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第一章 二話 村の結束、連続ファイト

「あれ、ディヴォートしたいとか言ってたよね?」


「ああ、これからするんだよ。こいつがあるから!

 エンター、ゾーンカード、『雨水滴る森林』!!」

ゾーンカード、フィールドに残り続ける置き物のカードだ。


「へぇ、ゾーンカードも使えるんだね。

 しかもあれは、自分のターン開始時の効果でデッキの1番上のカードを公開するタイプ。

 基本的には必ずディヴォート出来るとは限らないけど…」


「そう、ディヴォートできない制約を持つカードを殆どデッキに入れないことによって、

 ほぼ確実にディヴォートできるようにした。」


「低コストが多いって晒して大丈夫?」


「言わないと見極めにくくない?一応気遣いだよ。」


「それは別にいらないよ、さあ続けて。」


「さらに『緑色の弓兵』をエンター!このターンは確実にディヴォートさせてもらうよ。

 『黄色の術兵』もエンターして、『フェイクアンドセレクト』を発動!

 効果で1枚ドロー、フィールドの『黄色の術兵』を実行して追加で2枚ドローして、

 手札から『黒色の闇兵』1枚を破棄する。」


クォーデがまた構える。

「さあ、『緑色の弓兵』で『剣士集団 守護隊』にアタック!

 アタック時効果で手札から『黄色の術兵』をディヴォート。」


「パワーが負けているのに指定アタック、ということは…」


「さあ、ブロックするか?」


「アタックされている守護隊はブロックできないけど、

 他のファイターカード、今回なら『村の武闘家』はブロックできるから、ブロック!

 パワー6000で相討ちかな?」


「いいや、ワイルに『水流の加護』!

 アタックしている『緑色の弓兵』を指定して、このターンの間パワー+7000する!!」


「成程ね。これが2枚あるなら、パワー20000の守護隊と相討ちだね。」


「ブロックされたから仕方ないね、こういうパターンもあるって訳か。」

ブロックした『村の武闘家』は矢に刺されて消える。


「じゃあ、『赤色の拳兵』でアタック!アタック先はそうだな…

 『村の武闘家』でもいいんだけど、やっぱり守護隊のブロック時が強力だし、守護隊へ!」


「それじゃあ意味無いよね?『村の武闘家』でブロック。」


「アタックしただけなら、確かに意味は無い。ありがとうブロックしてくれて。

 相討ち系のアビリティカードを警戒したのかもだけど、

 生憎そんなカードはまだ手札に無くってね。

 ブロックされたので『赤色の拳兵』の効果、1枚ドロー。」


「拳兵のパワーは7000かぁ…ということでワイル、『村の結束』!

 このターンの間、私のフィールドにある『村の武闘家』のパワーが+5000されるよ。」


「11000か、これは仕方ないなぁ…

 というか、これならブロックしなくて良かったよね!?」

拳の殴り合いは、『村の武闘家』が勝利した。


「まだ、私が本気を出すまでじゃないって事だよ。

 さっきから、コストが20以下のカードしか見えてない。

 今のところは最も高くて『雨水滴る森林』の14コスト。

 それでも本気で挑もうと思ってるの?」

少し険しい表情で、しかし声色は変わらず、スミレが問う。


先程まで顔が緩んでいたクォーデが顔を整える。

「…まだ引けていない事実には、言い訳しない。

 それに、今それに答えても説得力が無いから、実際に本気を見てもらってからだね。

 ターンエンド。」


次のスミレのターンは2枚ドロー、メインアクションには何もしなかった。

『健気な少女 スミレ・アイ』が『緑色の弓兵』へアタック、

手札を2枚裏で上に置き、ファイトに勝利。

さらに『剣士集団 特攻隊』もダイレクトアタック、効果で1枚ドロー。

途中の駆け引きは全く無く、クォーデのライフは12に。


「守護隊はアタックが出来ない。特攻隊はブロックが出来ない。

 その代わり、パワーが大きいのか。

 コストが5しかないスミレもパワーが15000、しかもおまけ付き。

 この3枚、大分厄介だな。」


「このままだといずれ、私のライフを削り切れなくなるよ?」


「ターン開始時、『雨水滴る森林』の効果を使い、デッキの1番上のカードを公開!

 公開された『黒色の闇兵』はディヴォート可能なので、ディヴォート!」


「早く同じカードが5枚出尽くしたとはいえ、遠い道のりだね。」

同じカードは5枚まで入れることができる。

よって、5枚目であるこれが最後の『黒色の闇兵』である。


「いや、このデッキはこれでいい。

 スタート、ドロー、ドロー!」


「合計コストは64。何をしてくれるのかな?」


「メインアクションへ移行。

 トータルコストが60以上の為、このカードをエンターすることができる!」

カードを使うには、ディヴォートしているカードのコストの合計が、

使うカードのコスト以上でなければならない。


(さらにこのカードは、ある条件を満たさないとエンターできない。

 その分強力だから、これで状況を変えて見せる!!)

「〈エンター条件〉は、自分相手を問わず、『兵士』カードが8枚以上ディヴォートされている事!

 条件達成によりエンター可能!

 幾多の兵士と共に歩き、此処に明るい夜明けを宣言する!

 エンター、『始まる明日 トロウ』!!」


「プロパティに『兵士』があるカード8枚、それを君だけで達成した!?」

(『青色の剣兵』1枚、『黄色の術兵』3枚、『黒色の闇兵』4枚、これらは全部『兵士』。

 剣兵とか術兵とかオシャレな名前だけど、共通部分をちゃんと生かしてる。

 そういえば『赤色の拳兵』とか『緑色の弓兵』、

 まだ1回もファイトしてないけどフィールドに2枚ある『白色の技兵』もコスト8だね。)


驚きつつも冷静に考察するスミレの様子を察して、クォーデが行動を続けながら話す。

「8枚ディヴォートしたら合計60を超えるからこの為なのかなって。」

(トロウをもう1枚エンター。さらにもう1枚。)


「デッキの構築も、話と状況から考える分だと出来るタイプっぽいね。

 というかしれっと2枚目と3枚目もエンターしてるしー」


「構築出来ないデッキもあるけど、大抵はちゃんと組める。

 一応エンターしたターンの間はアタックもブロックも出来ないから安心して。」

(さらにアビリティカード、『死者の加護』を発動。

 トラッシュから『緑色の弓兵』2枚と『赤色の拳兵』1枚を除外して、2枚ドロー。)


「効果で制約まで付いてるから逆に安心できないんだけど…」


「流石にタダでターンを返す訳にはいかないから、『明日への憧れ トスク』もエンターするよ。」


「ファイターカードが多くなってきたね、手札を使い切ろうとしているみたいだし。」


「まあ、残り2枚もトスクだしエンター。」


「軽々しくとんでもないことやってるよね、クォーデ。」

(しかも、『死者の加護』でドローした2枚がトスクってことだよね…?)


「珍しい、こんなに早くフィールドにカードが10枚置かれてるのは!」

(術兵が1枚、技兵が2枚、森林が1枚、さっきの6枚。

 技兵もブロッカーにしたいから今は…)

「でも『黄色の術兵』でアタックしても結局守護隊にブロックされるし、これでターンエンド。」


「トスクもアタックしないんだね。スタート、そして2枚ドロー!」

(トスクのパワーは34000、トロウは50000。

 そしてクォーデにはあんな事を言っておきながら、

 実力を見極める為に態と甘めに組んだこのデッキにはコスト30以上のカードは1枚も無い。

 でも、この世界の〈赤〉をなめられたら困るよ!)

「手札から、『村の賢者』をエンター、エンター時4枚ドロー。」


「コスト6なのに4枚ドロー!?」


「それだけじゃないよ、ま、それはファイトアクションで。

 続けて、『村の護衛兵』5枚をエンター!

 護衛兵がフィールドにある間、私のフィールドにあるファイターカードすべてのパワーを+6000、

 今は5枚あるから、合計+30000!!」


「一番パワーが高い守護隊で50000かよ!

 しかも、これでスミレのフィールドにも表のカードが10枚、これが〈赤〉の結束か。」


「〈赤〉の結束はまだ強くなる。『村の優等兵』をエンター。

 優等兵がフィールドにある間、名前に『村の』があるファイターカードはパワー+5000。」


「1番しょぼい筈の護衛兵でも36000、しかも守護隊以外はコスト1桁か。」


「賢者で技兵をアタック。アタック時効果で最後の手札1枚を破棄して、

 今アタックされていない技兵を破壊する!」

アタックの途端スミレの声色が変わったことに気付いたクォーデは少し慌てる。


「『黄色の術兵』でブロック!そっちの方が勝つので当然破壊される。」


「次に武闘家でダイレクトアタック!」


「残っている『白色の技兵』でブロック!ブロック時効果で」


「武闘家よりパワーが低いので、ブロックした技兵を破壊!」

武闘家のアタックがブロックされた時の効果だ。


「何だって!?でも効果は使えるから、守護隊を手札に戻す!」

クォーデは深く呼吸して構え直す。


「それは分かってた。これでターンエンド。」


「僕のターン。『雨水滴る森林』の効果は使わずに2枚ドロー。

 『動かぬものへの包囲』を発動して、スミレの上の」

指さしで指定し続ける。

「それだな、その1枚を手札に戻す。

 手札に戻ったので僕が2枚ドローする。」


「ということは、あの効果はとっくに把握してるってことだね?」


「うん、このカードをデッキに入れてて良かったよ。」

(同じカードをもう1枚発動。もう1枚手札に戻して2枚ドロー。)


「トロウで『健気な少女 スミレ・アイ』にアタック!」


「アタック時に手札4枚を破棄するとパワー+7000、まあ今はする必要無いよね。」

(特にブロックしない私はパワー45000だからトロウより低い、破壊だね。)


「そういうこと。」


「破壊時効果、上にあるカードの分だけドロー。今は2枚だから2枚ドロー。

 さらに、私がフィールドを離れる代わりに、上にある裏向きのカード1枚をトラッシュに送る。」


「トロウのアタック終了時効果、僕がディヴォートしているカード3枚を実行して、トロウを準備する。

 つまり再度アタックできる。という訳でもう一度スミレに指定アタック!」

(あと2回破壊しないといけないのか。)


「それもブロックしないし、破壊時1枚ドローしてフィールドに残る。」


「トロウのアタック終了時効果はディヴォートカードがある限り何度でも使える。

 もう一度立ち上がれ!そしてスミレに指定アタック!」


「ディヴォートカードが全部実行したし、優等兵でブロックしておくね。」


「まだまだ!」

(2枚目のトロウでスミレに指定アタック!)


「それじゃあおとなしく破壊されておこうかな。」

(あまり意味無いけど、破壊時効果で0枚ドロー。)

スミレはフィールドから降り、1名のプレイヤーとして再びカードを操る。


「やるべきことはやったから、1度ターンエンド。痛くないの?」


「別に痛くないよ。クォーデも機会があったら体験してみるといいよ。」

(スタート、そして2枚ドロー。)


「『村の村長』をエンター。エンター時に1枚ドローして、『村の兵隊長』をディヴォート。

 これでコスト26。エンター、『村の英雄 ディオ』!」


「エースっぽいカードが出てきたな。」


「さらに『村の優等兵』を3枚エンター。1枚につき『村の』ファイターのパワー+5000

 ゾーンカード、『村の民家地』2枚もエンター。1枚につき『村の』ファイターのパワー+4000。

 前のターンに戻されていた『剣士集団 守護隊』もエンター。

 これでディヴォートカードは一度使い切って、手札は1枚。」


「護衛兵が5枚残ってるから、剣士集団以外はそれぞれパワー+53000、

 剣士集団は+30000、このままだとまずいな。」


「さあ、どこまで行ける?ディオでダイレクトアタック!

 アタック時効果で、私のトラッシュにあるカードを5枚までをデッキの下に戻す!

 今回はあまり影響無さそうだし、私をトラッシュに残して残りから適当に5枚戻しておくね。

 5枚戻したから、ディオが準備する!」


(『明日への憧れ トスク』でブロック!)

「パワー73000がすっと準備するのはヤバいなぁ。

 トスクのブロック時効果でもう1枚のトスクを実行して武闘家を破壊!」


「90コストくらいのカードでやっとあり得るスペックだよね。

 それじゃあトスクは破壊だね。」

(ディオが相手に破壊された時効果は流石にしんどいみたいだし、武闘家になるよね。)


「破壊した上で除外って流石にまずいからね。こうするしかない。」


「賢者で、まだ準備してるトスクにアタック。

 アタック時に手札1枚を破棄して『雨水滴る森林』を破壊しておくね。」


「まだ準備してるトロウでブロック!」

(そのまま破壊される)


「護衛兵で同じトスクにアタック。」


「じゃあそれはブロックしないけど、かわりに破壊時、トラッシュにあるトロウの効果!

 手札の『兵士』、『緑色の弓兵』を除外することで、デッキの上に戻す!」


「じゃあ残りのトロウ2枚とトスク1枚も護衛兵で指定アタック!

 一応トスクから指定アタックする!」


「そうだね、結局1枚は効果使えちゃうからね。

 特に妨害しないで破壊されるし、破壊時のトロウの効果は使わない。」


「次の私のターンで大体12ライフ削れるよ。

 余計な手札は与えたくないし、ターンエンド。」


「僕のフィールドにカードは無いし、スミレのフィールドにはファイターカードが12枚。

 守護隊はアタックできないけど、ディオが2回攻撃出来るっぽいし、

 仮にそうしなくても次にドローしそうなファイターカードをエンターさせれば終了。

 これは笑えないな。」


「覆して見せて、この状況を。」

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