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第51話 笑えば日常が好きになれる

 ギルドに着くと、ルルやチェナがいた。


「あっ! カケ……」


 ルルは俺の後ろの少女を見ると、途中で名前を呼ぶのをやめる。


「大丈夫ですか? まさか女の子をさらってくるなんて……」


「誤解を生むようなことは言うな。こいつはトンカツだ」


「は?」


 ルルは不思議そうな顔をしていた。


 あっ……。そういえば、こいつはトンカツに会ったことがあまり無かったな。


「ほらっ……。教会で一緒に住んでる豚の……」


「え? そういうプレイに目覚めたんですか? そろそろ通報していいですか?」


「ちょっと待てって。それに通報してもウィルみたいなのが来るだけだぞ」


「それもそうですね。この世界終わりですね」


 この世界の住人が言っちゃったよ。それ。


「だから……あれがこれで……」


「ふむふむ」


 いろいろと手短にこれまでのことを話す。


「つまり、女の子(イコール)ペットってことだな!」


「少しチェナは黙ってようか」


 話に入ってきて早くも爆弾発言をしてくるチェナ。


「つまり、シャーロットさんって人の作った薬を、トンカツって名前の豚ちゃんが食べてしまった。そして今に至ると……」


「信じてくれるんだな。ルル」


「は? 信じられるわけないでしょう」


 だよねー。わかってたわ。


「とにかく、その子は私たちが預りますので、カケルさんは刑務所に行って10年ぐらい出てこないでください」


「おい。なんで刑務所に行くことが確定してるんだ?」


 まあ、預かってもらうのは良い案だ。さすがに俺といるよりも、ルルやチェナと一緒にいた方がいいだろ。


「さあ。トンカツ。こいつらと一緒に……」


 あれ? さっきまで後ろにいたトンカツがいない。


「ん?」


 よく見ると、トンカツはチェナと一緒にいた。


 何か本を見せて……。


「き、汚いです。この本、内容が……」


「何を言っている! ホモウはかっこいいぞ!」


 ホモウの魅力について語るチェナと、本を読んで顔を真っ赤に染めるトンカツ。


 ……ちょっと預けるのが不安になってきた。


「おい……」


「……え?」


 後ろから殺気めいた声がした。


「カケル! 貴様ああああああ!」


「……は?」


 その男、魔王オルゴールは魔法で黒い剣を作り、こちらに向かってくる。


「うおいっ!」


 間一髪でそれを避け、剣を押さえる。


「なんで攻撃してくんだよ!?」


「いつから義理の妹など作ったあああああああああ!」


「は?」


 義理の妹? こいつは何の話をしているんだ?


 …………。


「トンカツのこと?」


「あ? トンカツってなんだ?」


「あああ。めんどくせえ!」


 エルのやつ。わかりにくい名前つけやがって。


「あの動物の耳がついた女の子のことだよ!」


「そうだ!」


「ただの女の子を見て、それが義理の妹だと思うお前の頭はイカれてんぞ!」


 瞬間。


 ボゴっ


「え?」


 魔王の背中に、ウィルがぶつかる。


「ぎやああああああああああああああああああああああ」


 魔王とウィルは一緒にギルドの壁に叩きつけられる。すると、入り口からステファニーが入ってくる。


「まったく……同じような変態がたくさんいるんだなあ。この街」


 ……なるほど、ウィルは捕まってしまっていたのか。


「で? 大丈夫か? カケル」


「マジでぱねえっス。ステファニーの姉貴」


「……は?」


 そして、ステファニーはギルドの中を見て、考え込む。


「……そういえば、お前そろそろエルの家行って、勉強教えなくちゃいけないんだろ?」


「えっ……ああ、そうだけど……」


「んじゃ、こいつらは私に任せてそっちに行ってこい」


「いいのか?」


「妹のために頑張ってる人間を助けないわけないだろ」


「…………」


 なんかかっこよく言ってるが、ここに常人が一人もいないのに任せて大丈夫だろうか。


 まあステファニーなら大丈夫そうだけど……。


「……んじゃ、頼む」


「あいよ」


# # # # # # # # # # # # # # # # # # # # # # # # #


「んで、いろいろとお姉様に任せてこっちに来たってこと……」


 エルの部屋でいつも通り勉強を教えた後、さっきまでの出来事を話した。


「ああ。ステファニーならルルとかチェナがいてもちゃんとトンカツの面倒見てやれると思ってな……」


「それにしても不思議ね。動物を人に変える薬って……絶対欲しがる人が出てくるでしょうに……」


「……ん?」


「なんでもないわよ」


 なぜか心当たりがあるように言う。そんなやつ身近にいただろうか。


 不意にエルの首もとのネックレスを見る。


「…………あ」


「ん? どうかしたの?」


「いや……ネックレス。つけてくれてんだなあって」


「…………えっ」


 すると、突然エルの顔が赤くなる。


「どこ見てんのよ! バカ!」


 拳が俺の顔面にぶち当たる。これが結構、力強いんだわ。


「ええ……なんで?」


「知らない! 自分で考えろ!」


 俺はそう言われ、部屋の外に追い出される。


 なんだってんだ?


「……はあ」


 それにしても最近はエルの攻撃が少なくなった気がする。まあ、それでも毎日受けてるんだけどね。


「ちょっとクロトのとこにでも行くか……」


 俺はその部屋の扉を開ける。


「えっ……」


「……んあ?」


 そこには着替え中で下着姿のアグネーゼがいた。


「あああああああああああああああああああああああああ!」


「ぐべぼっ!」


 俺の顔面に手鏡が投げつけられる。


 バタンっ!


 扉をしっかりと閉められる。どうやら部屋を間違えてしまったようだ。


「……まあ、アグネーゼのパンツが見られただけでも良しとするか」


 あのウサギさんが描かれたパンツを……。


「…………」


 ウサギ!?


 ちょっと待て!


 ビッチってのは実際男とあんなことやこんなことをする女のことだよな。そんな女がウサギパンツなんて穿くだろうか。


 否!


 バタンっ!


「おい! アグネーゼ! ごらあ!」


「ぎやああああああああ! 開けてこないでよおおおお!」


「お前! さては本当はビッチじゃないな!」


 その少女は言われたことをしばらく理解できずにいた。


「……ふえ?」


「お前、さてはただ大人ぶりたかっただけだろ!」


「ちょっ。何言ってんの!?」


「処○なんだろ! ごらあ!」


「大声で言わないでくれる! さすがに恥ずかしいから!」


 俺は止まらない。


「だいたいエッチな用語言ってる時からおかしいと思ったんだ! そういうこと言ってるやつほど未経験なんだよ! 童貞の俺でもわかるぞ!」


「あなた自分で言ってて恥ずかしくないの!?」


 恥ずかしくないか……だって?


「恥ずかしくないに決まってんだろ! なぜなら、これからお前で童貞を卒」


「ねえ。カケル」


「なんだ!?」


 後ろを振り向くと、そこにはエルがいた。


 …………え?


「何しようとしてるの?」


「童貞を捨て……」


「は?」


「捨てに……」


「よく聞こえない」


「童……」


「はっきりと言ってくれない? じゃないとこれからあなたの※※を潰してそういう問題を無くしちゃうかもしれないから」


 あ……。こりゃ終わった。


「ふん!」


 めりめり


「うっ……」


 俺はまたもやエルに股間を蹴り飛ばされるのであった。

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