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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
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(182)調査の結果と

 時は少し戻り、未だ【黄金】がギルド本部に籠城していた頃・・・


「ギルドマスター!新たな情報が入りましたのでお伝えします」


 予定期日にはまだ数日あるのだが、今のところ本部から出てくる様子も無く個別に行動する様子も見られない復讐対象である【黄金】やサルーン、ソルベルド夫妻。


 現状を打破する良い案も出てこないので、結局は強引に本部もろとも消し去るほかないかと考え始めているラルドの元に、配下から新たな報告が上がる。


 同じ部屋にはある程度グローブの特性を掴んだエルロンが足を投げ出した格好でソファーに座っているのだが、このギルド所属ではないと知りつつもギルドマスターのラルドが意に介していないので情報を開示する配下の男。


「なんだ?」


「はっ。ギルド本部からの依頼が各ギルドに伝達されまして、どうやら三人のSランカーに指名依頼が出たようです。内容は秘匿されているので不明ですが本部招集とのことで、今回の一件に関しての行動の可能性が高いです」


「そうか。わかった、下がれ」


 配下の男が消えると、ラルドはエルロンに視線を移す。


「まぁ、あのクソ雑魚共なら助けを求めるだろうよ。この力(グローブ)がありゃー、流星ビョーラ、魔道リューリュ、聖母リリエル、全部纏めて受け持ってやるぜ?」


 サルーンの能力消失については自らの能力を一部開示する事になるので伝えていないラルドは、戦力が激減しているとは言え一筋縄では行かない相手であると考えているので、他の雑魚の対処を引き受けると明言するエルロンの提言を受ける。


 エルロンとしても、あり得ない程に戦力が上昇した事から同格の区分になっているSランカーが複数いても問題なく対処できる自信はあるが、一応保険をかける事にした。


「そう言えばよ?あいつ等との再戦はまたあの場所(大森林前)にするのかよ?」


「周囲の被害を考えると、向こうもそう仕向けて来るだろうな。まぁ、戦闘の余波で大森林側から何らかの影響がある可能性は否定できないが、あの甘ちゃん共は自己犠牲の精神を大切にしているから一般人への被害を考えるだろう」


 予想通りの流れになったので、エルロンは恐らく自分だけが知り得ている大森林の恐ろしさの一つである出口が分からなくなる事象を解決する為に、詳細を話さずに対応策が取れるのかを問いかける。


 自らの能力を偽って登録する程に慎重な部分もあるので、一般的な冒険者以上に余計な暴露は身を滅ぼすと知っている。


 ラルドも自らの能力について説明しているわけではないので、互いに協力関係にありながらも信用はしていない。


 ラルドがサルーンに関する能力消失について伝えないのも、一般的な冒険者の行動と育っていない信頼関係によるものだ。


「場所は分かった。あいつ等をどうそこ(大森林)におびき寄せるのか、その辺りは全て任せるぜ?俺はそう言ったチマチマした事は得意じゃねーからな。ところでよ?正直俺は情けねー話し方向感覚に自信がね~んだよ。細けー作業も・・・知っているとは思うがミルロンにやらせていたからな。だが、あいつはもういねー。だから、何か方向をしっかりと判断できる道具は持ってねーか?」


 ラルドが<錬金>の能力を持っているとは知らないが、これだけ素晴らしい道具(グローブ)を渡せるくらいなので、その程度の道具の一つや二つは持っているだろうとの期待から問いかけるエルロン。


 ラルドも、確かにエルロンは猪突猛進型で情報収集を含めた細かい作業は弟のミルロンにやらせていた事実を知っているので、この問いかけに違和感を覚える事はない。


「そうだな・・・あるにはある。起点となる魔道具の方向を示し続ける羅針盤だが、残念ながら何処にいても発動するわけではない。起点からある程度の範囲内でのみ使用できるが、状況によってその範囲は変動する」


「想定している最低範囲は分かるのか?」


「いや、何とも言えない。最悪の状況が何なのかもわからないしな。今把握している中での最低距離は、そうだな・・・王国シャハのテョレ町の端から端と言った所だな」


 具体的な例ではあるが、テョレ町の大きさなど気にした事がないので良くわからないながらも、一応かなりの距離で使用できる道具だと認識するエルロン。


「じゃあよ?その起点になる道具を大森林の出口ギリギリに置いてくれや。俺は大森林の中でクソどもを相手にするからよ?戦闘中に移動して方向を見失っちまわない様にしておきて―からな」


 戦闘によって方向を見失う可能性については否定できないが、大森林の恐ろしさはその後に魔獣が襲い掛かり完全に出口を見失わせる所については一切口にしないエルロン。


 自分だけが知っている最大の秘密をそう簡単に共有するわけも無く、今は共闘関係になっているラルドが敵になった際に使える手札と考えており、この道具の実力もついでに把握しておけば、ラルドを追い詰める時に役に立つとさえ思っている。


 二つ名“暴風エルロン”に相応しい思考の持ち主なのは、復活後も一切変化が無い。


「エルロン・・・大森林内部で戦闘するのか?」


 ラルドも大森林の恐ろしさを知っているので、敢えてその中で戦闘すると言ってのけたエルロンに確認してしまう。


 本来エルロンは大森林内部で確実に死亡していたので、同じ場所で同格を相手にするのであれば、幾らグローブによる強化があったとしても敗戦濃厚なのではと感じている。


 その結果、自らの復讐に支障が生じる可能性があるので心配しており、決してエルロン本人の心配をしているわけではない。


「その方が良いだろうよ?幾ら広い場所とは言っても複数のSランカーが暴れるんだぜ?互いに干渉の可能性は無くした方がやり易いだろ?」


 本心で伝えており、ここまで明言するのであればとラルドは道具をエルロンに渡す。


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