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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
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(194)対応②

 一般常識からはかけ離れた事を言っている事は理解しつつも、藁をも掴む気持ちで自らの能力についても曝け出した上で相談しているソルベルド。


 一方のスロノは、元よりサルーンには何かしらの対処をするつもりだったし、否定はされていたが惚気話ではなかった事に安堵していた。


「わかりました。俺で出来る事はやらせてもらいますよ」


「おおきに、ホンマおおきに!ワイとしては、ワイの過剰な能力を返却できればエエと思っとったんやが、ババァの話によれば条件があるようで、返却できんらしいんや」


 安堵したのか、サルーンの事を師匠ではなくババァ呼びに戻っているソルベルド。


「返却・・・ですか?あの、こんな事を言って良いのか分かりませんが、ソルベルドさんの能力を全部見せてもらっても良いですか?」


 雰囲気では確かにソルベルドから圧倒的な強者の気配を感じるのだが、返却できる状態の能力を持っているのか確認しておきたいスロノ。


「!?・・・ええで」


 この時点で<鑑定>の能力を持っていると言っているので、想像以上の存在だと理解しつつも否やはないソルベルド。


 スロノもソルベルドの一瞬の驚きを見て新たな能力を持っていると告げてしまったと気が付いたのだが、今更の上に信頼できる人物なので問題ないと気持ちを切り替えて<鑑定>を発動する。


 確かに<槍術>がレベルS Sになっているのを確認して一般的な能力の上限はレベルSではないと理解したのだが、同時に<補強>Eも当然のように見つけてしまう。


 ミランダがこの能力を発現したせいで相当苦労していた事を思い出して渋い顔になってしまうスロノと、その表情を見て一気に不安になるソルベルドとミュー。


「スロノはん。何かあったんやろか?ワイの能力を返却できんのか?」


「スロノ様。何か不都合がありましたでしょうか?」


 二人ほぼ同時に同じような事を言ってきたので、慌てて否定するスロノ。


「い、いいえ。大丈夫ですが・・・ソルベルドさん。他の能力について聞かせて頂いても大丈夫ですか?」


 敢えて能力の名前は明言しないが、どう考えても<補強>Eの事を言っているのは分かるので、首肯するソルベルド。


「ホンマに見えとるようやな。隠すつもりはなかったんやが、今回の件には関係ないと思って言わんかったんや。申し訳ないと思っとる。確かにワイはラルドが何かしよって<補強>Eを付与されたんや」


「あの<補強>ですね?」


 これだけで、能力が劇的に上昇する挙句に全く制御できない能力で間違いないのか問われていると理解するソルベルド。


「そうや。そのおかげで今のワイは一般人としての行動しか出来んのや」


 ギルドの情報は、誰が発動したのかは不明だが各種能力に関する情報が収集されており、その後にその能力者がどうなったのかは自己責任なので一切の情報が無い。


 ミランダは過去にこの能力に悩まされていたのでギルドに問い合わせていたのだが、ギルドでも碌な情報が無かった事から今後の助けになればと、<補強>について理解できている部分の情報をギルドに与えていた。


 その後はスロノの力で能力を除去できているので、それ以降一切報告できることはないまま現在に至っている。


 Sランカーともなれば本部の情報も手に入れる事が出来るので、ソルベルドはシュライバに対して情報開示を求めて調査した結果、能力が暴走すると言う自らが感じた事実と同じ情報を得て愕然としていた。


 この能力が備わった時点で、今持ち得ている全ての能力が全く使えなくなるのだから・・・


「ホナ、スロノはん。何やったら、ワイの能力全てをババァに戻して貰ってもかまへんで。どの道ワイが持っとっても宝の持ち腐れやからな。なーに、ワイには<槍術>の動きが体にしみ込んどるさかい、また修練する事で能力を発現すると思うで」


 発現してもレベルが上がれば再び<補強>の餌食になるので能力は使えないのだが、敢えて問題ないと明るく言い切るソルベルド。


 その覚悟を見て、自分が能力を完全に失った事を考えると、ここまでの態度を取れるだろうかと考えてしまうスロノ。


「ワイには女神がおるさかい、能力と比べると女神の方が圧倒的に重要や。スロノはんもワイの様に素敵な・・・」


 流石のソルベルドだと心の底から感心している所で雲行きが急に怪しくなったので、割り込むスロノ。


「だ、大丈夫です。全て俺に任せてもらえますか?えっと、一つレベルが下がる・・・の表現で良いのか分かりませんが、少し前のソルベルドさんに戻るのが望みで良いですよね?」


「そうや。もちろんお礼はするし、内容は絶対に漏らさんで」


「私も誓います。宜しくお願いします、スロノ様」


 結構能力については明らかにしているので今更だし、この時点で第三者に全く能力について漏らす気配すらないので元からその部分については心配していないスロノ。


「お礼なんて不要ですし、お二人の事は信用していますから。ですが仮に能力を戻したとして、サルーンさんがまた同じ事をしませんか?」


 弟子に能力を委譲するのはサルーンの望みでもあったので、再び能力以上をされないのか聞いているスロノ。


「・・・そこは正直何とも言えんが、見るに堪えんのや。頼むで、スロノはん!」


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