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第3話 希望の少女

「おお! けっこう似合ってんなあ!」


 カケルはウィルの白色の物とは色が違うが、黒色で同じような服を着ている。


「喜んでもらえたなら結構だよ」


 ウィルは笑顔を送り返す。幼女に関わらないことだったら、こんなにもイケメンなのに……。残念だ……。


「そろそろ街を歩きましょう。カケルだってギルドで登録しないと、お金も稼げないし……」


 ギルド。


 そこは様々な依頼が集まる場所で、その依頼を達成することで便利な報酬をもらうことができる。


 他にも、そこで飲食をすることができたり、時々いろんな街を巡る冒険者の集まる場所にもなる。


「登録しておいた方が便利じゃないの?」


「……そうだな。いっちょ行くか」


 そして、私たち3人は教会の外へ出る。


「いやあ。やっぱり中世ヨーロッパみたいな感じだな。この世界も……。ザ・テンプレって感じがする」


「チュウセ……はよくわからないけど、結構歴史あふれる街なのよ」


 私たちは石畳がしかれた道を歩く。そこは多くの人が行き交っていた。


「ぶはっ!」


「……どうしたの? ウィル」


 ウィルが突然、顔から血を流していた。


「大……丈夫。少し……動きすぎただけさ……」


「どこか体が悪いの? …………ん?」


 よく見ると、血は鼻から出ていた。


「……少し、歩くロリの太ももを見ていたら興奮してしまったよ……フフフッ……」


「私の心配を返せ」


 よく普通に道を歩けたな。こいつ……。


「お! もしかして、あそこがギルドか?」


 カケルはその建物を指差す。そこは赤い屋根の建物で、隣には市場が広がっていた。


「え? ああ。うん。そうだよ」


「よおし! 行ってくるぜ!」


 カケルは走り出し、その扉を開ける。


「登録しに来た! 俺の名はカケル! とりあえず金を稼いで自立するためにやってきたぜ!」


「ちょっと待ってよ! カケル! 登録するには試験をしなくちゃいけないのよ!」


 それを言うとカケルは口をポカンと開けながらこちらを見る。


「試験? そんなのがあるのか?」


「うん。あそこの受付でお願いすれば、できるから。あっ。でも手数料がかかるかも……」


「そうか……。ウィル」


 すると、カケルはウィルを呼ぶ。


「どうしたんだい?」


 カケルは指で長方形を作り、ウィルの方に向ける。その行動にウィルは疑問を持つ。


「え? 本当にどうしたの?」


「……いや。何でもない。念のためにな……」


 そのまま、カケルは受付に向かう。それに私も着いていく。


「登録できますか?」


「はい。手数料がかかるんですが……」


「これで……」


「…………これは?」


 そこには一枚のパンツがあった。ついでにウィルが写った写真も渡す。どうやら、さっき念写魔法で写し取ったらしい。


「手数料は……これで……」


「わかりました。ありがたく受け取っておきます」


 そして、券を受け取り、ウィルのところに向かう。


「なあ。エル。冗談のつもりであれを出したんだが……この世界って頭おかしい奴しかいない気がするのは……気のせいか?」


「…………」


 待っていたウィルが私たちの様子を伺う。


「どうだった? けっこう早く受けられたみたいだけど……」


「ああ。お前のおかげでな……」


「……?」


 ウィルは不思議そうな顔でカケルを見つめる。まさか、自分の写真を使われているなんて思わないだろう。



**************************



 俺はカケル。今はギルドの奥に行き、試験を受けるところだ。


 向かった部屋は白い壁で覆われていて、そこにはもう一人、小柄の少女がいた。銀髪とセーラー服が特徴的だった。


 俺を連れてきてくれた管理人が話しかけてくる。


「カケルさんでよろしいですね?」


「はい。カケルです」


「今からあなたはこの少女と戦ってください。それが今回の試験です。……では、私は別の部屋で待機していますので、合図があったら始めてください」


「わかりました」


 その人はこの部屋から出ていく。


 俺は目の前の少女に話しかける。


「なあ」


「ひっ」


「えっ?」


 少女は怯えながらも、あらかじめ支給された木剣をかまえる。


「ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい!」


「いやっ。ちょっと落ち着けって。もしかして、お前もギルドで登録しに来たのか?」


「へっ?」


 少女は一度深呼吸をし、自分を落ち着かせる。


「ええ。実はちょっとした事情でお金が必要になったので……」


「じゃあ俺と同じだ」


「……そうなんですか?」


「俺も金が必要でここに来たんだ。お互い恨みっこ無しで行こうぜ」


「……はい!」


 緊張をしながらも、少女は剣をしっかりと握る。俺も負けずに剣をかまえる。


 その時、天井のスピーカーから声が出る。


『試合始め!』


「よしっ! 行くぜ!……ってあれ?」


「はわっ。はわわわわ」


 少女は剣を振り回しているが、そっちは俺がいない場所である。


「……何やってんだ?」


「ひっ。ごめんなさい!」


「いやいや。大丈夫か? お前」


 俺は少女のある動作が気になる。


「目を閉じちゃったらだめだろ?」


「えっ?」


 俺は魔法を使い、大きな藁の人形を作る。


「これに向かって叩いてみて」


「あっ。はい……おっ……おりゃあああ」


 少女は人形に剣を振りかざす。だが、なかなか剣が当たらない。


 いやあ。俺も剣を初めて持った時、こんな感じだったなあ。


「まずは、しっかりと目を開けて相手を見ないと……」


「……へ? こう……ですか?」


 今度はちゃんと目を開けて剣を振るう。だが、それでも人形に当たらなかった。


 木剣とはいえ、あまりの剣の重さにまだ慣れていないのだ。


「そうだなあ……」


「……え?」


 俺は少女の手を取り、後ろから剣の指導をする。


「こういう感じかな。剣の重さを流すイメージだよ」


「は……はい!」


 剣は人形にしっかりと命中した。すると、少女は笑顔になる。


「お前、もしかして剣を持つのは初めてか?」


「はい。……あまり戦うのが得意じゃなくて……」


「そうなんだ……。わかるよ。その気持ち。俺なんて、始めは剣が重くてうまく持てなかった。むしろ、お前のがうまく扱えてるよ……」


「……ありがとうございます」


 まあ、ただ運動神経がゼロだっただけなんだがな……。


 俺が手を放しても、少女はちゃんと剣を当てられるようになっていた。


「わっ……わああ。やった!」


「おめでとう。よく頑張った……。あっ。そういえば、試験をしてたんだったな」


 そういえば、対決……とはいっても、具体的にどうすれば終わるんだったっけ……。


「すみませーん! これってどうすれば勝てるんですか?」


『あいてに対して寸止めできたら勝ちです』


 スピーカーから声が届いてくる。てか、俺の声聞こえてるんだな。


 正直、この子に勝つのは簡単だ。剣術は俺の専門分野だしな。


 だが、さすがに戦い慣れしていない少女を相手に本気を出すのはなんだか気が引ける。


「なあ」


「はい。なんでしょうか?」


 俺は自分の体に魔力を注ぎ込む。


「俺はこの勝負において魔法で三倍の重力をかけながら戦うよ」


「……え?」


「その代わり、勝ったら何でも言うことを聞いてもらえるっていうルールを追加してもいいかい?」


 まあ、何でもっていっても、俺にはエロいことしか浮かばないのだが……。


 そんなことを考えていると、少女はこちらを見つめる。


「……今、何でもって言いましたか?」


「え?」


 その子は急に眼光を鋭くした。


 瞬間。


「……っ!」


 ギイイインッ!


 剣と剣がぶつかりあい、音が部屋に反響する。


 なんだ……この子は……!


「ぐっおおお!」


 やはり、三倍の重力だと体がうまく動かない。


 だが!


「はああ!」


 少女の剣を弾き、俺はもう一撃剣を振りかざす。しかし、その攻撃は剣で防がれ弾かれる。すると、俺と少女の間に距離ができる。


「……くっ……ははっ。何か……あるな。君」


「どうでしょうか……。でも、私はこの戦いに絶対に勝たなくちゃいけないんですよ!」

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