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収納ってなんだろう!  作者: 焼納豆
105/235

(95)報告

「・・・と言う事があったのですよ」


「スロノの言葉を疑う訳じゃねーがよ?ちょっと信じられねーな」


「実は私もドロデスさんと同じ気持ちよ。でも、恋って偉大なのね?あれほどの危険人物が一気に味方になるなんて、凄くロマンチックじゃない?」


 騒動も収まり、ある程度王宮復興の手助けをしてハルナの王位継承に関しては何も障害が無くなり、全ての依頼を達成した事も確認して【黄金】の拠点である王国シャハのテョレ町に戻っているスロノ。


 あの時に王国バルドで起きた事を説明しているのだが、予想通りにソルベルドの豹変について懐疑の声が聞こえている。


「俺もこの目で見なければ信じられませんでしたけど、事実ですからね。ロマンチックかどうかは分かりませんが、あれ程劇的に変わるのは凄いですよ!」


「だがよ?リューリュはその件知っているのか?様子見で王国バルドに行った際、ソルベルドがいた瞬間に周囲を焦土にしかねねーぞ?」


 ソルベルドが王国バルドに攻撃を仕掛けた事やスロノ一行の毒殺事件に関与した事実を知るSランカー魔道リューリュなので、ドロデスが危惧している通りに何も知らずに入国してソルベルドを見つけた際には会話に至る前に容赦のない攻撃を仕掛ける事は明らかだ。


「そうですよね。でも、そこはリリエルさんがギルドを通して連絡したそうですよ。皆さんと同じように非常に懐疑的だったので、納得してもらうのに相当な時間と労力が必要だったと言っていましたね」


「まっ、良い方向に行ったんじゃ俺達がどうこう言う事じゃねーな。少なくともリリエルの恩には少しは報いる事が出来ただろうしよ?」


 その恩自体もソルベルドの攻撃によって負傷した傷を癒して貰った事なので、やはり少々納得が出来ない表情になってしまうドロデスを含めた【黄金】男性陣三人。


「ドロデスさんの気持ちは分かりますよ。で、こんなものを預かってきました」


 三人の微妙な表情を見たスロノが、<収納>の力を使って何もない空間から三つの箱を取り出して机の上に置く。


 本当の<収納>Exの力、能力やら術自体を収納排出できるところを見せているわけではないので、この程度の能力であれば第三者に見られても特段問題ないと思っている。


「何だ、こりゃ?」


「コレはですね、実は陰のソルベルド改め()のソルベルドとしての立場からの謝罪の品だそうですよ?」


「はぁ?」


 ドロデスの声と共に、同じく謝罪の品として箱を目の前に置かれているジャレードとオウビも、箱に罠や呪いがあるのではないかと渋い顔をしており、手に持っている箸を使って箱をツンツンつついている。


「大丈夫ですよ。箱は俺が準備しましたし、中に入っている物はリリエルさんも立ち会って入れたそうですから」


 ソルベルドもすんなり【黄金】の三人が謝罪の品を受け取るとは思っておらず絶対に警戒されると思い、できる限りの配慮をしていた。


「随分と・・・本当に丸くなったみてーだな。良い事だがよ?なんだか気持ち悪りーな。わかるか?この微妙な気持ち」


「私もドロデスさんと同じ気持ちね。でも、謝罪は受け取ったらどうかしら?今更返却も出来ないでしょう?」


 未だにツンツンして箱を開けようとしない三人を見て、ミランダが決断を迫る。


「だな。スロノは中身を知ってんのか?」


「知らないですね。俺が準備したのは箱だけで、中身はリリエルさん立ち合いで入れた様なので」


 ここまでの運搬はスロノの能力である<収納>によって保管されて運ばれたので、ドロデスクラスになれば<収納>の能力者が力を使って保管している品物は、能力者自身簡単に詳細がわかる事を知っている。


 強力な隠蔽等で詳細を分からない様にする術があるのも知っているのだが、スロノであればその程度は突破できるだろうと想像していた。


 スロノは敢えて中身を把握しようとはしておらず、本心からの謝罪を行っているように見えたソルベルドの気持ちを踏み躙らない様にしていたので、ドロデスにとってみれば望む答えは得られなかった。


「うっし、わかったぜ」


 ドロデスの掛け声で三人共に一気に箱を開けると、そこには微かな色のついた透明な石が保管されていた。


「こいつは・・・俺に鑑定は出来ねーがよ?今迄の経験によれば、相当ヤバいぜ?」


 ドロデスの言葉に同意して、激しく頷いているジャレードとオウビ。


「ドロデスさん。それって何なのかしら?スロノ君は知っているの?」


「俺も分からないですね。何ですか?」


 結構旅をして色々と経験をしているスロノだが、各地で受けた依頼は殆どが通常初心者が受ける様な依頼だったので、相当な実力が無ければお目にかかれないこの品の事を知る訳も無い。


 ドロデスでさえ驚いているので、共に行動をしてきたミランダでもお目にかかった経験がなかったようだ。


「こいつはよ?純度が異常に高けー魔石だ。これほどの透明度は見たことねーが、武器や防具の補強に使えるんだ。おそらくだが、コイツ一個で巨大な城が手に入る上に一生遊んで暮らせるぜ?」


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