5回目 浸透工作
宝来王国を含めた小国。
それらに多大なる影響を与える大国。
領土面積も、人口も、産業も、あらゆる面でそれらは周辺国を上回る。
そんな国の内部事情がかつて送り込んだ者達から届けられる。
それらを見聞きするうちに、多少なりとも分かる事もある。
大国が抱える問題などだ。
確かに大国は強大だ。
軍事力も、産業も、知識や技術も。
人口だって宝来王国などを圧倒する。
それこそ、大国周辺にある小国全部よりも。
そんな国なのに、周辺の小国から労働力を輸入している。
奴隷や出稼ぎ労働者として。
この傾向は奴隷への教育を始めた頃から変わらない。
むしろ、時間が経つごとにより大きくなっている。
それだけ労働者が必要なのだろう。
仕事がそれだけ多い…………というわけではないらしい。
どうも大国の国民が減ってるらしい。
その為、労働力が常に不足がちだという。
いまだに子供がたくさん産まれる宝来王国とは大違いである。
もっとも、貧乏の子だくさんという事なのかもしれないが。
だが、これはこれで狙い目だ。
当分は需要があるのだから、どんどん人を送り込む。
そのまま現地に居住。
結婚して子供も生まれれば、更に勢力を拡大出来る。
例え地位の向上が無くても構わない。
数で制圧すれば良い。
「いけるか?」
成功するかどうかは分からない。
しかし、これが続くならば、大国内部に浸透出来る。
戦争をしないで、相手の国内を制圧出来る。
この際手段は、奴隷売買でも出稼ぎ労働でも構わない。
難民だろうが移民だろうが、とにかく何でもいい。
遮られる事なく相手の中に浸透出来ればいい。
それだけで、平穏無事に侵略が出来る。
ここに来てヒロサキは、可能性を見いだした。
強力な大国への対抗手段を。
静かに少しずつ相手を削っていく方法を。
「やってみるか」
成功するかはわから無い。
だが、失敗しても失うものはない。
試してみるのも一興だ。
どのみち、まだ少数だが奴隷売買もしている。
出稼ぎ労働もしてもらわねば困る。
まだまだ宝来王国は、国民を自国で賄う事も出来ないのだ。
需要があるうちは、人を送り込み続ける。
そうするしかない。
そんなこんなで更に数十年。
宝来王国出身者は大国内に広く浸透する事になった。
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