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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
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(148)宴③

 日時はあっという間に過ぎ、ソルベルドとミューは近場の観光名所巡りをしており、【黄金】は一日依頼を受け、約束していた日の夕方・・・いつも通りにギルドの食堂にいるのだが、流石にこの日は食事をしているわけではない。


 単純に王宮に向かう為の待ち合わせをしているだけで、直にソルベルドとミューがやってくる。


 全員服装は動きやすい服装になっており、国王側からの招待とは言え普通はもう少し着飾るのが一般的なのだが、頑なに拒否したドロデス、ジャレード、オウビの意見を尊重した【黄金】と、別の理由で普段着になっているソルベルドとミュー。


「えっと、ソルベルドさんとミューさんも普段着なのですね。服装の打ち合わせはしていませんでしたけど、統一できて良かったです」


「そうなのよ。ウチは強面三人が着飾るのを頑なに拒否したからだけど、そっちは別の理由があるのかしら?」


 スロノは単純に全員が統一された服装レベルである事に安堵し、ミランダはこの服装に至った経緯を何の気なしに聞いているのだが、ソルベルドの反応が怪しかったので自分の発言を後悔している。


「よくぞ聞いてくれましたわ、ミランダはん!」


「え?アレ?」


 動揺しているミランダから即座に距離をとる【黄金】の四人は、この流れであれば間違いなく惚気絡みの理由だろうと確信し、流れ弾が当たらない様に退避している。


「あの王宮、見た目が素晴らしいのは認めるんやが・・・やはりミューはんの素晴らしさの足元にも」


 そして始まるソルベルドの独演会なので、ミランダは未だ王宮に向かってすらいない状況で疲弊し始めた所、救世主が現れる。


「お待たせしました!では、表の馬車で移動します。今日はよろしくお願いします!」


 一行を迎えに来たスクエであり、彼女も動き易い普通の恰好で迎えに来ていた。


「ま、待っていたわ!スクエさん!!さっ、早速向かいましょう!!」


 実は王宮に向かうのにやはり相当緊張していたミランダなのだが、今の騒動で緊張は完全に解れており、ソルベルドの惚気攻撃を避ける事が出来た所に意識の全てが向いていた。


 ソルベルドによる被害を受けた経験があるスクエによって馬車は二台用意されており、一台はソルベルドとミュー、もう一台は【黄金】と、人数としては偏っているが二台で移動している。


 もちろんスクエは【黄金】の乗る馬車に同乗しているのだが、六人乗っても十分な広さが確保できる馬車なので何も問題はない。


「えっと、あっちも同じ馬車なのですよね?二人で・・・随分と広くないですか?」


「おいおい、スロノ。お前、あっちの馬車に乗りてーのか?止めはしねーが、絶対に助けねーぞ?」


「い、いやいや、そう言う事じゃありませんよ、ドロデスさん!単純に広いなと思っただけですから、止めてください!」


 ソルベルドの惚気ネタで盛り上がっている一台目の馬車と、本当に二人の世界に入り込んでいる二台目の馬車はそう時間がかからずに王宮に到着すると、一行はそのままホールに案内された。


「よく来てくれた。例の件でのお礼を改めてしたい事もあるし、余の妻も挨拶をしたいと要望があったのでな。今宵は楽しんでくれ!」


「ご紹介頂きましたコロネラと申します。皆さんのご尽力に感謝致します」


 一部の者は知っていたようだが、スロノやミランダはまさか王妃が獣人族だとは思っていなかったので少しだけ驚きがあるのだが、それ以上の事を思う訳も無く普通に食事が始まる。


「確かに美しく美味しい料理やが、ミューはんの美しさと美味し」


「おい、ソルベルド!!お前ちょっと待て!色々と暴走しすぎじゃねーのか?」


 この流れで行けば怪しい方向の惚気に入ってしまう事を危惧したドロデスが、決死の思いで遮る。


「・・・しゃーない。もっとミューはんの素晴らしさを伝えたかったんやが、ここは大人になったろ」


「ふふふ。素晴らしい対応ですね、ソルベルド様」


 どのような流れだろうが結局二人は最終的にイチャイチャしだすので、最悪の事態は回避できたところで放置する事にしている【黄金】の面々。


 流石にここまでの現実を目の当たりにして少し面食らっている国王夫妻だが、こちらはこちらで仲が良いので直ぐにソルベルド達の行動に慣れてしまう。


 和気藹々とした雰囲気で食事が進んでデザートが食卓に並ぶと、その配色に全員が見とれたのだが・・・


―――ガシャーン―――


 ソルベルドが突然漆黒の槍を顕現させて机の上のデザートを薙ぎ払ってしまう。


 今までの雰囲気からは全く考えられない行動を取ったので誰しもがソルベルドを不思議そうに見ているのだが、当のソルベルドは真剣な・・・それでいて周囲を警戒するようなそぶりを見せているので、流石にこの場にいる面々も嫌でもその雰囲気につられて警戒を始める。


 同時に王妃の護衛、陰であるネラもこの場に現れて警戒をしつつソルベルドに問いかける。


「ソルベルド殿。何が起きたのでしょうか?今の所不穏な気配を一切感じる事はできませんが・・・」


もう少しで花粉が(涙)

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