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4回目 品質向上

 工業製品が売れるようになって変化が出て来た。

 子供を奴隷として売る必要が減って来た。

 無くなったわけではないが、奴隷以外に生きる道が出て来た。

 これが大きい。



 更に、奴隷の価値を高めるために行っていた教育。

 これも国内産業の底上げに貢献していた。



 どんな仕事に就くにせよ、最低限の教養があるのは大きい。

 その教養を持った者が国内製造業に従事していく。

 これにより、産業の底上げが為されていった。



 そして、産業から上がってくる成果。

 それを研究し、教育に還元する。

 少しずつ教育の質を上げていった。

 より高度な人材を確保するために。



 人。

 これしかないのだ。

 まともな産業もない三流国。

 そんな宝来王国が少しでも成長するには。

 人に知識や技術を身につけさせるしかない。



 なによりも、規範をみにつけさせる。

 単純な挨拶から、人として守るべき事。

 それらを身につけさせる。

 そうしていく事で、最低限の水準を確保していく。

 人としても、国としても、文明としても。

 それが出来なければ、夏でも肌寒い国で凍えていくしかない。



 幸い、ここ最近の宝来王国はそんな状況を脱してきている。

 以前よりは食料も安定してきた。

 家の防寒なども更に進んでいる。

 生活環境はかなり改善されてきた。

 国内全体にはまだ普及はしてないが、徐々に改善がなされている。

 それだけでも御の字だろう。



 また、思いもがけない所で成果も出ている。

 奴隷として大国に売られていった者達。

 それらの中には、奴隷の身分から解放された者もいる。

 給金を貯めて、自分の身分を買い戻したり。

 あるいは能力が認められて、相応の地位に引き上げられたり。

 そうした者達の子孫が、大国の中にそこそこいる。

 勢力というほど大きくはない。

 だが、そうした者達から大国の情報が入る事もある。



「こういう事もあるんだな」

 予想外の事にヒロサキは驚く。

 だが、使える情報があるなら、それに越した事は無い。

 世界の、特に影響力のある国の情報だ。

 どんなものだって、手に入るならありがたい。



 更に加えて。

 そういった元奴隷や元宝来王国の人間が、宝来王国の者を呼び込む。

 彼等も同郷の者が欲しいのだろう。

 それに、使える人材を求めている。

 相変わらず、教育がなされた人間というのは少ない。

 ヒロサキが動き出してから100年前と変わらず。



 これにはヒロサキも助かっていた。

 まだまだ宝来王国内部での就職は厳しい。

 どうしても外に出稼ぎにいく必要がある。

 かつてより国内事情が改善されてるとはいえだ。

 そんな所に、こうした手引きは渡に船である。

 ありがたくお受けする事にしていく。



「奴隷を出荷するよりマシか」

 そういった気持ちもある。

 国が貧しく、出稼ぎに行くしかないのだが。

 それでも奴隷として売られていくよりは良い。



 何より、大国内に勢力を作る事も出来るかもしれない。

 そうなれば、色々と工作もしやすくなる。

「警戒はしてるだろうけど」

 国内に外国勢力が入り込む。

 大国とてその対策はしてるだろう。

 だが、それでもだ。

 大国の中に自分の勢力があるのはありがたい。

 上手くいけば、相手を内部崩壊に追い込む事も出来る。

「そう簡単にはいかないだろうけど」

 そう思いながらも、人を送り込む努力を続けていく。



 それから更に数十年。

 産業は少しずつ、しかし確実に発展していく。

 いまだ高性能な製品を作り出すにはいたらない。

 しかし、そこそこの廉価品を作りだし、それなりの利益を出していっている。



 大国に入り込んだ者達も上手く定着していく。

 そういった者達が家族にあてる仕送りも、宝来王国を支えていく。

 国がそれらを徴収するわけではない。

 単に国内にいる者達の生活を支えてくれる。

 それが大きいのだ。

 それだけで国力安定に繋がる。



 一人一人の生活が安定していく。

 そうなれば、人が定着していく。

 人口の増加にも繋がる。

 人数はなんだかんだ言っても力だ。

 その力を手に入れる事が出来る。

 それを支えてるのが仕送りだ。

 税金やら何やらで横取りするわけにはいかない。

 そんな事をすれば、国民の怒りを買う。


 何より、仕送りで生活の一端を支えてる者達を困窮させる。

 国としては、そちらの方が損失は大きい。



 国民がまともに生きていける。

 そうして生きていく事で何かしらの生産をしていく。

 その生産の一部をかすめとっていくのが統治者だ。

 その国民が潰えるような事をするわけにはいかなかった。



 そんなわけで、大国から様々なものが送り込まれる。

 それらもヒロサキの領地を支える一助になっていた。



 また、もたらされる情報。

 それが新たな可能性を考えさせていく。


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