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私の脳裏に
15.思い出すのは幸せな記憶ばかり
「ごめん」
彼氏に振られた。
「僕じゃ幸せにできない」
取り繕ったような理由に頭がガンガンする。
私は貴方と一緒に居られたらそれで幸せだったのに。
雨の中、傘もささずに一人で歩く。涙なのか雨なのかわからないものが頬を伝う。頭を駆け巡るのは、彼との思い出。
その全てがもう、私の手には入らない。
16.昔の恋心
高校時代好きだった人と久々に飲んだ。楽しくて、まるで昔に戻ったような感覚に陥る。
帰り道、小雨の降る中を家まで送ってもらった。どきどきと高鳴る鼓動と、雨が傘に当たる音が重なる。
「そういえば」
珍しく彼から口を開く。
「もうすぐ彼女出来そうなんだ」
瞬間、雨で身体が冷えていくのを感じた。