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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆


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(197)暫くの休息①

 スロノの記憶によれば、出会った当初は仲間から切られて相当落ち込み、そこを救ったスロノをこっぴどく裏切って見せたリノなのだが、本人の言葉通りに本当に生まれ変わって真剣に行動しているように見えた。


 だからと言ってスロノが何かを援助したり、能力を付与したりすることは絶対にないのだが、良い変化だと去っていくリノを含めた【飛燕】を見送っている。


「スロノ君。余計なことかもしれないけど、人はそう簡単には変われないのよ?情報によればあの娘(リノ)はエルロンに拉致されたらしいので、そこで大きな心境の変化があったのかもしれないわ。だからと言って、今後もその態度を維持で・・・」


 万が一にもスロノが手を差し伸べた挙句に再び裏切っては目も当てられないと、正直な気持ちを伝えるミランダだが、その心配は杞憂だった。


「大丈夫ですよ。少し前、謝罪の後に俺の悪口を言っているのを聞きましたし、嫌と言う程色々経験しましたから。これもドロデスさん曰く人生に厚みを持たせる経験でしょうかね?それよりも、ミランダさんの方こそ大丈夫ですか?【飛燕】のあの三人はアレだけの事をしておいて・・・相当面の皮が厚いようですから、今後も接触があるかもしれませんよ?」


「そうなのよね。テョレ町まで来る位だから、絶対に今後も面倒な事になるとは思うわ。でも、相手にしなければ良いのよ!」


 能力のレベルも大きく異なりギルドからの信頼度も比較するのもバカバカしい程の差があるので、危険な存在になり得ない上に完全に赤の他人との認識の為に、今回エルロンがリノをスロノの弱みとして拉致した様な存在価値すら無いと思っているミランダ。


 スロノに関してはリノが再び同じように人質になったらどうなるのだろうかと若干心配になりつつも、その時はスロノの好きに行動させようと割り切ってこの話題を変えるべく話し始める。


「そうそう、スロノ君?新たに【黄金】に加入してから私的な話をする時間が無かったでしょ?ドロデスさん達について知らないと思うので伝えておくけれど、実はあの三人、家族がいるのよ?知っていた?」


「!?・・・えっ、ちょっと俺としては衝撃的なのですが。あの埋めたがりのドロデスさんや、言葉を発しないジャレードさんとオウビさんがですよね?」


「うふふ、そうなのよ。三人共ちっちゃい子供もいるわよ?普段は忙しく活動してテョレ町の宿を拠点としているけど、実は他の町に家族がしっかりといるの。今回の騒動も落ち着いたから、あの三人の疲れが取れたら向かってみない?」


 ミランダの目的の通りに話題を変える事に成功したのだが、スロノにしてみれば予想すらしていない情報を開示されて面食らっており、目的以上の成果を出している。


「それは楽しみですけど、家族がいるのにあれほど無理をしていたと言う事ですよね?」


「そこは正直そうね。私も以前三人の家族と話をしたけど、そこも含めて冒険者として活動している以上、支え抜くって言っていたわ。凄いわよね」


 思った以上に覚悟を持った家族なのだなと思いつつ、自分もそのような相手が見つかるのだろうかと少しだけ不安になっている。


 表情に出てしまったのか、ミランダが苦笑いをしながらこう告げた。


「スロノ君?貴方はまだ心配するような年齢じゃないわよ!どちらかと言うと、私の方がもっと切羽詰まっているのだから。もう少し肉食っぽく強引に行こうかしら?どう思う?」


 スロノの不安を解消する意図もあったのだろうが、どう?と言われてもどのように答えるのが正解か全く分からず、答えに詰まってしまったスロノ。


「えっと、その・・・」


「あははは、ごめんねスロノ君。困らせちゃったわね。私は大丈夫よ。正直一人でも生きていけるつもりだし、それ程困っている訳じゃないの。立場もあるからでしょうけど、結構人気物なのよ?」


 改めて言われてみれば未だにチラチラと視線を向けている男性が多数いるので、ミランダの宣言通りに立場に肖りたいと思っている存在もいるだろうが、別格の力を持つ上に相当美人のミランダなので、恋愛感情で視線を向けている存在もいるだろうと理解したスロノ。


「それでね?最近は貴族のパーティーにも時間の都合が付けば、稀にだけど顔を出しているの。最初はギルドマスターからお願いされて嫌々行ったけど、パーティーによっては凄く楽しいのよ!そうだ!今度一緒に行かない?」


 スロノは貴族が主催するパーティーに出た事はないのだが、Sランカーとして登録された以上は絶対に誘いが来る。


 参加するか否かは個人の判断に委ねられ、Sランカーに対して強制的に参加を促す様な行動を取れる人物は稀だ。


 ミランダは、テョレ町を管轄する王国シャハの貴族達には【黄金】に所属して実績を出している以上一目置かれており、直接知り合いになり仲を深めておけば万が一の際に助力をもらえると言う気持ちもあるのか、相当な頻度でパーティーの招待状を送られている。


 残念ながら個人、パーティーとしても購入した固定の拠点がある訳ではない上にしょっちゅう依頼で不在になる事から、ギルドに山の様に招待状が届き・・・嫌気がさしたギルドマスターのシャールによって、一度パーティーに出るようにお願いされていた。


 ミランダが貴族のパーティーに初めて出席すると言う事で男性陣三人も不測の事態に備えるために同行したのだが、同じように自らのお願いによってトラブルが起きるのを防ぐためにシャールも会場にいたおかげかトラブルなく楽しく過ごし、それ以降は特にパーティーに魅力を感じない男性陣三人は参加していない。


「えっと、そんな偉い人達と一緒の会場にいるって、息が詰まりませんか?」


「面白い事を言うのね、スロノ君。サミット陛下とバルド陛下と直接会っているのに、今更貴族に及び腰なの?」


 言われてみればその通りなので、これもドロデスの言う良い経験か?と思い、一人ではなくミランダもいるのであればと参加を決意する。


「わかりました。一緒に行かせて頂きますけど、礼儀作法とかは壊滅的ですよ?」


「そこはきっと大丈夫よ。実は一度も行った事のないパーティーの招待状がギルドに届いていたの。雰囲気も分からないけど、スロノ君がいるなら楽しめそう!」


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