第三章 二話 ゴッドカード、圧倒的な猛攻
「「リヴィール・オープン!」」
クォーデは1枚のカードを表にする。
「『その日、僕は壁を乗り越えられるか?』だ。」
『赤の五賢神 ユナイブライア』も、1枚のカードを表に返す。
「オレ様は『五賢神の集結』。
名前に『五賢神』とあるゴッドカードのエンターコスト、つまりは呼び出すための代償が必要無くなる。」
「ゴッドカードのエンターコストが不要になるだって!?」
勿論少年は驚きを隠せない。
そして、電羽の天使もあまりにも破格な効果に同様しているのか、人間のように手元がプルプルしている。
「せめてもの土産に、本来のエンターコストくらいは教えてやる。
先攻は好きに選ぶがよい。」
ユナイブライアは両腕を組んで堂々としている、かなり余裕な様子だ。
「それじゃあ僕が後攻で、そっちのお手並み拝見ってやつだ。」
顔は少し震えているが、それでも弱気なところを見せる訳にはいかない。
それをよく分かっているクォーデは、怯えを見せず前のめりになっている。
「ほう、その勇姿は褒めてやろう。
オレ様のターン、ドロー。」
「見せてやろう、オレ様以外の『赤の五賢神』をなあ!」
ユナイブライアは、ドローしたカードをそのまま空へと投げる。
「本来必要なエンターコストは、ライフコスト16を支払う、だ。
エンター、ゴッドカード、『赤の五賢神 リーダスローギュ』!」
空中フィールドに、リーダスローギュが実体として現れる。
「本来なら支払うことすら出来ないってことか!
それに、でっかい!!」
少年の4倍くらいの身長はありそうな炎人が、あぐらをかいて座っている。
「オラのエンター時効果で、ユナイブライアは4枚ドローする。
そして、このターン中に他の『赤の五賢神』がエンターした時、
赤色以外の『五賢神』をエクストラアタックさせることができるようになる。」
クォーデは他のカードを思い出す。
「エクストラアタック、『剣士集団 特攻隊』でそんな効果あったな。」
「オラをそんな弱小カードと同一視されるとは我慢ならないね。
やっちゃえユナイブライア!」
リーダスローギュはカンカンに怒っている。
どうやらゴッドな者達は、ファイターカードを雑魚扱いしているようだ。
「ああ、オレ様に任せとけ!
ライフコスト6を支払わずエンター、『緑の五賢神 チュルスライダラ』!」
今度は、まるで相撲のような丸い緑人が現れる。
ゴブリンに近い見た目だろう。
「チュルスライダラのエンター時効果で、このターン終了時、
オレ様のフィールドに居座るゴッドカードはすべてブロック可能な状態に戻る。」
「なっ、それじゃあ僕を先攻で殴っておきながら返しの防御も万全ってことになる!?」
クォーデ、最初から存分に押される模様。
「さて、オレ様、『赤の五賢神 ユナイブライア』をエンターだ。
特に変わったエンターコストは無いが、不要だから関係無いな。
エンター時効果があるが、今はそれも関係無い。」
「だけど、オラの効果、チュルスライダラは行動済みにならずそのまま直接攻撃する!」
緑人の五賢神は空中ながらもドスドスとクォーデに迫る。
「これは仕方無い、ライフで受ける!」
「そうかそうか、【ライフブレイカー:2】の痛みをライフカード如きに凌がれるのは
気に食わんが、まあいいだろう。」
パスッ。
突っ張りの要領でライフカードが押し飛ばされ、2枚が手札へ、残りは元の場所へ戻る。
「まだまだ!
ライフコスト8を支払わずにエンター、『黄の五賢神 トライクアト』、
ライフコスト14を支払わずにエンター、『紫の五賢神 ネクラアソベザ』!!」
他にも、ライフコスト5を支払わずに『青の五賢神 ワラルビジナル』、
ユナイブライアのフィールド上のカード13枚を破壊せずに『紫の五賢神 リギスメンタホ』、
デッキの上から8枚を除外せずに『黒の五賢神 リマルウォエントフ』をエンターした。
「それじゃあ、お手並み拝見とかふざけたことを抜かした小さき少年へ、罰を!」
そう言ったユナイブライアは、豆粒くらいにしか見えなかった先程とは違い、
約7メートルの高身長お兄さんになっていた。
あまりに唐突な瞬間で、クォーデは思わず少し跳ねた。
「接近速っ、ライフで受ける!!」
ユナイブライアはクォーデのライフの一番上をそっと取り、裏のまま手渡ししている。
「カードは大事に扱うものだ、それはどんな弱小カードでも変わりはしない。」
唐突な丁寧な扱いに、少年も天使も困惑する。
「あ、うん、なんか意外。」
五賢神お兄さんはまた少し気分を損ねた。
「ふん、どうせオレ様は見た目にも合わず律儀なことに驚かれる事には慣れてしまったんだ。」
言い終わった頃には、また豆粒に戻っていた。
「次、リーダスローギュ、トライクアト、ネクラアソベザ、ワラルビジナル、
リマルウォエントフ、チュルスライダラ、リギスメンタホ、
トライクアトの効果で一斉攻撃、削る合計ライフは10だ!」
リギスメンタホは【ライフブレイカー:3】を有しており、単独でライフを3も削られる。
「ライフで受ける!!」
パリン!
10枚のライフカードが手札へ移動すると共に、クォーデに謎の疲労が襲い掛かる。
「何だこれ、めっちゃ怠い――!」
「それはネクラアソベザの特殊な力だ、決闘とは直接的には関係が無い。
しかし奴の攻撃を食らった人間は暫しの間とてつもなく疲れてしまうのさ。」
疲労感と一斉攻撃の迫力に押され、クォーデは苦しむ。
「うう、くう、残りライフ2。
先攻1ターン目でこんなに削られるとは思いもしなかった。」
「忘れていないだろうな?
オレ様のターン終了時、オレ様たち『五賢神』はみな起き上がる。
これでお前のターンだ。」
先程一斉に攻撃を仕掛けた神のすべてが、一斉に立つ。
その一柱一柱から発せられるオーラは、それぞれの強さを訴えている。
負ける時もこんな攻撃を浴びせられるのかという恐怖。
謎の霧が出たり、突っ張りされたり、炎で焼き尽くされたり。
そのすべてに対する恐怖が、クォーデを支配しかけていた。
「ぼ、僕の、ターン。」
その時だった。
「ライセンスカード、『その日、僕は壁を乗り越えられるか?』の強制効果、
クォーデは過去の苦しみに向き合わなければならない!!」
少年を抱える天使の声だった。
その声に反応して、カードが光り、少年を包み込む。
「うおあ!?」
少年は光の中で、静かに気を失った。




