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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆


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(108)テョレ町に集結する一方で

 ソルベルドを含むSランカーは各自の活動を開始しており、目下エルロンの標的となってしまったスロノが活動をしているテョレ町には【黄金】、スロノの弱点と認識されているリノ、かつてミランダと共にパーティーを組んで活動していた【飛燕】が集まっている。


 一方で、今の生活が夢のようだと思いつつも身辺警護には抜かりないソルベルドや、各自の依頼を受けて活動している他のSランカーなのだが、ギルドに登録していないレベルSの力を持つ存在も動き始めている。


 Sランカーとしてギルドに登録する事で各種制限が出てくるのだが、一方で通常の冒険者では考えられない程の報酬を定期的に入手でき、且つ権力までついて来る。


 その事情を知って尚登録しないと言う事は余程制約を嫌ったのか・・・と言っても大した制約ではないので、ある意味非人道的な事をしますと宣言するのと同義なのだが、そう言った連中が世にいるのも事実であり、その内の一人は暴風エルロンの弟であるミルロンだ。


「あの兄貴を手玉に取るなんざ、興味をそそられるぜ。スロノは兄貴が対応する以上は余計な事は出来ねーな。だとすると、互角以上の戦いをしたソルベルドを標的にするか?クククク、楽しめそうじゃねーかよ?」


 エルロンと同じ血が流れているだけあって非常に好戦的で周囲の迷惑、事情など一切お構いなしのミルロンは、エルロンから情報収集依頼を受けた段階である程度事情を聞いていたので、自らも自分勝手な報復の一端を担いたいと思っていた。


「テョレ町は相当荒れるだろうな。ついでに王国バルドでも騒動が起こりゃー、他の目障りなSランカーも翻弄されんだろ?」


 完全に王国バルドにいるソルベルドだけ(・・)が標的になっているのだが、ミルロンはレベルSの力を持ちつつも自らが強い訳ではないので、この場から動く事はない。


「まぁ、相手はSランカー。それも兄貴を撤退に追い込んだ相手となると、有象無象じゃ手も足も出ね~だろ?同格を使うついでに権力も使うかよ?」


 出立済みの兄エルロンの状況も把握する事が出来る能力なので、エルロンがテョレ町で暴れ始めると同時に王国バルドでも騒動を起こす事にし、とある存在に接触する。


 その人物はミルロンと現在のエルロンと同じ立ち位置の者であり、ギルドに登録していないSランカーの内の一人、名前もどう考えても本名でなく“エックス”と名乗っている人物であり、素性、性別すらミルロンの情報網をもってしても掴めていない。


 逆にそれ程の力を持っていると理解できるミルロンなので、今は余計な事はせずに時折仕事をこなす際に助力を願い報酬を支払い・・・と、非常に有能な手駒を手に入れたと考えている。


「んじゃぁ、早速依頼するかよ?」


 この関係になってから、ミルロンから接触するにはとある場所に札を下げる約束としており、配下の獣を使って連絡を取るための作業を始める。


 翌日・・・


「お、相変らずいつの間に・・・だな」


 裏の仕事の事務をこなしているミルロンの部屋にあるソファーに、音も無く一人の存在が現れる。


 フードで顔は見えず、外套で体形もわからず、言葉は変声しているのか毎回変わり口調も変化している事から、目的の人物であるエックスかどうかの判断は人知れずこの場に来られるか否かで判別するほかない。


「今日の用件は何でしょうか?」


 今日は少々高い女性っぽい声で丁寧に話しているのだが、前回は野太い男性の声でミルロン同様かなり荒い言葉遣いだったので、ココからエックスの個人情報を抜く事は出来ない。


「いつものような仕事だがよ?今回はちょっとばかり難易度が高けーな」


「・・・王族の殺害でしょうか?と言っても、その程度(・・・・)で貴方が難易度は高いなどと言う訳はありませんね。非常に興味がそそられます」


 王族殺害とあっさりと口にできる当たり、やはり正式にギルドに登録できるような人格でない事だけは明らかだ。


「はははは、いつも通りに頼りになるぜ。聞いて驚け?今回のターゲットは陰のソルベルド。王国バルドに引きこもっていやがるSランカー、<槍術>Sを持つソルベルドが相手だ」


「!?」


 流石に公的に認められているSランカーが相手になるとは思っていなかったらしく、エックスはピクリと体を揺らしてしまい、その姿を見たミルロンに突っ込まれる。


「珍しいじゃねーか?怖気づいたか?」


「ふふふ、そんな訳ないじゃありませんか。武者震いですよ?ですが、確かに難易度は高いと言うだけはありますね。当然それなりの報酬を要求しますね?前金と成功報酬で如何でしょうか?」


「お~、構わねーぜ。いつもの二倍の報酬を二回に分ける形で良いな?」


 何度も依頼を受注しているので、適正かどうかは別にして二人の中では難易度の高さを三段階に分け、それに応じた報酬は既に決まっている。


「報酬に異存はありません。難易度に応じた相応の報酬ですね」


 報酬の最も高い難易度が高い依頼の倍を支払うと言っているミルロンなので、今回の依頼が非常に難しい事は嫌でもわかる。


「んでよ?実は兄貴が別件でテョレ町に言っているんだがよ?そこでちょっくら暴れる予定なんだわ。それと時を同じくして事を起こして貰いてー」


「・・・なるほど。陽動を兼ねていると言う事ですね?」


「理解が速くて助かるぜ。もちろんソルベルドがいる王国バルド側にも、別ルートで騒動を起こすからよ?騒動が起きたタイミングで攻撃をしてくれりゃー良いぜ?命が取れず共、相当な怪我を負わせるだけでも成功報酬を支払おう」


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