第47話 変態行為は合意の上でやりましょう
「うひゃはははははっ!」
――ルっルっちゃっんっにっ! 会っいっにっ行っくっ!――
「ひゃっほーい!」
グイっ
「あっ……」
バタンっ!
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ギルド前。
全力でロリっ子のもとに向かうこの変態の足をひっかけ、転ばせる。
そして、頭をつかみ事情聴取。
「おい。なにやってんだ?」
「なにって! ルルちゃんに会いに行くんだよ!」
「自重って言葉を知らねえのか?」
こいつ、ステファニーと付き合ってるんだよな。
「頼む! 見るだけだから! ねっ」
「多少の変態行為は見逃すけどよ。さすがに毎日ギルドに来てルルがいるのを確認するのはどうかと思うぜ?」
「…………」
地面から立ち上がったウィルはこちらに言う。
「……君は、そこにおっぱいがあったら、揉むだろ?」
「…………は?」
「……それと同じように、ロリコンの前にロリがいたら、ロリを
観察するしかないんだよ?」
「……ごめん。例えがよくわかんない」
「だから!」
ウィルは足に力を込める。その急な動きに俺は反応が遅れる。
「行くぞ!」
「おい! 待てごらっ!」
一直線にギルドに向かう様はまるで白鳥のよう……。
……いや、白鳥に失礼だな。
「ルルちゅああああああああああん!」
瞬間。
扉を開けると目の前に棒が引っ掛かっている。
「ふんっ!」
ウィルはそれを避ける。すると、数々の木の棒が行く手をはばむ。
「こんな攻撃、簡単に予測できるさ」
次々と現れる棒を避け続ける。それは俺と戦っていた時に習得した技だった。
いや、才能を無駄なところで使うな。
てか、ウィルのためにどんなところにギルドは予算使ってんだ? 早くこいつを収容所にぶちこめばいい話じゃねえか。
そして、ギルドの奥に座るルルのところに向かうウィル。
「ルルちゃん! 待ってて! 今そこに行くから!」
その時。
「んっ!」
「えっ?」
天井から赤い髪の女性がウィルの真上に降ってくる。さすがのウィルもこれは予想できなかったようだ。
「ぐえっ!」
ウィルはあともう少しのところでステファニーに腕を押さえられ、倒される。
グギっ
「あ痛たたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた!」
完全に関節技を決められ、苦しんでいる。あそこまでしなくちゃいけないものなのか?
「ウィル? 別にロリコンなのはいいんだけどさあ。ルルちゃんに迷惑かけるのはやめろって言ったよなあ?」
「だっ、大丈夫。見るだけ、見るだけだから!」
ゴギっ!
「ごげごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
ギルドの入り口でその光景を眺めているが、なんだかステファニーがウィルをちゃんと制御できているようで良かった。
さてさて……面倒なことに巻き込まれないよう、早く退散しますか……。
「カケルさん?」
「…………」
振り向くと、そこにはクロトがいた。
「……今さら、逃げられると思わないことですよ」
「…………え?」
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「ごぶしゅっ!」
クロトに吹き飛ばされ、ウィルの前にやってくる俺。
「やあ……カケル君。そろそろ助けてあ痛たたたたたたたたた!」
「……お前は大変そうだな」
なぜか、ルルが俺の目の前にやってくる。
「カケルさん。これから質問していいですか?」
「はい?」
「最近、女性の胸を揉みましたか?」
「…………」
「実はいろいろと噂を聞いて。気になったので聞いてみたんです」
そう言いつつも、がっつり瞳の中には怒りがこもっている。
まさか……俺はここで粛清されるのか?
だけど、なぜルルとクロトが怒っているんだ?
「……揉んでないです」
その答えを聞くと……。
「クロトさん、この人は?」
「嘘ついてますね。はい」
ちくしょう!
そういえば、クロトは嘘がわかるんだったな。
「誰のを揉んだんですか?」
「…………ウィルの妹のっていうか……半分事故っていうか……」
「クロトさん」
クロトはじーっと俺を見つめる。
「嘘は……ついてないですね」
「そうですか……」
ベジンっ!
「げぶっ!」
ルルは持っていた木剣で俺のケツを叩く。
「まあ、半分事故ってことで一回にしておきます」
「おう……」
つまり、完全に黒だったら容赦なく潰すってことだな。
「うちの妹ならどれだけ手を出しても大丈夫だよ」
ドシュっ! ガシュっ! ブシュっ!
「ちょっ、なんで!?」
ルルとクロトはウィルを蹴り出す。
「さあ、次の質問に答えてもらいます」
「……はい」
もう俺はすべて正直に答えるぞ。だってやましいことした覚え無いもん。
「アグネーゼさんに誘惑された時、ヤッちゃおうとしましたか?」
「…………」
……ああ。詰んだ。
「しました。だって童貞だもん。ちょっとはそういうことに興味があったっていうか……その……」
すると、ルルは木剣をかまえる。
「ちょっと待てって! 別に本気でやろうとしたわけじゃないから!」
「……嘘ついてます。やれたらやってました。この人」
「ちくしょおおおおおおおおおおおおおおお!」
ベジンっ!
「いてえええええええええええええええ!」
突然、ルルは立ち上がる。
「もっと威力を上げる方法って知ってますか?」
「……何を考えてるんだ?」
なんだか……こいつの頭の中はピンク色の風景であふれているのだろう。魔法は使ってないけど、よくわかる。
すると、クロトは俺の体を押さえつける。
「えっ? マジで何すんの? 怖い怖い怖い」