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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
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(96)謝罪の品

 報告ついでに頼まれていたソルベルドからのお詫びの品を渡したスロノだが、ドロデスによればこれ以上ない程に高価な品だったようで、ある意味ソルベルドの本心からの謝罪の気持ちを理解すると共にSランカーの力を改めて認識した。


「こ、これ程の品ならよ?あんときのフザけた行動についても水に流しても良いかもしれねーな!」


 自らの斧、盾、そして<闘術>を持つオウビはグローブを使っているのだが、その武器のレベルが上昇する事に意識を持っていかれ、かつてソルベルドによって無防備な背後から襲われて大怪我を負った事を許すと伝えている。


 このレベルの魔石が市場に出回る事は無くこれ以上ない程に貴重ではあるのだが、この魔石によって強化された武器はソルベルドの漆黒の槍やエルロンが使っていた棒の様に屈強になる上、使用しない際には形態を変える事も可能になる。


 そんな品を三つも出せるソルベルドに驚きつつも、これで【黄金】としても蟠りは無くなったと安堵しているスロノ。


 全員が口にしている事であり、危険な存在(ソルベルド)があれ程激変したのを何とも言えない気持ちで見ていたのだが、どうせならば仲間として祝福したいと考えていた。


 一方、同じく冒険者の頂点の一角である暴風エルロンに関しては、陰湿さや対処に困る罠はなさそうだが、純粋に破壊衝動で行動していると知った為にある意味ソルベルドよりも質が悪いと思っている。


「んじゃーよ?わりーが今日の依頼は無しで良いか?早く武器を進化させてーからな。そうなると、コイツ()はもうオサラバか?」


 能力を絞らせないためにダミーとして帯剣しているドロデスだが、もうここまで有名になれば意味もないし斧も間違いなく強度が上がるので、破損した際の代替品としての役割も不要だと判断する。


「そうかもしれないですね。でも、その魔石・・・でしたっけ?武器のレベルを上げるのは分かりましたが、誰が加工するのですか?」


「そうそう。正直私も気になるわ?」


 ギルドの食堂で食事をしながら話をしている【黄金】とスロノは、周囲の色々な視線に晒されながらも気にする様子はない。


 かつてミランダにこの視線によく耐えられるな?と伝えた事があるスロノも、王国バルドで種族は違えど王族や貴族と長く接した経験もあって、周囲の視線はそれほど気にならなくなっていた。


 その上、あの国での活躍がギルドを通して・・・能力に係わる所以外、詳細の内容は伏せられているが、Sランカーと対峙して事を収めたと広く伝わったので【黄金】やスロノの評判は非常に上がっており、妬みの視線が少なかった事もあるのかもしれない。


 対象のSランカーについてはリューリュ、リリエル、ソルベルドの名前が挙がっており、各人の了承の元情報が展開されているのだが、ソルベルドに関しては悪い部分についてはハルナ王女の意志もあって公開されていない。


 暴風エルロンについてはどう考えても良い行動を行っていないと王国バルドのギルドから報告を受けているが、今のところ情報としては秘匿されている。


 その理由は・・・当然別格の存在である事から、悪い方向の情報が上がってきた際には相当な裏を取らなければ公にできないし、中途半端に指導をしてはギルドそのものを潰そうと動かれる可能性もあるからだ。


 同格がギルド側に立って応戦してくれる確約があれば問題ないのだが、必ずしもその保証が得られない以上は慎重に事を進めるほかないギルド。


 正義が力に負けると言えなくもない事態で、組織そのものを潰せるほどの力がある存在の為に有効な打開策は無く慎重に事を進めているのだが、ギルドにも強みはある。


「スロノやミランダが知りてーのも良く分かるぜ?正直俺だって知らねーからな。これからシャール(ギルドマスター)に依頼するんだからよ?」


 それがこのドロデスの話しに集約されているのだが、特殊な武具の加工やらメンテナンスはギルドが統括して管理しており、その一切が秘匿されている。


 相当な権力と財力を手に入れたSランカーでも製法を知る者はおらず、各自が持っている武具は特殊な品であり今のところメンテナンスも行う必要はないのだが、永遠に使い続けられる品は存在しない為にやがてはギルドの助けが必要になる。


「え?ドロデスさんも知らないのですか??」


「あぁ。コイツは高ランカーに対する制約の一つと言っても良いだろうが、特殊な武器の制作方法はギルドが秘匿事項として抱えているんだぜ?そうすりゃ、ソルベ・・・いや、エルロンみてーな奴もギルドに牙をむかねーからな」


 ソルベルドは生まれ変わったのを思い出し、スロノからの情報でエルロンと言い直したドロデス。


「ドロデスさん?それだとリリエルさんやリューリュさんは該当しないんじゃない?」


 武器を必要とする能力には見えず、事実二人が何かしらの道具を使用していなかった事を知っているミランダは、あの二人がギルドに牙を向けるとは考えられないながらも高ランクの冒険者に対する楔にしては弱いのではと告げる。


「あぁ、言いてーことは分かるぜ?だがよ、良~く思い出してみろ?あの二人、お揃いのブレスレットをしていただろう?」


「・・・そうね。仲良しなのでお揃いの品をつけているのかと思っていたけれど、あれがそうなの?」


「あぁ。間違いねーだろうな。恐らくだが、魔術行使、回復術行使に対して何らかの有効なアイテムなのは間違いねーぞ。だけどよ?そもそも、そんな道具が無くとも別格だからよ?同じ道具を手に入れたからって俺達がSランカーに成れるわけじゃねーぜ?」


 納得できる説明ではあったのだが、それならば自分も何等かの<魔術>Aに有効なアイテムを探す方が良いと考えるミランダに対し、スロノがもう一つ収納から箱を出す。


「そう言えバミューリュさんとリリエルさんからミランダさんへの品を預かっていました!」


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