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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
173/237

(163)復活の時①

「成程・・・サルーンは一週間に一度程度大森林に設置した魔方陣を確認しに来ているようだな。だとすると、そろそろ頃合いと見て良いだろう」


 ラルドは自らも大森林に向かって出立し、エルロンとミルロンの二人の復活時期もサルーンと自らが大森林近傍にいる時に合わせるように調整している。


 最も理想的な状況はサルーンの弟子であるソルベルドや、依頼によって抹殺対象になっている一人のミューも同時にその場に存在するのが最善なのだが、流石にそこまで調子する事は出来ずにその部分に関しては流れに身を任せる事にしていた。


 本来Sランカーとして名を轟かせているソルベルドとサルーンを同時に相手にする事になるので個別撃破の方が安全ではあるのだが、自らの能力に絶対の自信を持っているラルドには該当しなかった。


 サルーンに対する復讐が最も重要な任務であり、その後に元ミュラーラ公爵からの依頼であるパーミット筆頭公爵を始末すれば良いと考えている。


「成程、サルーンは再び大森林に向かっているとなると・・・明日で良いか?」


 移動中もサルーンを追跡している配下から情報を得ているので、過去の経験からも明日には事を起こせると確信したラルドは、大森林近辺に待機している配下に対して事前に渡していた魔道具の起動を命じる。


 命じられた方は渡されている道具から突然魔道具を起動しろと言う言葉が発せられたので、これで任務を終了して恐ろしい雰囲気しか感じないこの場から撤退できると、命じられるがまま二つの道具を起動する。


 液体が入っていた二つの道具を叩き割ると、二カ所から怪しい煙が立ち上って視界不良となる。


 万が一にも煙が有毒であった場合に備えて多少距離を開けている男は、当然ながら安全の為に大森林が見えるギリギリの位置でこの道具を起動していた。


「んぁ?なんで俺は生きているんだ?」


「兄貴!無事だったのかよ?って、俺もくたばった記憶があるが兄貴が助けてくれたのか?流石はSランカーの暴風エルロンだぜ!」


 共に赤い目をしている男二人が煙の中から現れており、どんな仕組みか不明だが死亡直前の服装をしている為に全裸と言う事はなかった。


 想像もしていない状況、確実に死亡しているはずが何故か怪我も癒えた状態で復活しており、少し周囲を見回すとエルロンにしてみれば脱出する事が出来なかった忌々しい大森林が見えているので、更に何が何だか分からなくなる。


「俺は何もしちゃいねーよ。あん時、お前を守ろうとクソ雑魚魔獣共に攻撃はしたけどよ?雑魚共を始末した後にお前は居なくなっていたからな。その後は、向かうべき方向を見失って彷徨った挙句、死んじまったはずなんだが・・・」


 互いに何が何だか分からないながらも無事に大森林から抜け出ており、体の傷も癒えている事から多少なりとも周辺に意識を向ける事が出来ている。


 もちろんミルロンに至っては死亡直前の状態での復活であれば能力などあろうはずも無いので、一般人とそう変わらない程度の警戒しかできていない。


「そこにいる奴、出て来いよ?お前、何か知っていやがるな?何故俺達が生きているのか説明してもらおうか」


 しっかりと能力まで復活しているエルロンであれば、煙を避けて岩場の影に隠れていたラルドの配下の気配も難なく掴む事が出来る。


 配下の男としては、一応命令を出せるとは聞き及んでいる以上は身の危険はないと理解しつつも、圧倒的な強者の気配を感じて怯えつつも顔を出す。


「お、俺はとある方の命令で二人を復活させた。これから何をなすべきか、その方から説明があると思う。そう時間がかからずに到着されるはずなので、少し待ってもらいたい」


 何時到着するのかなど聞かされてはいないのだが、復活した二人はそう時間が経過せずに再び無に帰る事を聞かされているので、そこを考慮すればそう時間が経過せずにラルドはこの場に来ると確信している。


 一方、訳の分からない事を言われているエルロンとミルロンだが、この不可思議な現象を体感したのは事実である以上は言われた通りにこの場で待機する事にし、ラルドの配下に絡む事は無く二人でここに至る間での記憶について語り始める。


 実は命令に逆らえない部分もあって大人しくなっているのだが、少しでも現状を把握しようと行動した事も有り、この行動が思わぬ効果を生む結果になった。


 暫くは大森林について経験した話になっていたのだが、やがてミルロンがエルロンを救出に向かい脱出の途中で蜘蛛の魔獣を失った話しも終え、その後に関しての話になると少しずつ雲行きが怪しくなり始める。


「んでよ?俺はあの時兄貴がくたばったかと思って距離を置いたわけよ。当然戦闘の邪魔にならねー様に配慮した結果だが、何となく外の気配がしやがって無意識の内にそっちに向かった結果、この忌々しい森から出られたんだぜ?」


 一部嘘が織り交ざっているのだが、ある程度事実を話すミルロン。


「あ?あんな雑魚共に俺が始末されたと思ったのかよ?」


 エルロンとしては相当格下の存在である魔獣に劣勢だったと言われているので、ミルロン側へ被害が行かないように配慮して攻撃した部分もあった為に頭に血が上ってしまう。


 こんなやり取りを聞かされているラルドの配下は、これ以上加熱しては別格の存在二人が暴れて周囲に被害を及ぼし、大森林に影響を与えて何かしら魔獣が現れる不安や、そうでなくとも何も力のない自分では流れ弾でも致命傷になりかねないと思い、仲裁に入る。


「ちょ、ちょっと冷静になりましょう。お二人は別格の能力を持っているのですから、こんな場所で暴れては森に何か影響があるのかもしれませんよ?」


 当初とは打って変わって極めて下から話しているのは、目の前の二人が別格の力を持っている存在と知っているからなのだが、何故かその二人が突然黙る。


「あれ?どうしました?」


 想定では何かしら反撃されると思っていたのだが、まるで拍子抜けしてしまった。


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