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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆


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(12)スロノの過去③

今週は・・・と考えると、早くも仕事かぁ

「お待たせしました。今日の納品はこれでおしまいです。全部でスライム40体、ゴブリン12体。確認をお願いします!」


 ギルドの納品場に荷台を引いて入ってきたスロノ。


 この仕事をメインにしてから結構な時間が経過しており、能力とは関係なく荷台を引く力も自然と鍛えられて良い体になっている。


「今日も頑張ったな、スロノ。ヒイフウ・・・良し。いつも通り完璧だ。受取証書だ。受付に行って報酬を貰ってこい!」


「いつもありがとうございます!」


 長く同じ仕事をしているので納品場の職員とは顔見知りになっており、何時もの流れで労われた上でこれまた顔見知りになっている受付に報酬を貰いに行くスロノ。


「お待たせしました。今日は銅貨一枚と鉄貨一枚(1万1千円)ですね」


「ありがとうございます」


 普通の依頼に比べれば報酬は低いのだが、安全が確保されている事や依頼元の冒険者達も駆け出ししかいないので報酬に文句をつける事は無い。


「今日の成果は・・・よしよし。随分と溜まったな」


 本来この言葉を聞けば報酬を貯金しているように聞こえなくもないのだが、スロノが溜めているのはお金ではなく能力であり、運搬している対象が低レベルの魔獣や獣しかいなかったためにその全てがレベルEなのだが結構な数を溜める事が出来ていた。


 荷台をギルドに預けて食事を食べて宿に戻り、収納されている能力の一部を笑顔で確認しているスロノ。


「まさかレベルEを集めればレベルDになるとはな。流石にぶっ壊れ性能過ぎるぞ。この流れで行けばレベルDを集めればレベルCになる訳だし、冷静に考えれば恐ろしい能力だ。早い内に他人に与えられるのかを安全に確認したい所ではあるが、<鑑定>は未だに出ていないからなぁ。感覚的には大丈夫だけど、レベルEを付与しても力が有るかなんて鑑定しない限り第三者がわかる訳もないし、本人も自分の能力を確認しない限りは認識できない程度の変化しかないだろうし、どうするか・・・」


 贅沢な悩みではあるが、仮に誰かにレベルEながらも能力を与えて自分で認識してもらった場合、その能力を回収するところまで確認する必要があり、どう見てもスロノの手によって行われた事が明らかになってしまうと悩んでいる。


 理想は対象者が少々危険な状況に陥った状態でレベルD程度の能力を付与してその場を脱し、その後にさりげなく能力を回収するのがベストだと考えていた。


 ここで回収できていたレベルEの一つ上のレベルDの話が出てきているのだが、以前改めて能力を確認した結果、一部始めて見る表記があった事による。


 <剣術>E×103 統合可能


 この統合可能と言う所を不思議に思って、何の気なしに統合してみれば、


 <剣術>D×1 分離可能   <剣術>E×3 


 と表記が変わり、レベルEの能力を100個集めればレベルが一つ上昇してレベルDになる事を理解して歓喜し、とりあえず自分に付与してみれば明らかに体の動きが剣を持つまでも無く良くなっている事を把握する事が出来たので、自分で確認した結果しっかりと<剣術>Dの表記があったのだ。


 レベルDを幾つ集めればレベルCになるのかは未経験なので不明だが集めればレベルが上がると言う考えは何故か間違っていないと理解できたスロノは、日々の回収作業の依頼を喜々として行っていた。


 普通の冒険者であれば腐ってしまうような仕事を喜々として行っている事から納品場の職員や受付からも良く思われていたので、彼等としては少しでもスロノの地位が上がるよう、つまり良い報酬が得られるように日々考えていた。


 そしてある日・・・受付からこのような依頼を告げられた。


「スロノさん。今日はいつもとは少し変わった依頼を受けてみては如何でしょうか?」


「変わった依頼・・・ですか?」


「そうです。確かにいつもの依頼も本当に助かっていますが、たまには気分転換も兼ねて異なる依頼を受けても良いのではないでしょうか?しっかりと体も出来ているようですので、そう危険はないと思いますよ?」


 流石に日々冒険者を相手にしている受付だけあって、スロノの体の変化もしっかりと把握して安全である事を確認した上で依頼について提案している。


 スロノとしては未だに高い能力を得られていないので不安があるし今日もレベルEでも構わないので能力を集めたいと言う気持ちがあったのだが、結構な時間が経過して漸くレベルDが一つであると言う事実を踏まえ異なる環境に身を置く事も経験だと割り切る。


 日々の生活で色々と経験しているスロノは当たり前だが能力を持っている他人に不可抗力や必要に応じて触れてしまう事もあり、その際に感覚的に生きた対象でも触れてさえいれば能力だけ収納できそうだと言う確信は有ったのだが生きたままの危険な獣や魔獣に触れる事などできる訳も無く、何も知らない人から奪うつもりも無いので一先ず環境の変化、依頼の変化を受け入れる事にした。


「わかりました。どのような依頼でしょうか?」


「ありがとうございます。実はですね、ランウルフ討伐の補助(・・)です。討伐自体は相手がレベルDの能力を持っている場合が多いランウルフですから、討伐側も戦闘系統のレベルD以上を持つ冒険者が複数対応する事になります。その一行に補助として同行して頂きたいのです」


「今の話しでは、戦闘は受け持たずに補助に徹すると言う事ですよね?その補助って、事前の準備や回収と言った所ですか?」


「その通りですが今回は日帰りですので事前準備は必要なく、その場で素材を回収・運搬して頂ければ依頼は達成になります!」


 駆け出しレベルから少し上がっている冒険者に経験を積ませるランウルフ討伐なので、間違いなく相当疲弊して素材回収が出来ず無駄になる事から回収をスロノに依頼している。


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