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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
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(121)一時の平穏

 エルロンが残した言葉、ソルベルドが死亡していると言う説明は全てが正しい訳ではなく、別動隊がソルベルドを襲い致命傷を与えた所でエックスはその場を去っているので、リリエルの術が内包された覆面の効果によって復活したとは知る由も無いミルロン達。


 無理をして行動するわけも無く、エルロンはとある場所で回復に努めている。


「ちっ、思った以上に時間が必要だが・・・他の鬱陶しい連中(Sランカー)もまだ依頼に時間がかかるはずだし、ソルベルドは死亡。となるとあの程度の連中(スロノ達)ならこの時間で多少回復されても問題ね~な」


 完全に復調しておかなければ敗北の可能性もあり得ると思っているので、しっかりと体調を整えた上で再度スロノを始末しようと考えているエルロン。


 一方弟のミルロンは過去の依頼達成率からエックスを完全に信頼しており、配下の魔獣にはソルベルドを含む王国バルドの情報を得る様な指示を出さなかったので、新たな情報がエルロンに伝わらない。


 ギルドマスターに依頼した事によりある程度正確な情報を仕入れる事に成功して安堵しているスロノ達なのだが、残念ながらスロノや【黄金】もギルド保管の効果のある回復薬を飲んでも完全に回復しているわけではないので、エルロンが宣言していた再戦に向けての対策を練りつつも休息している。


 今回の当事者であるソルベルドはミューに看病されて睡眠状態にあるので、ここ数日特に騒動が起きる訳も無く平穏な時間が過ぎる。


「まったくよぉ~、リリエル、ビョーラ、リューリュまで依頼に駆り出されているなんざ、どう考えてもエルロンの差し金だろうがよ!」


 時間は過ぎてはいるのだが、あれだけの実力を見せつけたエルロンに対抗する為の作戦は思い浮かんでいない状況で、最も安易で確実な他のSランカーとの共闘を即実行しようとしたのだが全員が中止できない依頼を遂行中だと改めて連絡が入っていた。


 ドロデスはエルロンの差し金だと断定しているのだが、実は弟のミルロンの差し金だ。


「そんな事を言っても始まらないわよ、ドロデスさん。漸く普通に動けるようになったのだから、できる事をしておかなくちゃ!私達が動けると言う事は向こう(エルロン)も動けるようになっているはずよ?」


 冷静にミランダがドロデスを嗜めるのだが、自分自身も何が出来るのかは今の所思いついていないので実は少々焦りがある。


「あの・・・今更ですが、ソルベルドさんに事情を改めて聞いてはどうでしょうか?確かにドロデスさんの言う通りにこの状況は敵が裏で糸を引いている可能性が高いので、本当の敵がエルロン一人なのか、そこも踏まえて確認した方が良さそうですよ?」


 Sランカーであるソルベルドに致命傷を与えられる人物・・・詳細は不明ながらも人質を取られる事で動きが阻害されていたわけではないらしいとの情報を得ているので、その場合には同格の強さを持っている存在が動いていた事になる。


 ギルドに登録されているSランカーはスロノを除き全て依頼を実行中であり、除名されたエルロンはスロノを襲っているとなると全く別の第三者が暗躍している事は間違いないので、今更だが敵の戦力がエルロン一人であると考えるのは危険だと思ったスロノ。


 言われてみれば全て正しいので、一瞬全員が渋い顔をしつつも対応する為にギルドに向かい、改めてギルドマスターのシャールに情報収集を願い出る。


「度々悪りーな、シャール。例のソルベルドの件だがよ?ミューの目撃情報じゃなくて当事者の方が正確な情報が得られるだろう?そろそろ息を吹き返している頃だと思うからよ、もう一度改めて情報をとってくれねーか?」


 未登録ながらも同格に致命傷を負わされながら、中途半端ではあるがリリエルの術によって一命をとりとめていたソルベルド。


 元来の頑丈さもあって相当な疲労感は残りつつも日常生活には支障のない範囲まで回復している事から、王国バルドのギルドからの大至急の事情聴取に応じる事が出来ている。


 王宮からギルドへの移動に多少の時間は必要だったが、今は画像が投影されている壁にソルベルド、ミュー、ハルナが映りこんでいるテョレ町のギルド。


 画像は粗いながらもソルベルドが無駄にニヤニヤしているように見えており、今一つ王国バルド側の状況が掴めないスロノ達。


 相当な深手を負わされたのは間違いないソルベルドなので、Sランカーとしての矜持もあり相当不機嫌になっている可能性も考慮していたのがバカバカしい程の態度だった。


「えっと・・・ソルベルドさん?お久しぶりです、ミランダです。ご存じかもしれませんが少し前にこちらにエルロンが襲撃してきたので、その辺りの情報を共有しようかと連絡させて頂きました」


 最も交渉能力に優れているミランダが代表して語り掛けると、映像の見た目通り非常に機嫌の良さそうな声が聞こえてくる。


「あのクソ雑魚が向かったんかいな。見た所無事のようやけど、大丈夫だったんか?」


 内容も身を案じてくれる言葉だったので、道具を介してだが直接会話をする事で当時のソルベルドから本当に生まれ変わったのだと思い知らされ、何故か【黄金】の男性陣三人は背中が痒くなったようでモゾモゾしている。


「割込んで悪ぃ~けどよ?俺達はソルベルドからの謝罪の品をしっかりと受け取ったぜ?連絡済みだと思うが、一応直接話をする機会だから伝えておこうと思ってよ」


「それはおおきに、助かるで。今度も宜しゅう頼んまっせ?」


 やはりどう見ても暗殺を仕向ける様な人物には見えず、何とも言えない気持ちのまま再びミランダに引き継ぐドロデス。


 テョレ町側の目に映るのは、素顔を晒しているミューがソルベルドに寄り添っている状態であり、それを温かいし眼差しで見つめているハルナ。


 二つ名“恋のソルベルド”についても情報を得ているので恋が成就したのは間違いなさそうだが、今はそこを突っ込む状況ではないので色々と知りたい気持ちを押し留めつつ本題に移行する。


「今回の襲撃を受けて、他のSランカーの状況も確認しました。状況を整理した結果、相手にも相当な手練れがいる可能性が極めて高く、エルロンだけを相手にすると思わない方が良いとの結論に至りました。その部分でソルベルドさんにも情報を頂きたいのです」


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