Ninth Dead G's Grave
快晴。
連日続いていた雨の中、久しぶりに訪れた快晴に、私は気をよくしていました。
「晴れた」
外へ出ます。
マンションを出て、買い物へと行きました。
醤油など、自炊に必要なものを購入して、帰ってきます。
マンションに戻り、一階に着いた頃、妖しく光る何かが、落ちていました。
「……?」
ブローチか何か、赤や緑が混ざったような、少しばかり虹色がかった光を反射しているものが、落ちていました。
目が悪いので、対象の何かに近づいて行きます。
「……ひっ!」
ようやくそれが生き物だと分かった時でした。
太陽の光に照らされたそれが、何らかの虫だと判断した私は適度な距離を取りました。
長い触角、茶色い図体、そして鳥肌が立つほどのおぞましい体。
間違いもなく、それはコキプリでした。
マンションの一階で、コキプリが死んでいたのです。それも相当な大きさの。
もしこれが家で出ていたら小さい悲鳴では終わらなかったでしょう。
コキプリを外で見る分には、そこまで恐怖はありません。
自由に行動できる、自分の家でもない外でコキプリと出くわしたとて、距離を詰めなければ良いのです。
自分にとびかかってくる可能性は、限りなく低いのです。
私はこの晴れの中、ピクリとも動かないコキプリに合掌をし、自分の部屋へと戻りました。
コキプリはどこにでも、いる。