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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
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(120)その後の動き

「チッ、雑魚のくせに思った以上に動けやがった。【黄金】も、スロノもなぁ。だが、あいつ等の実力は把握したぜ?次はきっちり息の根止めてやるからよぉ!」


 体中に軽くない傷を負いながらテョレ町から一時撤退しているエルロンは、想像よりも相当な強さを持っていた面々に驚きつつも、ソルベルドが何かしたのだろうと判断してそれ以上深くは考えない。


 ドロデスが最後にエルロンを煽る際にソルベルドの名前を出していた事から、彼等の後ろにソルベルドがいるのは間違いないと思っており、彼は飛翔魔獣によるミルロンからの速報で始末したと報告を受けた事もあって、【黄金】やスロノの支えとなっている存在は居なくなったと確信している。


 本来ある程度動けるようになってから即再戦を行って始末するのが良いのだが、リリエルの癒しであれば別だが、回復薬を使用してもそう簡単には万全状態に戻れない程の怪我であり、少しだけ時間を置くべく町の拠点からも離れている。


 テョレ町の拠点の地下には檻の中で未だに気絶しているリノがおり、今の状況であればエルロンにとっては不要な存在であるために完全に放置されているのだが、水や食料はある程度同じ空間にあるので今直ぐ命の危険がある訳ではない。


 一方で何とかエルロンを迎撃する事に成功した【黄金】やスロノだが、リリエル達やソルベルドの謝罪の品による戦力補強があってギリギリ撃退できた事実が重くのしかかり、実はミランダンに至ってはかなりのダメージを負っている。


 本来スロノが<収納>Exの中に保管している<回復術>を使用しても良いのだが、極限の戦闘によって魔力が枯渇して<魔術>すら真面に使用できない状態になっている。


 甘く見積もっていたわけではないが、実際に対峙すると想像をはるかに超えるだけの強さをエルロンが持っていた結果であり、やはり簡単に能力を得てしまったスロノとは経験が違い過ぎると嫌でも理解させられている。


 敢えて周囲に人がいない状態で迎撃していたのでこの場で頼りになるのは懐に忍ばせていた回復薬だけなのだが、それを飲んで漸く少し動ける程度しか回復されておらず、ボロボロになっている家の残骸に背中を預けて全員が休む。


「スロノ。まさか本当にあの(・・)ソルベルドがやられたと思うか?」


 不意打ちとは言えリリエルの癒しでなければ治せない程の傷を負わせる力を持つソルベルド、直接対峙してSランカーとしてその実力は疑いようがないと理解しているソルベルドだが、エルロンが去り際に始末したと宣言していたので信じる事が出来ないドロデス。


「ちょっと信じられませんね。あれ程の実力者ですし・・・!?ひょっとして、ミューさんを人質に取られたのかもしれません!」


 ソルベルドが生まれ変わった理由も全て共有しているので、そこから導き出されたスロノの仮定に否が言えない【黄金】の面々。


「確かに、あのソルベルドさんが普通に負けるなんて・・・それもエルロン以外の手にかかったって言っていたわよね?相手が同格であれば普通に負ける事も有るのかもしれないけれど、そうでなければスロノ君の考えが正しいのかも」


「じゃあよ?ハルナやミューもひょっとしてって事かよ?」


 不安は募るばかりだが、真面に動く事も出来ないので何もできずに悶々とする他ない。


 彼等にしてみればレベルSの力を持つ者はギルドに登録している五人と除名されたエルロンだけと認識しているので、正直そこは大きな誤解がある。


 結局一日全く動けずに休み続けた為、この部分から考えてもエルロンには撤退するだけの体力が残されていた事から非常に厳しい状況にあったと言わざるを得ないのだが、漸く動けるようになった【黄金】とスロノはギルドに向かう。


「で・・・至急王国バルドに状況を確認して貰いてーんだよ」


 迎撃には成功したのだが、エルロンが去り際に残した一言がどうしても気になっているので、各自の安全を確認すべくシャールに依頼するドロデス。


「わかった。【飛燕】のリノの行方も調査中だが、ある程度エルロンの拠点が絞れてきたから、そこで見つかる可能性があるとだけ伝えておこう」


 一気に慌しくなるギルドで効果の高い回復薬を摂取して相当回復する事が出来た【黄金】とスロノは、関係者の無事を祈るとともに誰がソルベルドを襲ったのか気になっている。


「ソルベルドさんを襲ったと言う事は、王国バルドに入国した上で王宮に入ったと言う事ですよね?」


「当然だな。とすると、相手は獣人族か?」


 獣人国家の王国バルドであれば、異種族の人族が入国した時点で相当目立つ上に警戒の対象になるので、安易に王宮に忍び込めないのではないかと考えているドロデス。


「ちょっと待って!あのソルベルドさんも平気で侵入していたじゃない?同じような力量があれば種族の違いで目立つなんてことはないと思うけど?」


 その考えはSランカー“陰のソルベルド”の実績によってミランダに否定された直後、情報を得に行っていたシャールが戻って来た。


「待たせたな。確かに王国バルドは魔獣やらの襲撃を受けた上にソルベルドが負傷したようだが、今は回復期にあって何も問題はないそうだ」


「シャール。例え回復期にあると言っても負傷した事実はあるんだな?あのソルベルドが」


 朗報とばかりに報告をしたギルドマスターのシャールだが、言われてみればSランカーの一角が負傷する事態が通常ではあり得ないので、ドロデスの問いに真剣な表情に変わる。


「その通りだ。言われてみれば確かに異常事態ではある。不審者の入国履歴はないが、情報によれば隠密系統の能力者に襲われて相当な深手を負った様だ」


「あのソルベルドが・・・レベルは知らねーが隠密の能力者程度にやられるとは思えねーよ。間違いなくエルロンが裏で糸を引いていやがるからな。ミューを人質に取ったんじゃねーのか?」


「確かにハルナ王女と同じ部屋にいたようだが、直接的に人質にとるような行動はしていなかったそうだ。まぁ、化け物の動きを正確に知る由も無いので話半分だがな」


 ミューを通した報告なので、実力的に全てを理解できないのは仕方がない。


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