぱらっていても相当有名になっている【黄金】一行が初心者冒険者の行うような依頼を日々大量にこなしているのは視界に入るので、多少意識が戻った際に改めてその様子を見た冒険者が他の冒険者に伝え・・・が拡大し、申し訳ない気持ちが芽生えていた。


 プロト連合国所属の冒険者達は大多数が本来真面目な人々であり、そこを裏からエルロンが闇ギルドを使って荒らした事で現状に至っていた。


 つまり・・・【黄金】がいる以上裏ギルドが暗躍する事も出来ない状態で素の状態に戻れば、目覚める可能性が高かった。


 ついでに言えば金銭が底をつき始めていたので飲みたくても飲めない事情があった事も功を奏し、少し前から素面の面々が増えている。


「丁度良い具合じゃねーかよ?お前等良く聞け!」


 裏ギルド云々については全く理解していないドロデスだが冒険者の目に力が戻っている事を把握したので、依頼によって得られる報酬について全てを分配する事を告げるために声を張り上げている。


 その近くでスロノはミランダに私見を告げる。


「ミランダさん。なんだか無駄に教育やらをしなくても良さそうですね。ちょっと想定外でしたけれど、何故あれ程荒れてしまったのですかね?ここに初めて来た時にも同じことを言いましたけどね」


「うーん、難しいわね。繰り返しになるけれど、依頼が上手く行かなかったり私的に何かあったりすることはあるとは思うわ。だけど全員が全く同じ状況になるとは考え辛いわね。でも結果的には解決しそうじゃない?」


 ミランダとスロノが互いの意見をぶつけている頃、ドロデスの熱い指導が根は真面目な冒険者達に響いたのか次々と受付に向かい何かを話している。


「あれ?ミランダさん。ドロデスさんが一発解決したかもしれませんよ?」


 ドロデスの演説を全く聞いていなかったスロノだが、目の前の人々の行動を見ればこのギルドは改善方向に向かったと理解する事が出来る。


「うーい、これで終わりだと思うぜ?だがよ、全員が戻ったわけじゃねーからな。あと数日様子見だけして戻ろうぜ?」


「その間、私達は依頼を受けずにいるのよね?勘が鈍っているかもしれない人がいると思うからそのフォローで良いかしら?」


「ミランダの言う通りで良いと思うぜ?スロノはどうだ?」


「僕も賛成です!」


 思った以上に逆転の発想が功を奏したと【黄金】や受付ですら思っているのだが、実際には今回の騒動は【黄金】一行をテョレ町から遠ざける為だけに実行されていたので成るべくして成った結果だ。


 そんな事は分からない一行は実力が落ちている可能性が高い冒険者のフォローの為に数日帰還を延ばし、未だに酒が抜けきっていない面々も復活し始めた事を確認して受付に依頼達成だと告げようとしたのだが・・・


「【黄金】の皆さん!至急テョレ町に戻ってください!ギルドマスターから大至急帰還する様に連絡が来ています」


 予想以上に成果が出たと喜びながら帰還する旨伝えようとしたのだが、慌てた受付によってテョレ町に異常事態が起こっている事を知る。


 【黄金】一行は依頼達成のサインを貰わなければ報酬を得られない事を理解しているのだが、そんな事はどうでも良いとばかりに全員が一気にギルドを出て行く。


 プロト連合国のギルドが荒れていたのはエルロンが【黄金】一行をテョレ町から遠ざけるために行っていただけなので予想外に結果が出ているのだが、まんまと掌の上で転がされた形になったとは気が付かずに急ぎ戻る。


「シャール!どうした?」


 休憩なしで一気に戻った【黄金】は直にギルドマスターのシャールと面談しており、実は面談前にロビーで冒険者の様子を見ただけで異常な状態だと言う事だけは理解していた。


「すまないな。【黄金】一行が向こうに行って直ぐに依頼達成率が一気に悪化した。中には外敵によって命を散らせてしまった人物も相応にいる」


「だろうな。通常じゃない事は見ればわかるぜ?」


「ドロデス達が戻ってくる前に当然こちらでも色々と裏から調査を入れた。その結果、冒険者達の達成率減少だけではなく死亡率が上昇したのには理由がある事が判明した。何やら突然能力が使えなくなった状況に陥る事が相当あり、場合によっては第三者が攻撃してくることもあったようだ」


「・・・で、その第三者ってーのは誰だ?」


「ここはしっかりと追跡する事は出来ないので推測の域を出ないが、エルロン男爵の息がかかっている者だろう。それと能力が使えなくなった事に関して言えば、過去に少々もめた伯爵の子息二人がいただろう?」


「あぁ、いたな。能力を使えなくする道具を持っていた・・・!?まさかそいつがしでかしていたのか?」


「状況的にそうとしか言いようがない」


「クソ野郎どもが。俺がしっかりと調教(・・)してやるぜ?」


 黙って二人の話しを聞いているスロノやミランダも、エルロンに関しては別だが伯爵子息二人・・・ブラコッテとムーランに関してはドロデスの強烈な指導は止むを得ないと思っている。


 今のドロデスの勢いであれば最低でも後遺症の残る痛み、最悪は死亡してしまう程の指導が入る事は間違いないのだが、冒険者の命を奪う行動を行っている以上は仕方がない。


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