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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
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(198)暫くの休息②

 どのパーティーだとしてもSランカーに文句をつける身の程知らずなど存在しないだろうと思っているミランダは、初めて行くパーティーで雰囲気も何も分からないがスロノと共に向かう事にした。


 ギルドに登録されている冒険者故の制約・・・武器のメンテナンスを行えなくなる制約や定期的な報酬を受け取れなく制約を無視すれば、容赦なく一国を滅ぼせる戦力を持っていると認識されているSランカー。


 エルロンの様に傍若無人に振舞った挙句に資格を剥奪される方が極めて稀で、ある意味冒険者ギルドに所属している冒険者と言う枠があるからこそのSランカーであるし、それ故に完全に制御できていると大多数の人々には思われている。


 現時点で現役のSランカーであれば人格も兼ね備えているのでエルロンの時の様な大惨事にはなり得ないが、制約がある為に多少無理を言っても問題はないと思ってしまう特権階級が存在するのもまた事実。


 それが例え、為政者である国王サミットが統治する国であったとしても・・・だ。


 翌日はある程度復活したドロデス達と軽い指名依頼をこなし、全員で食事をしている。


「ドロデスさん達。私とスロノ君は明日の夕方からパーティーに参加するつもりなので、夕食は別になるわ。依頼も早めに終われる依頼にしたいの。良いかしら?」


「んぁ?まぁ、良いも悪いもねーだろ?今回の一件が相当厳しかったのを理解してくれたのか、シャールの方で依頼もある程度捌いてもらえているみてーだからよ?行って来ると良いぜ。スロノもいよいよ社交界にデビューかよ?」


「確かにデビューですけど、今更ながら緊張してきましたよ。そうだ!服装はどうしましょうか?」


「大丈夫よ、スロノ君。私、正直普段着以外で行った事は一度も無いわ。スロノ君はSランカーだから、立場もあるし気にしなくても大丈夫だと思うわよ」


「そうだぜスロノ。ある意味今のスロノは冒険者の代表みてーなもんだからよ?堂々と上手い飯を食って来いよ?」


 冒険者の代表であればそれなりの態度で臨めと言われるのかと思いきや、美味しい食事を食べてこいと言われて肩の力が抜けるスロノ。


「ありがとうございます、ドロデスさん。そうしますね」


「おう、是非そうしろ。俺達もミランダと一度だけ参加したがよ?飯と酒はかなりの上物だったぜ?正直に言うと、俺達には煌びやかすぎて目がチカチカするからもう行くつもりはねーが、その辺りは夫々の感性だからよ」


 ドロデス達の性格であれば、着飾った人々がやけにお上品に食事をするような場の雰囲気が楽しいとは思えないが、テーブルに並べられている食事、飲み物に関しては貴族としてのメンツがあるのか相当な品であり、そこだけはお気に召した様だ。


「そうよ、スロノ君。正直に言って私も少し場違いと思う時もあるけれど、あの美味しい食事ならば気にならないのよ!」


 色気よりも食い気か?と思いながらミランダの話を聞きつつも、敢えて着たことも無い様な服を準備する必要も無いと肩の荷が下りたスロノ。


 翌日の依頼は事前に決めていた通りに早く終わる依頼であり、昼過ぎには既にギルドに達成報告をして寛いでいる【黄金】一行。


「じゃあよ!俺達は反省会でもしているから、楽しんで来いよ?」


 反省会と言っても寡黙なジャレードとオウビと酒を飲むだけなのは、スロノもミランダも良く分かっている。


 依頼を達成して報告後、【黄金】にしてみれば特に難易度が高い依頼ではなかったので体が汚れている訳も無く、そのままテクテクと招待状に記載の有った邸宅に向かう二人。


 多少距離があろうが、能力を使えば疲労を感じる事なく到着する事が出来る。


「いらっしゃいませ。招待状・・・ミランダ様とスロノ様ですね。どうぞこちらへ」


 邸宅の前に陣取っていた門番らしき人物が招待状の提示を求めようとしたのだが、テョレ町で相当有名になっているミランダと、同じくSランカーとして有名になったスロノなので提示を求められる事なく案内される。


 テョレ町に拠点を置いている貴族がテョレ町を統治している貴族かと言うとそのようなわけも無く、中にはその地の名産を楽しむ為や避暑地、行楽地として楽しみたい為にその地を治める貴族の許可の上で邸宅を構えている場合がある。


 今回招待を受けた貴族は何れにも該当せず、何処にも領地を持たない低位貴族と言われている存在ではあるが、他国にもその名を轟かせている【黄金】やSランカーに突如として名を上げ【黄金】の一員となったスロノと顔を繋ぎたいと必死になっていた。


「おぉ!お待ちしていました!!どうぞこちらへ」


 低位貴族であるが故に資金が潤沢ではなく、他の貴族と比べて無駄に着飾るような事も煌びやかな部屋も無い事で逆に好印象を持っているスロノとミランダは、案内されるままについて行く。


「この度は、当ユリード子爵家のパーティーに参加いただきましてありがとうございます。お口に合うかわかりませんが各種料理も準備させておりますので、どうぞお楽しみください!」


 貴族なのに相当低姿勢だなと思いつつ、案内されたホールに到着したスロノとミランダ。


 ミランダは他の貴族のパーティーにも結構顔を出しているので、ホールの広さ、招待客の多さ、料理の種類、その全てが単純に比較すると劣るのは分かるのだが、ユリード子爵本人の人柄なのか温かい雰囲気を感じるので嬉しそうにしている。


 スロノは初参加の為に嬉しそうにキョロキョロし、ミランダに笑われる。


「スロノ君!私も最初はそうだったけど、料理は逃げないわよ。落ち着きましょう!Sランカー!」


 意識せずに挙動不審になっていたので恥ずかしそうに頬をかきつつも、一人では料理をどのように食べれば良いのかすら分からないので、ミランダの後ろについて行く形で料理を取りに行く。


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