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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
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(136)ミルロンの処遇へ②

 高ランカーが全力で夜通し移動しているので、数日で目的地周辺に到着する事が出来た。


 半ば強引に味は無視して栄養だけを摂取させるために食料や水をミルロンの口に突っ込み、飲み込んだのを確認すると再び移動していた一行。


 冒険者だけではなく大陸中で危険な場所と認識されている大森林をその目で確認し、雰囲気からも安易に侵入して良い場所ではないと悟る。


「あんな所にエルロンは入ったのかよ?思った以上に相当頭がイカレていやがるな」


 ドロデスの感想も当然で、普通の感性があれば絶対に侵入しようとは思えない程に不気味であり、危険を感知できる能力が無い一般の民でも近接すれば薄暗い森の中で何かが蠢いている姿が間違いなく見えるので、浅い部分でも進入しようとは思えない。


 欲に負けて侵入した結果、大半が戻って来ていないと言う記録もあるので、そこも踏まえて侵入するのは余程のバカだと言っている。


「正直私もあまり近寄りたくないわ。行ってみないと分からないけど、あのあたりが限界かしら?」


 ミランダが森に近い位置を指し示しており、そこがミルロンの墓場となる予定だ。


「確かに行かねーと分からねーよな。んじゃ行くか?スロノも大丈夫か?」


 スロノの目から見ても相当不気味でなるべく近寄りたくないとの思いがあるのは事実で、表情か態度に出ていたのかドロデスに確認されてしまう。


「だ、大丈夫です。あの場所までですよね?」


 森の中に侵入するわけではない事を再確認して、現地まで移動する。


「近くまでくると、想像以上に不気味ね。早くしちゃいましょ?」


 どう考えても森の浅い位置にも何かが潜んでいるので、早く作業を終えてこの場を去りたいミランダの掛け声で屈強な三人が一気に穴を掘り、そこにスッポリと放心状態に見えるミルロンが嵌る。


「こいつだけは持ち帰っておこうぜ?」


 魔力封じの魔道具はソルベルドがミルロンに装着したものだが、極めて貴重な品である事から、ミルロンの処理が終われば好きにして良いと言われて鍵を渡されていたドロデスが持ち帰る為に既に手に持っている。


 時間が経過すればするだけ背筋に嫌な汗が流れているので、外部刺激を与えるのは多少距離が離れていても出来るので直ぐに撤退を満場一致で決め、エルロンと大森林から離れるように移動する。


 やはり森がある背後からは嫌な雰囲気を常に感じているので、打ち合わせしたわけでもなく全員が相当な速度で移動して振り返る。


「な!?あのクソ野郎!!」


 一刻も早くあの場所から離れる事に全力を使っていたので、実は穴にスッポリ嵌ったミルロンが自由に動けるすき間の処理も真面にできず、いざ振り返るとミルロンが森の中に逃げ込むのが見えていた。


 レベルや立場に関係なく万人に対して危険な場所と認識されているだけあり、流石の【黄金】やスロノでも大森林に近接した状態で長々と作業する事は出来なかった結果だ。


 何処の国家にも属さない、何処の国家も手を出せない理由がここにあり、このような場所に偽情報に踊らされたとは言え単独侵入できるエルロンは、相当頭がイカレている。


 ミルロンは多少朦朧としていながらも敢えて真面な意識が無いように振舞って逃亡の時を待っていたのだが、朦朧とした意識は森からの強烈な気配を受けて完全に覚醒し、魔力封じの腕輪も外されている今がその時だと思い、一気に【黄金】達とは真逆、則ち森の中に逃げ込んだ。


 危険度は増すが追跡される可能性は低く、運が良ければ兄であるエルロンと合流できるかもしれないとの思いもあるし、道中適当な魔獣を支配下に置けばより安全に身を隠す事が出来ると考えた。


 足元に何かが常に蠢いている不気味な気配を無理やり振り切り、背後を気にせずに一気に森の奥方面に逃走しつつも、身の安全を確保する為に支配下に置けそうな獣や魔獣を探している。


 一方逃走劇を見送る羽目になったスロノや【黄金】だが、今更後を追えるほど心が強くないので、その姿が確認できなくなるまで視認した後、更に距離をとって暫く様子を見る事にした。


「向こうからはこっちが見えているかもしれねーからな。俺達が撤収後に出て来やがったら面倒だ」


 スロノだけはエルロンが何も能力を持っていない状態だと知っているので、鍛えている肉体を持とうがそう長くは生存出来ないだろうと思っている。


 場合によっては、丁度ミルロンから収納した<操作>Sを使って支配下に置いた獣か魔獣を偵察に使えば良いと考えた。


「はぁ~、正直大森林を甘く見ていた俺の失態だな。あのクソ野郎がイカレたふりをしていたのを見抜けなかった事も有るが・・・まっ、今更どうこう言っても始まらねーな」


 実は魔力封じの道具も森から距離をとる際に慌てていたので落としており、あのドロデスがそれ程必死で逃げなければならない程の場所とも言え、そんな場所でミルロンが生存している可能性は低いと誰しもが思い、監視と言っても長くとも一日程度で良いだろうと決定した。

 

 結構な距離をとって森を監視している一行だが、当然の様にミルロンが出てくるわけも無く魔獣や獣が出てくることも無く撤退を決める。


「締まりが悪りーが、これで終わりだな」


「ドロデスさん?あっちに落ちているソルベルドさんの腕輪、どうするのかしら?悪用されると困るから拾って来る?それとも、私がここから燃やしちゃう?」


 最後にドロデスが落とした魔道具の話になり、結論としてはあの場所に再度向かうのも憚れたので、ミランダの遠距離攻撃によって破壊する事にした。


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