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2回目 奴隷売買

 とにかく売れるものがない。

 産業らしい産業がないのだから当然だ。

 それが生活を貧しいものにしている。



 必要最低限のものは、ギリギリ生産出来ているのだが。

 重要な部品や精密品などは輸入に頼るしかない。

 その中には食料も含まれている。



 そんな中で唯一輸出できるものは一つ。

 人間しかない。

 つまりは、奴隷である。

 そんな事をしなければならない程、宝来王国は貧相で困窮してるのだ。



 ヒロサキもここはどうにか改善したいと思ってる。

 だが、智慧も知識も技術もない身ではどうしようもない。

 ごく普通の底辺学校卒のブラック企業社員だったヒロサキだ。

 特殊な知識や技術があるわけもない。

 奴隷に代わる商品など、生み出せるわけもなかった。



 ただ、手をこまねいてるわけにもいかない。

 奴隷しか売るものがないなら、その品質を向上させる。

 そうしていくしかなかった。

 人道にもとるとは思う。

 だが、だからといって他に選べる手段があるわけでもない。



 幸い、と言って良いかは分からないが。

 この世界の文明水準は低い。

 産業革命前の、いわゆる江戸時代とか中世とか。

 そういった文明段階である。

 前世の現代日本ではごく一般的(よりは下)の水準だったヒロサキではある。

 しかし、それはこの世界ではかなり高度な教育を施されていた事になる。

 その知識や経験がヒロサキのささやかな武器になる。



 単純な読み書きと計算。

 それと一般的な礼儀作法。

 それらを奴隷として売られていく子供に施していく。

 これならヒロサキにも教えられる。



 とはいえ、そう高度なものではない。

 読み書きは、いわゆる平仮名や片仮名。

 計算も、足し算引き算に、かけ算割り算。

 最悪、足し算と引き算だけで済ませる。

 それ以外は、挨拶をするとか、お辞儀をするとか。

 目上の人への言葉使いだとか。

 知識といってもこの程度だ。



 それに加えて、整理整頓をするとか。

 掃除をする、そのやり方だとか。

 特段特筆するほどの事とは思えない物事がほとんどだ。

 しかし、この世界ではこんな基礎的な事すら教わらない者が多い。

 そこにヒロサキは目を付けた。



 挨拶をする、時間を守る、掃除をする。

 この三つが出来るようになれば、人間はまともになる。

 そういう事を前世のどこかで見聞きした記憶がある。

 それが本当かどうかは分からない。

 だが、例えまともな人間にならなくてもだ。

 これらは身につけて損は無い。

 少なくとも、奴隷としての価値はあがる。



 その考えは当たった。

 奴隷として売られるのは変わらない。

 しかし、値段は高くなる。

 その分だけ、売り出すヒロサキと宝来王国の収入になる。

 なにより、子供を売りに出さねばならない家族にも。



 また、奴隷にならざるえない子供達の待遇にも関わってくる。

 教育が既になされてる子供達。

 それだけでも価値は高まる。

 買い取った者達だって大事に使う。

 奴隷という身分は変わらないが、待遇は良くなる。

 それは、最悪よりは幾分マシという事でしかないだろう。

 だが、酷い境遇で悲惨な目にあうよりは良い。



 そんな教育をヒロサキは何十年も続けた。

 その間に少しずつ少しずつ資金を積み重ねていきながら。



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