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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
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(192)ギルド本部

「流石に今回はヤバかったな」


「エルロンとラルド、あの二人を見た時にダメかと思ったのはみんな同じよね?だからソルベルドさんをサルーンさんの元に残したのだから」


 人であった物体を調査した結果、角が見えた為に鬼族であるラルドだと判断され、逃亡したのはエルロンだと断定してギルド本部に戻っている一行。


 各々が勝手に話し、食事をし、疲れを癒している中で、離れた場所で話をしている二人の存在がいる。


 今回の件の感想を少し楽し気に語っているドロデスとミランダとは異なり、真剣な表情で話しているのはサルーンとソルベルド。


「ババァ。この能力・・・ワイの能力を確認したが、何やこのSSっちゅーのは。あの時に助かったのは事実やけど、一個返すで!」


「は~、バカだねぇ。このバカ弟子。コレは特殊な条件を満たして能力を譲渡できる技術さね。その制約の中には、同じ能力を持っていないといけないとあるんだよ。今のアタシは無能。返してもらいたくとも返ってこないさねぇ」


 ギリギリの状況ではノンビリ自分の能力を確認する余裕はなかったのだが、今この場ではかなりの余裕があるので<槍術>SSになっている事を把握したソルベルド。


 二つあるSを一つ返すだけだと安易に考えていたのだが、制約によって最早返却不可と聞き落ち込んでいる。


 自らの能力を確認したと言う事は<補強>Eについても把握しており、以前ミランダが同じ能力を持ちどのような状況になったのか・・・個人名は伏せながらもギルドの情報に登録されており、そこから知識を得ていたソルベルドは暴走するので能力が使えない以上は、何とかサルーンに能力を返しておきたかった。


 能力による身体強化分が全くなくなっているサルーンなので、今は歩くのも辛そうにしているのを悲しそうに見送るソルベルド。


「ソルベルド様」


 大切な話の時には敢えて距離を取って、ソルベルドが話したい事だけを話せば良いと思っているミューなので、サルーンがソルベルドから離れたのを見て寄り添っている。


 異なる場所では、Sランカー三人に捕まっているスロノがいる。


「スロノちゃん、本当に凄かったわね。まさか森の出口が分からなくなるなんて思ってもみなかったわよ!」


「私も、何故あれ程簡単にエルロンが逃亡したのかが気になっていたのですが、きっと森から出辛くなると知っていたのでしょうね。長く森に滞在していたはずですから、その辺りは嫌でも経験していたはずですね」


「その通りだ。感謝する」


「いや~、たまたまですよ。何となく出口がこっちかな?って思っただけで、偶然ですよ。でも、良かったですね?」


 自らも大森林に侵入して、魔獣から奪った<帰巣>と言う何とも言えない能力によって出口が分かったスロノだが、今更感はあるが余計な事は言わない。


「それだけじゃないじゃない?これが無かったら、正直エルロンの一撃で二度と立ち上がれなかったわよ?」


 リューリュが見せているのは、以前ソルベルドの攻撃を受けて尚生き延びる事が出来たミューの覆面と同様の品であり、能力を発動した後なのでボロボロになっているのだが、実は各自がこの品を一つ持って適切な時に発動する為に準備していた。


 各自がエルロンに勝利するのは非常に厳しいと理解していたので、一撃を食らって再起不能な傷を負った際、他の面々が気を引きつつ戦闘を継続し、その間に本来戦闘できない傷を負った面々が復活して背後からエルロンを襲う作戦を実行した。


 完全に筋書き通りかどうかは別にして、Sランカー三人を再起不能にしたと思ったエルロンは【黄金】に矛先を向け、その間にSランカーが復活して攻撃をしたのが真相だ。


 もちろんこれはリリエルの回復能力そのものが収納されている品であり、複数個持つと互いが干渉して上手く発動しない為に一度限りの品だ。


 Sランカーが攻撃を仕掛ける際に気配を悟られないよう、ドロデスは必死で煽りミランダは敢えて周囲に魔力を撒き散らす形で気配を少しでも悟られないようにしていた。


 ここまで用意周到にして尚エルロンには逃走されてしまったのだが、グローブは完全に破壊されたのは確認できているし、サルーンの情報によれば<錬金>を持っているはずのラルドは死亡しているので、補強された状態のエルロンを相手にする事は二度とないだろうと安堵している。


 相性の問題でリリエル等はかなり不利なのだが、片腕を失っている事は知らないながらも今回の経験を活かせばどうにでもなると楽観視している。


 エルロンは攻撃の際に最も厄介な能力を持つ・・・敵を復活させる事が出来る<回復>能力者の聖母リリエルを最初に狙いその考えは正しいのだが、本来最も危険な相手はスロノだった。


 そのスロノ、大森林前の戦闘後の調査でラルドの亡骸を詳しく調べている際、ちゃっかりと辛うじて残っていた<錬金>Sを入手しているのはお約束。


 あり得ないレベルの能力を手に入れて気分の良いスロノだが、やはり真剣な表情で話していたサルーンとソルベルドの事は気になっている。


 サルーンに至っては能力をラルドの呪いによって消失して尚高い戦闘能力を有し、その後に何故か能力を完全に失っていた。


 高ランクを得てからは仲間内での鑑定は極力控えているスロノなので状況は完全に把握できていないながらも、ソルベルドが以前のサルーンが放っていた気配を醸し出しているので、通常ではあり得ないが何らかの手法で能力が移譲されたと正解に辿り着いている。


 自らの能力である<収納>Exによって簡単に能力を収納・排出できる経験をしているので、この辺りの考えは非常に柔軟になっていた為だろう。


「そうなると・・・サルーンさんに身体強化系統の能力を与えるのが一番かな?」


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