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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
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(169)戦闘と逃走③

 魔方陣に集められた生命力全てを使って、サルーンに向けて呪いを発動したラルド。


 視界が悪い中の発動の為、流石に呪いの気配を掴むのは難しく何をしているのか気配だけでは掴みきれないはずだと思い、この状況をチャンスに変える。


 ラルドの思惑は当たり、サルーンが持っている<槍術>SSの能力は生命力と相殺されて<槍術>Sになっており、ソルベルドを抱えている中で一瞬動きが鈍ったのを把握しながらも詳細を調査する余裕はないと全力で逃走を続けている。


 何とか全員がギルド本部に戻り、負傷している・・・と言うよりも、正直限界を超えて体を酷使したソルベルドに対しても、総代シュライバが準備した回復薬によってある程度回復処理が終了している。


「あのクソ野郎(エルロン)、正直相当な強さだと認める他ねーぞ?情けねー話だが、動きが全く見えなかった」


 余計なプライドは現状把握や今後の対策に置いて邪魔でしかないので、あっさりと今の実力ではエルロンに手も足も出ない程に開きがあると伝えているドロデス。


「そうだろうねぇ。正直アタシも動きを見て驚いたよ。アレはレベルSの枠に収まっている存在じゃないねぇ。よっぽど大森林で何かあったのか、ラルドに何かされたのか、まぁ、後者の方が可能性は高いと思っているけれど、何れにしても一筋縄じゃ行かないねぇ」


 正直この場で最強と認識されているサルーンですらエルロンを認める発言をしているので、直接相手をしてその強さを直接その身に感じ、最悪は最愛の妻であるミューすら目の前で失いかねなかったソルベルドは厳しい表情のまま。


 普段の多少軽い感じの態度は完全に鳴りを潜め、悔しさからか握りしめている拳からは多少血が流れている。


「ソルベルド様・・・」


 優しくミューがその手を包み込んで寄り添うのだが、悔しそうな表情に変化はない。


「あの・・・サルーンさん。ちょっと良いですか?」


 突然スロノがサルーンに話しかけ、何故かサルーンを引き連れて壁際に移動してコソコソ話しているのだが、実はソルベルドに何かしらの伝染する異常状態が付与されていないかこっそりと<鑑定>を使用して確認したついでに、本来仲間を勝手に鑑定したくはなかったのだが、あからさまに避難時に動きが鈍ったサルーンの事も鑑定していた。


 その結果・・・サルーンもこの場にいる面々に対して能力を秘匿するような意志も無い上に、この場に鑑定が出来る存在がいるとも思っていないので情報をスロノに抜かれ、スロノはサルーンの元のレベルがSSだとは理解できないながらも今の<槍術>Sの“S”の文字がブレて見えた為に能力に異常があるのかと心配になりつつ、一応秘匿すべき事項だと思い個別に話しかけていた。


 確かに能力が不安定になっているために起こっている現象であり、強制的に呪いによってレベルS一つ分の能力が失われているので、残っているもう一つのレベルSの能力が安定するのに時間が必要になっていた。


 それでも他の能力者と同様の速度でソルベルドを抱えて移動できるのは、今まで培った経験だろう。


「・・・そうかい。まぁ、あのラルドが何か隠し玉を持っているとは思ったけど、まさかあのタイミングでアタシにあの呪いを付与してくるとはねぇ。正直な所、致命的な油断したようだねぇ」


 スロノとしては呪いについての情報も聞いているのだが、その呪いを受けて何故レベルSの能力を不安定ながらも維持できているのかは・・・元の能力が<槍術>SSだとは分からないので理解できない。


 理解できないながらも能力に関して第三者が深く突っ込むのはダブーだと知っているので、知り得た事を伝えるだけに留めてサルーンの呟きには敢えて反応しない。


「少しは落ち着いたか?」


 少しすると改めて総代シュライバが入室し、周囲を確認して全員に着席を促す。


「まさかとは思ったが、エルロンの生存とラルド。正直に言って二人共真面な相手じゃないな。そもそも何故エルロンがあれ程長期間大森林内部で生存していたのかが不思議だ。逆に言えば、その秘密が明らかになれば今回の異常とも言える戦力上昇も説明が付くのかもしれない」


 ギルド総代としての興味からか、未だかつて長期間大森林に飲まれて生存した存在は皆無なのでその辺りの情報についても知りたくなっているのだが、サルーンが冷静に持論を述べる。


「シュライバ。恐らく大森林での経験もあるのかもしれないけれど、ラルドの能力を忘れたのかい?何らかの道具を手に入れた事が最たる要因と考えた方が納得いくねぇ」


 ギルド総代ともなれば闇ギルドの存在やそのトップがラルドである事、そしてその能力についても知り得る情報網を持っている。


「確かにサルーンの指摘の通りかもしれないな。すまない。大森林に関して多少知識欲が出てしまった」


「シュライバ。俺達は現状をしっかりと全員が把握したぜ?事情はよく分からねー部分はあるが、敵はエルロンとラルドとか言う闇ギルドのギルドマスター。で、<闘術>と<錬金>だったな?直接対峙して相当な実力者である事は理解したが、今後はどうするんだ?」


「闇ギルドが動いているとなると、今回パーミット筆頭公爵の件は依頼者がミュラーラである可能性が高い。以前は否定したが、闇ギルドは一度受けた依頼は例え依頼者が死亡しても遂行するらしいからな」


 以前国王サミットが明確に否定した件だが、ここまで情報が明らかになれば逆に可能性が非常に高いと告げるシュライバ。


「で、どうするんだよ?」


 問いかけに対する回答にはなっていないので、正直闇ギルドに対する依頼者が誰であろうが対応には関係無い為に改めて問いかけるドロデス。


「場合によっては、本部からの依頼と言う形で現役Sランカー全てに指名依頼を出す方向になるだろうな」


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