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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
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(167)戦闘と逃走①

 【黄金】一行とサルーン、ソルベルド、ミューに相対するような形になっているラルド、エルロン、そしてラルドの背後におり視線は大森林に向けている配下の者達。


「おい、何でテメーが生きていやがるよ?どこかにミルロンが隠れているのか?エルロン!」


「ちょい落ち着きーな、ドロデスはん。あんなゴミをきっちり目の前で始末せんと想定で死亡を確定させるなんざアカンと思っとったんや。丁度良いと考えるとええで?」


 さり気なくミューを最も後方に下げつつ少し前に出たソルベルドが、本心からの持論を述べる。


 例え自分でも恐怖を感じる大森林に侵入後に帰還しなかったとしても、自らの目でその最後を確認していない以上は程度の違いはあれ常に気を張る必要がある相手なのは事実なので、今回は丁度良い機会だと割り切っている。


 当然要注意人物の一人である目の前の男の弟であるミルロンについても、可能な限り情報を得るためにさり気なく会話で誘導する。


「ホンで、臆病モンのエセSランカーのエルロン。弟のミルロンはどうしたんや?尻尾巻いて逃げたんか?逃げ足だけは速そうやもんな!」


「はっ、あのクソ野郎は俺の糧になったぜ。次はテメーだ、ソルベルド!それと雑魚の集団の【黄金】!!」


 苛烈な性格のエルロンを良く知っているソルベルドなので、過去と同じくミルロンの最後をその目で確認しているわけではないながらも、例え血を分けた兄弟であってもこう言った攻撃的な話しでは嘘は一切使ない事を知っているので、具体的な状況は分からないながらもミルロンはこの世にいないと判断した。


「兄弟と言ってもその程度なんか。所詮は誰からも信頼されん薄っぺらい男やな。ワイとは大違いや」


「このクソ野郎!ミルロンと同じ様にテメーも飲み込んでやるぜ!」


 実際にソルベルドがミルロンと同じく煙になって自らに取り込めるとは思っていないのだが、勢いのままに宣言するエルロン。


 一方、この騒動を引き起こしたラルドは長期間恨みを募らせていた対象のサルーンを目の前にして、想像以上に老いている事に少々複雑な思いを抱きながらも明確に宣言する。


「サルーン。俺を覚えているか?お前に突然裏切られたラルドだ。今日はあの日の恨みを一気に晴らす。覚悟しろ!」


「まさかアンタがこんな所にいるとはねぇ。アンタの後ろにいる連中はアタシを付け狙っていたのと同じ気配を感じると言う事は、全てアンタが仕組んだことなんだねぇ。想像通り闇に飲まれちまったみたいだねぇ」


 過去、闇のギルドに関しての話を持ち掛けて決裂したので、こうなる可能性については常に考えていたサルーン。


「問答無用!お前との怨念の鎖、ここで断ち切ってやる!」


「はぁ、これ以上何を言っても無駄の様だねぇ。アンタ達、あの男の相手はアタシがするから手を出すんじゃないよ?」


 こうして大森林近傍でソルベルドとエルロン、サルーンとラルドの戦いが火蓋を切る。


 本来【黄金】も参戦するつもりでいたのだが、サルーンには手を出すなと言われ、ソルベルドには場所が場所だけにどのような影響があるのか分からず、ミューを守る事に全力を使う様にお願いされてしまい手を出さずに見守る事にした。


 もちろん劣勢になればサルーンだろうがソルベルドだろうが、後で何を言われようがお構いなしに加勢するつもりでいる。


「ホナ、クソ雑魚(エルロン)。ワイとしてもしっかり白黒つけたかったんや。どっちが上か、理解させたるで?」


「面白れーな。理解させてもらおうじゃねーかよ?あぁ?」


 互いの干渉を嫌ったのか、何かを指示するわけでもなく互いに移動を初めて、二組の戦闘の場所は距離が開いた。


「おい、スロノ。俺達も役割を分担しておいた方が良さそうだぜ?正直あのバァさん(サルーン)に対して俺達が介入するには実力不足だ。なのであっち(サルーン)はお前に任せる。ミランダはミューの護衛、俺達三人でソルベルド側の監視だ。良いな?」


 ドロデスの提案もあって【黄金】とミューも夫々少々移動し、戦闘の余波が来ても防げるような位置でそれぞれの戦いを監視する事にした。


「ソルベルド様!!」


 開戦直後と言っても良いのだが、ミューが突如として吹き飛ばされたソルベルドを目撃して慌てている。


「ミューさん、落ち着いて!!」


 駆け寄ろうとするミューを慌てて止めているミランダだが、まさか戦闘開始直後にソルベルドが吹き飛ばされるとは思っておらず、自分自身も驚いている。


「ははははは、思った以上に雑魚じゃねーかよソルベルド!腑抜けやがって。偉そうなのは口だけか?」


 少し前に直接戦闘をした時とは明らかに動きが異なっているエルロンなので、大森林に侵入して相当な環境で生き抜いた結果力を上げたのかと思っているソルベルドだが、実際は<錬金>Sによって作成されたグローブによるものだ。


「ペッ・・・偶然一撃入れた位で喜ぶなんぞ、程度が知れるで?本番はこれからや!」


 ソルベルドは漆黒の槍を使って果敢に攻め立てており、事実本気の攻撃である為に【黄金】のソルベルド側の状況確認をしている三人にはその攻撃を視認する事が出来ずにいる。


「おいおい、これが本気かソルベルド?この腑抜け野郎!!笑わせてくれるじゃねーかよ!テメーにはもう飽きた。次は【黄金】だぜ!」


 声はしっかりと聞こえた直後、【黄金】の前に再びソルベルドが吹き飛ばされる。


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