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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
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(181)対策⑥

 各面々の目的地は大森林前の広大な場所であり、敢えて助勢の為にこの場に来た三人のSランカーだけは存在を隠蔽し、他の面々は姿を晒して移動している。


 こうする事でラルドとエルロンの攻撃目標が何処にいるのか世に知らせ、二次被害が起らないように配慮している。


 あの時の打ち合わせでの一つの結論は、エルロンやラルドの性格上明確なターゲットの存在場所が分かれば直接的に叩きに来る事は間違いなく、敢えて姿を晒して大森林に誘導するべく行動している。


「しかしよ~?敢えて大森林かよ。考えただけで背中が痒くなっちまうぜ?スロノはどうだ?って、お前は少し前に行ったばっかりだったな」


 ドロデスはどうしても大森林に向かいたくない気持ちが先行しており、愚痴をこぼしてしまう。


「ドロデスさん、そう言わないの。私達も全力を出すのだから、中途半端な空間だと被害が大きくなっちゃうでしょ?」


「ミランダはんの言う通りやで?多少広いと思っとってもワイ等の全力であればあっという間に人里に被害が行ってまうで?」


 真剣に話しているのだが、ソルベルドはミューを優しく抱えてニヤニヤしながら話しており、これから明確に対処できると思えない・・・寧ろ敗戦の可能性の方が高い戦いに向かうとは思えない有様だ。


「・・・そうかよ。で、お前(ソルベルド)は随分と余裕じゃねーかよ?こんな時まで見せつけやがって!ちっとも羨ましくなんかねーぞ?」


 流石にこれだけ何度も甘い姿を見せつけられた挙句に口撃を被弾し続けたので、羨ましさが出てきてしまうドロデス。


 敗戦濃厚の戦いに向かっているので、生存本能から相手(恋人)を無意識下で欲してしまっている影響もあるのかもしれないが、悲壮感がないのは流石だ。


「はっはっは。そやからワイの話をしっかりと理解して行動に移せばよかったんや。そうすれば、きっと今頃はドロデスはんにも伴侶が出来ていたかもしれへんで?」


 過剰な緊張により体の動きを阻害する事を避ける意味もあってお茶らけている部分はあるのだが、どう良い方に考えてもドロデスが今のソルベルドの様に幸せになっている姿を想像できなかったのか、思わずミランダが呟いてしまう。


「ないわね」


 高速移動中であってもこの程度の呟きは全員が拾えてしまう実力者・・・ミューを除くが、実力者が揃っているので全員がしっかりと拾ってしまう。


「ぷはははははは、ミランダはんも言うやないか!ドロデスはん、聞いたかいな?厳しい現実やな。まっ、世の中には奇跡っちゅう言葉もあるさかい、諦めちゃあかんで?ワイで良ければいつでも指南したるで?」


「くっ・・・お前等、覚えてろよ?」


 まるで楽しい遠足に行くかのような雰囲気に見えなくもないが、お茶らけているドロデスやソルベルドでさえ周囲への警戒は怠っていない。


「ホンマ在り得へん程順調やで」


 この中では、能力を消失させられてしまったサルーンと共に熟練度を含めて最も能力が高いソルベルドなので、かなり遠くで何やら複数の存在が自分達を監視した上で移動しているのを把握している。


 検討する余地も無くラルドとエルロン側の存在と理解でき、これから情報を伝えに行くはずなので、今のところは想定通りに事が進んでいると安堵している。


 正直ソルベルドでも結構ギリギリでその存在を把握できたので、念のために周囲の仲間にその旨伝える。


「間違いなく、網にかかったで。この速度で向かえば、ワイ等の方がエルロン達よりも先に大森林に到着するのは間違いないで」


 監視要員の速度はこの場の面々よりも遅いので、連絡を受けた直後にエルロン達が急いで大森林に向かっても自分達の方が間違いなく先に到着するので、迎撃態勢を整える時間があると告げるソルベルド。


「はぁ、何時まで経っても鼻タレ小僧だねぇ。全員今の話はなかった事にしてほしいねぇ。ラルドの能力は伝えただろうよ?こちらを監視していた要員は確かに移動しているけど、何もラルド達の元に向かう必要はないんだよ?道具を使えばすぐに情報は伝わるねぇ」


 ところが、直にサルーンからのこれ以上ない程の的確な突っ込みによって轟沈する。


「うっ、確かにババァの言う通りや。ワイの失言やった。それに、よう考えたらあいつ等が今どこにおるのか分からんねん。ひょっとしたら、もう大森林におるかもしれんからな。警戒が必要や」


 【黄金】はスロノを含めて監視要員の情報を開示されて尚その気配を掴めていないので、流石のSランカーだと感心しながらも警戒しつつ目的地に向かう。


「そろそろやな」


 ソルベルドの一言で全員の移動速度が遅くなる。


「あっちは大丈夫なのかよ?」


 明確に何を指すのかは伝えていないのだが、ドロデスの言葉は追随しているはずのSランカー三人の事を言っている。

 

「大丈夫やろ?正直、微かにしか気配を感じる事は出来ひんけど、その気配に大きな動きは無いさかい、そう判断する他あらへんな」


 本気のSランカーの動きを完全に把握する事は出来ないながらも、微かな気配に変化が無いので異常も無いはずだと伝えているソルベルドと、その話を聞いて【黄金】のリーダーとして気合を入れるドロデス。


「まっ、ここまで来たら今更何かを心配しても始まらねーよな?スロノ、ミランダ、ジャレード、オウビ、気合入れて行けよ?」


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