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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆


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(179)対策④

 視界には、地上や木の上、更には空にも魔獣の存在が入ってくるのだが、何故か大森林から出る様子は見せていない。


 魔獣達は大森林を拠点にしているだけなので何らかの制約がかかって出られないと言う事はないのだが、ココから出ても相当な距離を移動しなければ餌も無ければ水場も無いと知っているので、突然侵入してきた獲物一匹(スロノ)の為だけに外に出る事はない。


 得体の知れない場所で作業を無理に強行する事は命の危険があるのでさっさと諦めてギルド本部に戻りながらも、想定よりも時間が早い上に能力を追加で補完しておきたい事から、多少わき道にそれて魔獣から能力を収納している。


「あれ程の雰囲気だからもう少し行けるかと思ったけど、想像以上に収納できる環境じゃなかったな」


 サルーンから聞かされていた通りに魔獣は吐いて捨てるほど存在していたし集まってきたのだが、逆に集まり過ぎて安全に能力を収納する事が出来なかった。


「訳の分からない能力もあるしな。動物かっ!」


 かつて魔獣の死骸を運搬する・・・所謂“漁り”と呼ばれている作業を継続して実施して能力を収納していた時でも<帰巣>と言う能力を得る事はなかった。


 地球の知識で言えば動物の帰巣本能と言う言葉で表される通りに、自らの巣に本能的に帰る事が出来る能力だと想定できる。


 冒険者は拠点を自由に変える事が出来る自由度がある職業と認識されているので、その事から想像するとこの能力は死蔵か・・・はたまた拠点を変えた際に道に迷わずに帰れる位しか用途が無いと考えている。


 多少道から外れたからと言って大量の能力を得られるわけも無く、最も希望していた<槍術>を得る事なく本部に戻ったスロノ。


「おっ、無事に戻ったみてーだな。大丈夫だとは思っていたがよ?流石に大森林だから少しは心配していたんだぜ?」


 想像は出来るが、具体的に何をしてきたのかを聞く事はないドロデス。


 スロノの周囲には【黄金】が集まっており、少し先にはギルド総代シュライバとサルーン、ソルベルド夫妻が何やら話し込んでいるが、スロノの帰還時には軽く手を上げたりお辞儀をしたりで反応はしている。


「サルーンさんの言っていた通りに、虫の様に魔獣が湧いて出てきましたよ。木の上にいてもそこを活動域にしている様魔獣も出てきました。サルーンさんの報告にはなかったですから、きっとあの森もサルーンさんと俺の行動を見て進化したのかもしれません」


 木の上に避難しておけば魔獣は襲い掛かってこなかったと聞いていたのだが、森に生息している魔獣が対処し始めた事を告げるスロノ。


「おいおい、じゃぁ次に入ったら木の上も安全じゃねーって事かよ?とんでもねー場所だな。んで、こっちが対策すりゃー更に対策されちまう。堂々巡りだぜ」


 大森林に関する話で盛り上がっているスロノ達【黄金】の元に、少し離れた場所で話していたシュライバ達が近づいてくる。


「スロノ、無事で何よりだ。報告によれば間もなく三人は到着する。残念ながらラルドとエルロンの動向については掴めていないが、こちらの情報は抜かれていると考えて行動しなくてはならない」


「そうですね。俺もそう思います、シュライバさん。では、三人が到着した後に再度作戦会議ですか?」


「そうなるな」


 自分が不在時に襲われる事が無くて良かったと思う反面、現役Sランカーが三人来たとしてもエルロンとラルドの強さを知った今、冷静に分析して勝利できるのか分からなくなっているスロノなので、今後の作戦がどうなるのか非常に気になる。


「総代!お三方が到着しました」


「そうか、わかった。皆聞いての通りだ。早速話すとしようか」


 ギルド本部としてもある意味全面戦争になるので緊張しているのか、せわしなく眼鏡を直しながら移動しているシュライバ。


 何度も来ている円卓がある部屋に入ると、そこには【黄金】やソルベルド達にとって見知った顔が二つと、一部は初見になる男性が一人椅子に座っていた。


 見知った顔については魔道リューリュと聖母リリエルであり、初見の男性は流星ビョーラと呼ばれている存在で、少々長い茶髪を後ろで一纏めにしている。


「改めて紹介する必要はないだろうが・・・サルーンだけは紹介しておこう。既に登録は抹消されているが、過去Sランカーとして活動していた<槍術>を持つサルーンだ。知っている可能性は高いが、ソルベルドの師匠になる」


 部屋に入ってすぐにシュライバがサルーンを紹介し、その他の面々については一部初見の人がいても大勢に影響はないと早速本題に入る。


「既にある程度の事情は三人であれば仕入れていると思うが、エルロンの生存とラルド・・・闇ギルドの統領、今はギルドマスターと名乗っているらしいが、過去にサルーンの相棒だった鬼族の男が手を組んでいる」


 三人の立場であればある程度の情報を得ているだろうと知っているのだが、これから対処しなくてはならない相手については改めて説明する必要があると思っているシュライバの言葉を、リューリュが切る。


「あ~、シュライバちゃん。その辺は正直全部知っているから説明は不要よ。で、そいつらの攻撃対象も知っているけど・・・ソルベルドちゃん?アンタ漢を見せたらしいじゃない?あのドーピングしたクソエルロンの攻撃を受けて尚ミューちゃんを守ろうとするその心意気!改めて見直したわ!」


「正直私も感動しました。流石は()のソルベルドさんですね」


「そ、そう言われるとちょっと恥ずかしいんやが、結果として負けは負けや。相手が何をしようが負けては意味がないねん。ホンで、正直な所今のワイでもエルロンに勝利する事は出来へんと思っとる。なので、皆の力を貸してほしいんや」


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