表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
186/246

(176)対策①

 未だに円卓に座って打ち合わせを続けている面々だが、敵の能力についてはある程度理化する事が出来ていた。


 時折喉を潤しながら会議は進む中、ソルベルドが最も重要な対策について口にする。


「エルロンが強化された原因、ラルドの能力については理解したで。仮定の域を出ない部分も含めてや。そやけど、対策はどないすんねん?正直今の(・・)ババァでも対応は厳しいんちゃうか?」


「悔しいがバカ弟子(ソルベルド)の言う通りだねぇ。まさかあの呪いが直撃するとは思わなかったよ。困ったもんだねぇ」


 口では困ったと言いつつも、今更悔やんでもどうしようもない事と完全に割り切ってこの場にいるので態度は少しも困っているように見えないサルーンは、隣に座っているソルベルドの目の前に置いてあるお菓子を横取りしている。


「こ、このババァ・・・ワイがミューはんに上げようと思っとったのに!さっさと吐き出さんかい!!」


「あはははは。残念だねぇ、バカ弟子!この世は弱肉強食。それほど大切ならしっかりと守っておくべきだねぇ。大事な事を教えてあげた授業料として貰ってあげるさねぇ。それでも我慢が出来ないなら、明日の朝にはアタシの尻から別の形で出てくるだろうから、待っとくれ」


「こ・・・この腐れババァ!」


 何とも緊張感のないやり取りができるのも心に余裕があるからなのだが、流石に事態に対して余裕があり過ぎるとシュライバが締める。


「二人とも待て!話が脱線しているぞ。能力をある程度把握した上での対策を検討する場だ。方針が決まった後で好きに暴れてくれ」


 言われている事はこれ以上ない程正論であり、ソルベルドにしてみればミューを守らなくてはならないので、真剣に考えた結果を公表する。


「ホナ、対戦相手を変えてみるっちゅうのはどうやろか?どう考えてもラルドはババァを狙っとるやろ?ホンでエルロンはワイと【黄金】や」


「そうだねぇ。でも、アンタがラルドを相手にできるのかい?まぁ、正直今のアタシで強化されたエルロンを相手にするのも骨だけどねぇ」


「そこや!ラルドの能力を考慮するとババァの<槍術>に対応する道具を“ぎょうさん”持っとるのは間違いないやろ?そこに他の能力者が対応するんや。もちろんワイもラルドに向かうフリして裏の裏やないけど、エルロンに対峙するで」


「成程。ソルベルドにしては良く考えているじゃねーかよ?じゃぁ逆に、俺達(黄金)がエルロンに向かうフリをしてラルドに向かえば良いんだな?」


「その通りや」


 現状知り得ている情報で対処できる案であり、これ以上の案が出ない以上は一旦採択される。


「一先ずはこの作戦で行くが、俺の招集に応じたSランカーが集結すれば再び作戦を考える。相手がラルドである以上は、Sランカー集結の情報は掴まれると考えて行動した方が良いだろう」


 総代シュライバが、一先ず今日の会議はこれで終わりだと結論を出す。


 何気に総代として他の業務が多数あるので、これ以上この件で時間を取られるわけには行かない事情もある・・・ある意味社畜だ。


「シュライバ。それじゃぁ<魔術><回復><弓術>にも対応される可能性が高けーんだな?」


「その可能性が高いと思って行動した方が安全だろう?」


「だとすると、エルロンの野郎にも俺達の能力に対応できる武具をラルドが作って渡しちまう可能性があるんじゃねーのか?何と言ってもあの場でラルドは俺達の武具を視認しているからな。その場合、ソルベルドの案は無効になっちまうぜ?」

 ドロデスとシュライバの話が紛糾しそうになったので、過去に得た情報と直接対峙した感触から思った事を告げるソルベルド。


「ドロデスはん。そこまで考えては切りがないで?それに、あの脳筋野郎のエルロンが過剰な武具を装備するとは思えへんな。あの性格やから、間違いなく<闘術>のグローブ一本で勝負してくると思うで?」


「アタシもバカ弟子と同じように感じたねぇ。但し、ラルドがエルロンに告知せずに対策品を装備させる可能性は考慮しておいた方が良いねぇ」


「二人の言いたい事は理解した。【黄金】もその方向で良いな?ギルド本部の力不足もあるが、現時点でこれ以上の案は出てこないだろう。後はSランカー三人が到着した後に再度話をさせてもらう」


 招集を受けているSランカー三人が無事に本部に到着できる大前提があるのだが、ここについては最早議論すべき案件ではないとの認識になっているので、準備出来得る戦力の手配をした以上ギルド本部としては現時点でこれ以上の対策は出来ない。


 総代シュライバも仕事が溜まっているので、慌ててこの部屋から出て行く。


「あの・・・俺、少しだけ時間を貰っても良いですか?可能であれば、大森林に入ってエルロンと同日とは言わないまでも、少しだけその状況を確認しておきたいのですが」


 今のところ出来る事は無いながらも、新たな能力や現在持っている能力の底上げを期して大森林に向かいたいと告げるスロノ。


 確かにあり得ない程不気味な雰囲気を曝け出していたし、侵入したサルーンによれば浅い場所でも魔獣が湧いて出る様なので危険な事は理解しつつも、相当なレベルの能力を多数集めるにはそこしかないと思っている。


 本心から行きたいかと言えば可能であれば避けたい所だが、敢えてエルロンを比較に出して修行するかのような物言いをし、能力を収集する事を悟られないようにしているつもりのスロノ。


 【黄金】やソルベルド達は、流石にここまでくれば敢えてあの大森林に侵入する必要性を考慮すればスロノが何をしたいのか何となく把握する。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ