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こびりつく。
17.身分差の恋愛
「この愛を唇で塞いでください」
叶わない恋をした。私が彼を愛する資格などないのに、どうしようもなく好きになってしまった。
「もう我儘は言いませんから」
懇願すると、彼の顔が近づいてきた。目を閉じる。
「やっぱり無理だ」
否定の言葉は、私を奈落の底に突き落とした。
雨の酷い夜の出来事だった。
18.雨に向ける感情とは
突然の雨に降られた。傘の準備もなく濡れてしまう。
高校時代はこんな雨の中でも走っていたことがあったことを思い出した。すごいな、今の私は濡れるだけで憂鬱。
「おかえり」
家に着くと、愛しい人が迎えてくれた。
「大丈夫?」
気遣ってタオルを差し出してくれる。
訂正。雨も、この人がいれば悪くない。