いましめ
暗い古城で吸血鬼を待つこと数ヶ月。
ついに吸血鬼に遭遇した。
私は吸血鬼退治を命じられた神父である。
私は吸血鬼を見つめて言った。
「人々の血を吸い、恐怖に落としいれる、お前を退治する。」
「確かに俺は怖がらせたかもしれん。しかし命までは取っていない。それなのに貴様は俺を死刑にするのか。人間の法律なら、牢屋にぶちこまれるくらいで済むだろう。」
「お前のような怪物がのうのうと生きているのは困るのだ。」
「なら問おう。俺は生きるために何も殺しちゃいない。すんでの所で我慢しているんだぞ。俺だってこんな事はしたくはない。しかしそうしなければ死ぬのだ。だが人間はどうだ。他の生き物の命を己の贅沢の為に必要以上に奪っているではないか。生きる為なら仕方ないが、罪無き獣どもを飼い殺しにしたりしているではないか。」
騙されてはいけない。こいつは敵なのだ。
「しかも、人間には無差別に人を殺す者までいるそうじゃないか。俺たち怪物でさえそんな事はしないぞ。人間の方がよっぽど恐ろしいではないか。」
私は吸血鬼の話を聞いているのが嫌になったので、不意を突いて倒した。
「今に見ていろ。お前ら人間は罰を受けるぞ。」
吸血鬼はそう言い残し灰になった。
私は吸血鬼を倒した英雄として、王に、村人に讃えられた。
王からのご褒美で一気に裕福になった。
神父をやめて、貴族として生活するようになった。
毎日、自分の好きなものを好きなだけ食べ、珍しい動物を世界中から取り寄せて飼い、女を侍らせた。
何不自由ない生活なのに、私は吸血鬼の言葉が気になって落ち着いていられなかった。
数日後私の金は全て盗まれ、飼っていたライオンに襲われた。私は丸々太ってしまったので動くことすら出来ず、女たちは私を見捨てて一目散に逃げ出した。
その時、吸血鬼の声がした。
「だから言っただろう。」