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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
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(205)鑑定へ①

 スロノは現時点で認定されている他のSランカーとは異なり、唯一ギルドの鑑定によってSランカー認定されている。


 つまり過去と言えない程・・・直近にギルドで鑑定を受けた経験があるので、今回改めて呼び出されて再鑑定されても全く問題ないと言い切った。


 ドロデス達にしてみればその当時と比べて何かしら特殊な能力を得た可能性について心配になっているのだが、当人が大丈夫だと言い切っている以上はそこまでだと話題を鑑定から他に移す。


「シャール。間違いなくあのクソエルロンは俺達の能力を公開しやがるだろうが、別に今更知られても問題ねーと思っている。だがその後の動きがどう考えても分からねー。ユリード子爵もそこまでの情報は持っちゃいねーからな。お前はどうだ?」


「正直に言って貴族としての行動を俺達冒険者ギルドが把握するのはかなり厳しい。不可能と言っていいだろう。想像の範囲だが、能力が開示された内容がエルロンにとって何かしら納得できないのであれば・・・【黄金】をこの町から追い出す方向に動くだろうな」


「だよな。サミット国王はエルロンと反目する立ち位置らしいからよ?ここで対峙するよりも他国で俺達と対峙した方がエルロンとしても敵が少なくて都合が良いだろうからな」


 具体的にどう対峙してくるのかは全く分からないが、シャールの予想は高い確率で正しいだろうと思っているドロデス。


「ドロデスさん?今後が心配になるのは分かるけど結局想像の域を出ないでしょ?先ずは面倒な鑑定をさっさと済ませて、そこから考えましょうよ?」


 スロノ程ではないが王侯貴族間の動きについては理解したくもないしするつもりもないミランダがこう告げると、同じ感性を持つメンバーなので誰からも異存が出ずにギルドマスターのシャールとの会話は終了となる。


「とりあえず鑑定の件は了解したと伝えてくれ。俺達は逃げも隠れもしねーからな。あのクソエルロンみてーによ!」


 最後に本心から思った事を告げてギルドを後にし、簡単・・・とは言っても他の冒険者にとっては非常に厳しい依頼を即座に済ませて納品すると再びシャールに呼ばれる。


「急で申し訳ないが、【黄金】はこれから時間を貰えるか?」


 この一言だけで具体的に内容を聞かず共、今日これから、正に今から鑑定を実施するのだと正しく判断したドロデス達。


「・・・おいおい、今日の今日かよ?まぁ俺達は構わねーが、随分とせっかちな野郎だな?余裕がねーのか?」


「きっと私達が何かしらの対策を行うのを防ごうとしているのよ。あのエルロンは意外と強かだと考えを改める必要があるわ」


 過去のエルロンとは異なって武力衝突で明確な敗北もあった事から考えを改めて搦手まで使うようになったと思っているミランダは、貴族としての立ち位置まで利用してきた事実があるので武力以外の危険性にも注意する必要があると告げる。


「確かに俺もその通りだと思います。正直権力を使ったアレコレについては良く分かりませんけど、注意するに越したことはないですよね?」


 スロノも軽く同意しつつ、シャールに案内されるまま馬車に乗り込んで移動している。


 誰一人として悲壮感はないし焦る様子もないのだが、只管面倒だと言う気持ちが表情に出てしまっている。


「・・・まさかの王城かよ?」


 目的地が王城であった事から少々驚きを隠せないドロデスだが、貴族としてのクレームまがいの進言によって行われる鑑定なのでギルドで実施しなかった時点でこうなると思っていたギルドマスターのシャールはドロデスの肩を軽く叩く。


「当然そうなるだろう?エルロンが貴族として動いた結果だからな。当然今回の鑑定の場で最も気を付ける必要があるのは誰なのか・・・分かっているな?」


「あぁ。そこは聞いているぜ。エルロンのクソ野郎と同じ穴の狢のテヘラン侯爵だよな?どうせこいつも侯爵とは名ばかりのクソ野郎だろ?」


 誰からの情報なのかは口にせず共ユリード子爵からなのは問いかけたシャールも理解しており、敵側にエルロンがいる以上は何処で情報が抜かれるのか分からないので具体的な情報源については一切口にしない。


 今の会話を拾われている前提で互いが話しているのだが、エルロンやテヘラン侯爵に対する敬意は微塵もないので少しこき下ろす様な物言いになっている。


 話しながらも先導する騎士に連れられ、とある部屋に入って行く【黄金】とギルドマスターのシャール。


 扉が開くと両端に一目で貴族と分かる面々が並んでおり、そこにはエルロンやユリード子爵だけではなくエルロンの手駒になっている若手二人の伯爵子息も見える。


 【黄金】やシャールも貴族に対しては面識があまりないので敵の筆頭がテヘラン侯爵と知りながらも、当人の顔すら知らないので間違いなくこの場にはいるのだろうが誰が該当するのかは分からない。


 敵意によって判断しようにも、半数近くからその気配を感じているので正直呆れている。


「よく来てくれた、【黄金】とシャール。此度は聞いているだろうが、Sランカーに登録した<魔術>と<収納>を持つスロノ、そして多大な貢献をしている他の【黄金】の能力鑑定を実施する。この場を仕切るのは余ではなくそこにいるテヘラン侯爵が行う」


 今回の鑑定について異を唱え続けていた国王サミットは、明確な敵を認識させるために敢えてこう告げると視線をテヘランに向ける。


「・・・わかりました。ではそこの【黄金】一行。お前達には鑑定を受けてもらう。数々の功績は聞いているが一部能力と成果が合致していない部分もあるので、国家繁栄の為にしっかりとその辺りを把握しておく必要があるのでな」


 Sランカー以外の能力について公開の義務がない中で強制的に鑑定すると言っているので、ドロデスはテヘラン達の真の意図を理解している事もあって平然とこう告げた。


「そんな事は分かって来ているんだよ。時間がもったいねーから早くしてくれや?」


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