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第53話 危険なコーチョー

「起きてください! ご主人」


「う……ああ……」


 寝るベッドが無かったため、昨日の夜は床で寝ていた。そんな俺をその少女は叩き起こす。


「……さっさとしてください。じゃないとこのエロ本を隠していたことを言いふらしますよ」


「えっ。ちょっと待って。なんでそれ持ってんの?」


「掃除した時に見つけたんですよ」


 仕方なく俺はベッドから出てくる。


「……んで? 何の用だ?」


「朝ご飯を作ったんですよ」


「……は?」


 朝……ご飯……?


「朝ご飯って……何だっけ?」


「いや、レイラさんに作ってもらってたでしょ」


「……ほとんど食べてないからわかんねえや」


 食べたとしても、すぐにタナカのところに行くから覚えてないし……。


「だから、早く来てください」


「へいへい……」


 トンカツはそれを伝えると、部屋から出ていく。


「……さて、俺も行くか……」


# # # # # # # # # # # # # # # # # # # # # # # # #


 うめええええええええええええええええええ!


「なんだ……この料理は……」


「何って……ただの玉子焼きですけど……」


 今まで食べていたものがやばいものばかりだったのもあるが、普通の料理がとてもおいしく感じる。


「俺は……今まで修行をしていたのか?」


「何言ってるんですか?」


 いやあ、食べ物ってこんなにも美しいものだったなんて……。


「これじゃあもうレイラさんのりょ」


「ただいまー」


 危ない、危ない。あともうちょっとでアウトな発言をするところだった。


「……あら、カケルさん。ちょうど良かったです」


「え? 俺になんか用すか?」


「実はあなたに会いたいって人が来てて」


 俺に……会いたい?


# # # # # # # # # # # # # # # # # # # # # # # # #


 教会の外に出てみると、そこには黒髪でメガネをかけた女性がいた。


 スーツを着ているが、スタイルが良いのがわかる。ついうっかりニヤけてしまいそうになる。


「……まったく、こんないやらしい目をする人を連れてこいなんて」


「え?」


 なぜバレたし……。


「単刀直入に聞きます。魔法学校で働く気はありませんか?」


「…………はい?」


 魔法学校?


 確かエルが通っているところだったよな。なんでそんなところに俺が?


「詳しいことは向こうで話させていただきます。とりあえず、着いてきてください」


「まあ……わかりました」


# # # # # # # # # # # # # # # # # # # # # # # # #


 彼女に着いていくと、そこは広い敷地がある学校だった。


 なんだか魔法で物が浮いていたり、高速で移動したりと近未来な風景が広がっている。もう中世ヨーロッパがどうのこうの言っているレベルではない。


「なんか……すげえな」


「こちらの建物です」


 学校の敷地の奥にある別荘のようなところに入る。


 そこは高級感があふれ、別の建物とはまったく違う雰囲気を放っていた。


「……おお」


「こちらの部屋です」


 それは他とは少し違い特別な部屋のようだった。


「失礼します」


 女性はそう言うとその扉を開いていく。


 そこには少し太り気味のおじさんが立っていた。


「誰っすか?」


「こちらは私たちの学校の校長先生です」


「……え? 校長?」


 とりあえずすごく偉い人なのだろう。


「では、私は失礼します」


 俺がその部屋に入ると、女性は部屋の外へ行き扉を閉める。


「え……っと、その……」


「まあ、座りたまえ」


「……じゃあ遠慮なく……」


 俺は校長先生の向かい側のソファに座る。校長先生も高級そうな椅子に座り話し出す。


「君を呼んだのは他でもない。人手が足りないんだ。実は最近、我が校の教師が一人怪我をしてしまってね」


「はあ」


「君には代わりに働いてほしいんだ。なに……それなりの代金は弾ませてもらうよ」


「いやいや……別にそんなに金には困ってないっていうか……」


 まあ、この前エルに買ってやったネックレスがすごい額をしていたのだが……。別に生活に困るほど貧しくはない。


「それに……君もその知識を誰かに教えたいとは思わないのかい?」


「…………」


 その校長を俺はじっと見つめる。


「……どうしてそう思う?」


「いやいや、私の知り合いの医者がそんなことを言っていたからね。ぜひ君に頼みたいと思ってね」


「なんだ。そうだったんですか」


 どこからその情報を知り得たのか疑問だった。まあその医者がシャーロットさんだったら辻褄が合う。あの人の思考おかしいし……。


「まさか、ウィルの母親と知り合いだったなんて……」


「そうだね。それにしても、まさかうちの息子とあの少年が幼馴染だったとは……」


 …………。


 …………ん?


「……その息子さんって?」


「ああ。まだ言ってなかったね。息子の名前はコラード。そして、私はカロルスという名前さ」


「…………え?」


 コラちゃんが、魔法学校の校長の息子?


「ええええええええええええええええええええええええ!」


「いやあ、本当に可愛くて仕方がないんだよ」


「……あ?」


「実は私はマゾなんだ」


「んん?」


 何を言っているんだ? この人は。


「それで幼い女の子に鞭で叩かれたいって思ったんだ」


「思ったんだ……じゃねえよ。なに突然性癖を暴露してんだよ」


「だからね。結構女の子っぽい息子を試しに女装させてみると、まあ可愛いこと。鞭で叩かれるとついイッちゃいそうになったよ」


「誰かああああああああ! 早くこの校長を解雇してえええ!」


「まあ本人も本人で女装を気に入ったらしくて結果往来だよ。でも、やっぱり本物の女の子に攻められたいって思ったんだ。そこで息子のお友達の金髪の子に鞭で叩かれるとまあ気持ちいいこと。ちなみにその子も女王様に憧れるようになったんだよ」


「お前もう黙れよ」


「ちなみにまだまだ話はあるんだけど、聞きたい?」


「聞きたくない」


「あれはコラードが小学生の時、あの子を迎えに行った時の話だった」


 ああ、この人勝手に突っ走っていく。この学校で働きたくなくなってきたんだけど……。


「道端で泣きながら歩いてくる少年を見つけたんだ」


「…………」


「その少年の慰めになるかわからないが、エッチな本を見せてあげた」


「もう教育者やめろよ」


「すると、その少年は元気になり、私の後を追うようになった。まあ、今では私を超えるロリコンになり、聖騎士として毎日頑張ってるんだけどね」


「お前、諸悪の根源じゃねえか」

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