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お漏らしあそばせ精霊姫  作者: ななぽよん
【3章】チョコパイ旅行編(8歳春~)
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53話:猫耳美少女王国の建国を宣言する!

 ぽんぽこお腹を上向きにソファに寝転んで食休みしていたら、ロアーネが遅れて客室に戻ってきた。


「はぁ。それでティアラ様はどうするおつもりですか」

「ふむ。まずは現地で調査が必要だな」


 美味しいお菓子の名店を探さなければならない。日の持つ焼き菓子なら使いを出すのも良いだろう。だがスフレのような焼き立てが美味しいお菓子なら足を運ばなければならぬ。


「やはり中心地は首都だろうか」

「そうですネ。地方の方が多いですが、危険も伴いますからあまり動かない方が良いでしょウ」


 ぬ? 地方の方がお菓子が多いのか!? なるほどそうか。中央ならば全て集まるというわけではない。B級グルメのようなものになると地方でしか食べられないものも沢山あるだろう。おっさんの田舎でも大麦粉を蜂蜜と砂糖で練った私の好物のお菓子があったが、都会では売っているのを見たことがなかった。

 しかし地方は危険なのか。クリトリヒ帝国も魔物はびこるシビアン山脈の麓にあるから、大きい街でないとまだまだ危険が危ないのだろう。


「そうなるとううむ。やはり私はぐうたらしているだけになるのでは?」

「ぜひそうしてくださイ」

「もう問題を起こさないでください」


 周囲のわちへの信頼がゼロなんじゃが!?

 だがぐうたらを求められているなら仕方がない。ぷにぷに幼女お姫様としてぐうたらに努めようではないか。がんばるぞ! だる~ん。


「よだれが垂れてますよっ」


 ルアにお口をふきふきされた。ちょっと脱力しすぎたぜ。きりっ。


「この旅でやるべきことは見つかったな」

「ほどほどにしてくださいね?」


 うむ。ぷにぷに幼女はともかくぷよぷよ幼女はちょっとな。よし。


「ではまずランニングから始めようかな」

「え?」


 え? ウォーキングの方がいい? そんなにぷよってる?



 見知らぬ街を歩く。うむ、これぞ観光だ。ただ一人でのんびりというわけにはいかない。ロアーネと侍女と護衛のじっちゃんとにゃんこを引き連れている。知らない街には危険が沢山あるからな。まあ、にゃんこを見かけた住民の方が先に逃げていくのだけど。要注意人物は私の方であった。


「ふむ。だいぶ寂れた方に来てしまったな」

「そうですネ。しかし街の外れの方が目的のものは見られるかも知れませんガ」


 なんと? お菓子屋さんは街の中心にあるものではないのか? まだ裕福な人しか甘い物は食べられないと思っていたのだが、そうでもないのだろうか。貧民層のお菓子というのは……うーん……お腹を壊しそうでちょっと嫌だぞ。衛生面的にな。

 まあ美少女はうんちなんてしないし下痢も当然しないんだけど。お腹が痛くなるのは困るよね。


「うーん。結構歩いたし戻ろうか。……ん?」


 なんかどなり声が聞こえたと思ったら、猫耳フードな幼女が恰幅なおばちゃんに叩かれているぞ。親子といった感じでもなさそうだな。


「あれは?」

「お嬢様が関わることではありませン。早く行きましょう」


 うーん、でもなあ。女の子が困っていたら助けるのがロマンスってやつだろう?


「話だけでも聞いてみよう」

「なんだいあんたら……ひぃ! 翼ライオン(ドルゴン)!?」


 おばちゃんは腰を抜かし、猫耳フードは頭を抱えてうずくまった。

 やっちまったぜ。てへへ。

 にゃんこを後ろに追いやっていたら、ロアーネが代わりに前に出た。


「こちらにおわすのはエイジス教の天使であり精霊姫であるティアラ様です。あなたはなぜ少女を折檻していたのですか」


 なんかさらりとまた何か称号を盛ってない?


「し、神官さま……。いえ、折檻だなんてあたいはそんな……。ただのしつけですとも。ええ!」

「しつけですか。それでしたら私たちが関わる問題ではありませんね、ティアラ様?」


 むぅ。ロアーネは問題ないとしているけれど、うーん。女の子はガリガリに痩せているし、ご飯もちゃんと食べてないんじゃないかなぁ。


「ねえ、お腹すいてる?」

「あ、あたいはちゃんと働いた分の飯は食べさせてますですよ!」


 おばちゃんのことは無視をして、猫耳フードの少女の顔を覗き込むと、少女はこくりとうなずいた。

 なので私は散歩の途中で買った穴のないドーナツのようなお菓子を、持たせていたカンバから受け取り、ドーナツの紙袋を少女に渡した。


「これ食べていいよ」


 少女は紙袋と私の顔をいったりきたり見て、そしてドーナツを取り出し目を輝かせた。そして一口かぶりつき、驚き飛び上がった。

 その際に少女の猫耳フードがはらりと頭から外れた。するとそこには、ピンピンに立った猫耳が頭に付いていた。


「ねこみみだぁー!?」

「んにゃ!?」


 猫耳少女は慌てて猫耳フードをかぶり直した。

 待って、ねこみみ、もふもふ、猫耳少女もふもふしたい! 猫耳少女はこの世に実在した! ファンタジーではなかった! ふぬぬ!

 だが私はカンバに羽交い締めされた。


「お嬢様だめです。シラミがうつりますヨ」

「むぅ」


 猫耳との初邂逅なのに世知辛いのじゃ……。


「じゃあ洗って! シラミ取って!」

「洗ったくらいじゃシラミは取れませんヨ。諦めてくださイ」


 むぅ。令和でも子供の髪にシラミが付いたら髪の毛切るもんなぁ。洗ったくらいじゃだめなのか。猫耳もふもふは断念しよう。にゃんこの猫耳で我慢しよう。もふふっ。

 ……にゃんこはノミとか付いてないのかな? 大丈夫?


「ええと、あたいはその……」


 おっと。おばちゃんのことをすっかり忘れていた。


「お腹空いてたらちゃんと働けないし、ちゃんと食べさせてあげて」

「それはええ、もちろんですます!」


 にゃんこは後ろに下げたけど、今度は私の隣に強面のじっちゃんが立ち、おばちゃんはびくびくと震えた。じっちゃん、プライベートだとにっこにこなんだけどなぁ。


「それで、なんで叩いてたの?」

「それはその、その子が粗相をいたすまして……」

「そそう?」

「小便を漏らしやがりまして」


 おしっこを漏らすだと! なんて悪い子なんだ! それはお尻ペンペンの刑だな!


「おしっこを漏らすくらい私もよくする。お尻ぺしぺしくらいにして」

「ええ、いいえ。言っても聞かず、毎週のように何度も漏らすまして」

「私もそのくらい漏らすし」


 ロアーネは指を三本立てた。三日ごとの頻度と言いたいのかこのやろー!


「まさかそんな」

「漏らすし」

「……かしこまるまして。ほらあんた! とっとと奥へお行き!」


 おばちゃんは猫耳少女を叱りつけ、家の奥へ追いやった。

 しかしおばちゃんには猫耳はないし、親子っぽくもなし。どこかの子どもを働かせてるってことなのかな。


「奴隷ではないよね」

「ちがっちがいますよもちろん、ええ! 月の女神に誓います!」


 ロアーネが「もう行きましょう」と私を即した。

 ふむ。これ以上は他人の問題か。ロアーネが問題にしないなら問題ないのだろう。あれ、でもそうかな? ロアーネは結構他人にドライなとこあるからな……。私のこともぽぽたろうで叩くし。

 まあもう行こうか。この辺にはカンバの言っていたような美味しいものなんてなさそうだし。

 ……いや待てよ?

 カンバは美味しいものが貧民街にあるなんて言ってなかった気がする。「目的のものがある」と言っていた。まさかつまりそれは、猫耳少女がいるということだったのではないだろうか!


「どうやら私は勘違いしていたようだ」

「今さらですか?」

「うむ。この問題は根強い」


 猫耳少女たちは貧民街にいるならば、みんなノミやシラミにたかられているということではないか! それでは猫耳少女をなでなでもふもふできないではないか! 一刻も早く猫耳少女たちを救い出し、にゃんにゃんもふもふする環境を作らねばならん!

 私はここに猫耳美少女王国の建国を宣言する!


「またティアラ様が変なこと考えている顔してらっしゃる……」

「む。変なことじゃないもん」

「あの少女を召し抱えようとか考えていたのではないですか?」

「違うもん。猫耳王国を考えてただけだもん」


 私がそう答えると、ロアーネは唖然とした。

 やはり難しいのだろうか、猫耳美少女メイド天国は……。

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