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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
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(185)大森林③

 エルロンにしてみれば、今回最も重要な復讐対象である【黄金】やソルベルド以外にも、Sランカーの三人が敵である事は間違いない。


 推測ではあるが、配下からの報告を聞いた限りでは確定でSランカーも同行していると思っているエルロンとラルドなので、エルロンはサルーン以外を相手にすると明言する。


「そうか。そっちはそっちで何をしようが文句はない。俺がサルーンと対峙できればそれで良い」


「だよな。任せておけ。何度も言うがよ?俺はババァ(サルーン)以外にしか興味はねーからよ。雑魚共についてはこっちでミンチにしておくぜ」


 本来同格のSランカーが四人と新人Sランカーが一人、そしてAランカー四人を相手にする事になるので通常であれば敗戦確実なのだが、あり得ない程に強化された実力と大森林の秘策がある事から、多少は苦労するが勝利は揺るがないと思っているエルロン。


 その後再び瞑想にふけり・・・どちらともなく配下の男が伝えてきた二時間の少し前に立ち上がる。


 ラルドは配置していた魔道具によって、エルロンは相当強化された身体能力によって近接してくる覚えのある気配を感じ取っていた。


「はっ、予想通りじゃねーかよ?あの雑魚共が誰かの手を借りねー訳はねーんだよ」


 ずば抜けた身体能力があるので過去には感じ取る事の出来なかった気配すらしっかりと掴む事が出来ており、気配を消しているリューリュやリリエル、ビョーラもいる事を把握していた。


 ある意味第三者の存在に助力を願う雑魚との認識なので、エルロンの赤い目がより深い赤になり抑えていた殺気も明確に漏れ始める。


 間もなく対峙する相手に対して気配を消しても仕方がないと思っている脳筋二人なので、ラルドは自らに装備した道具によってその殺気を難なく捌きながらもエルロンの動きを阻害するような事はしないし、自らも抑えきれない気持ちを隠そうともしていない。


「エルロン、いよいよだ」


「あぁ、滾って来たぜ?【黄金】とソルベルドだけだと物足りねーと思っていた所だから、逆にありがてー」


 二人の視線は一方向に向けられており、大森林に向かっている側のメンバーはかなり遠くから発せられる殺気を漸く察知し、既にラルドとエルロンが待ち構えている事を知った。


「バカ弟子!やっぱりあいつ等は先に着いているねぇ。これが現実さねぇ」


「うっ、確かにワイの考えが甘かったのは認めるわ」


 軽い会話ではあるが、移動中ながらも感じる気配はラルドとエルロン二人だけであり、二人共に殺気を垂れ流している事から、自分達が二人を察知する前に存在を悟られていた事を悟っている。


 つまり・・・格上の存在である事を改めて明確に認識していたのだが、そんな事はこの場にいるメンバーであれば言わず共分かるので、徐々に表情が厳しくなる。


「ホンマにええんか?ミューはん。ワイは全力でミューはんを守るつもりやが、敵の能力を過小評価せんで言わせてもらえば、この戦力でも相当厳しいと思っとる」


「分かっています、ソルベルド様。ですが、私は常にソルベルド様と共に在りたいのです。足を引っ張ってしまうかもしれませんが、散る時も共に居たいのです!」


「!?・・・ミューはん!!」


 ソルベルドに抱き抱えられているミューだが、改めて優しく抱擁されている。


 流石にこれからの戦いが非常に厳しいと現実を突きつけられているので、ドロデスを始めとして同行している面々が二人の態度を突っ込む事も茶化す事もしない。


「いよったで。アレが諸悪の根源や!」


 高速で移動している以上はそう時間がかからずに対峙する事になり、ミューにもラルドとエルロンの姿が見える。


 姿が見える前から最大限の警戒を払っているのだが、視認できる状態でも攻撃する姿勢が見えないのである程度の距離を取って立ち止まる【黄金】達。


「来たな・・・サルーン。前回の様に無様に逃げるような事はするなよ?お前もわかっているだろうが、お前には前回のような力は最早ない。無様に逃走しようとすれば、全てを破壊しつくしてやる!」


「それはテメー等にも得る事だからな?【黄金】とか言うクソ雑魚共とソルベルド。それとよ?俺達がテメー等の存在に気が付かねーと思ったか?コソコソしねーで出てきやがれよ、リューリュ、リリエル、ビョーラ!」


「チッ!」


 エルロンの的確な指摘に奇襲を仕掛けて一気に勝負を決めるか、不可能であっても最低でもエルロンのグローブに損傷を与えるか何らかの成果が欲しかったのだが、完全に失敗したと理解して舌打ちしてしまうドロデス。


「ドロデスさん!」


 態度から色々と情報を抜かれてしまう可能性があるので、比較的直情型のドロデスに対して軽く諫めるミランダ。


「悪いな、ミランダ。もう大丈夫だ。おい、あのクソ野郎は小心者だから気配には敏感らしいぜ?仕方がね~から姿を見せちまいな!」


 言われたドロデスは、最早奇襲に関しては完全に失敗した上にミランダからの指摘の意味も分かるので、直に気持ちを切り替えてエルロンの言葉に対して煽るように対応する。


 今までの行動、情報からエルロンはその名の通りに直情型なので少しでも冷静さを失ってくれれば良いとの期待がある。


 一方で、まさか自分達の気配迄完全につかまれているとは思っていなかった三人のSランカーだが、視線は確実に自分達を捕らえているのを把握して諦めて姿を現す。


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