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走っていくから
95.怒ってくれた方が良かった
4歳で両親が離婚してから、私は女手一つで母に育てられた。その苦労を私に感じさせない母を、尊敬していた。
なのに
「母さんなんか大嫌い‼︎」
半分八つ当たりで、初めて母に暴言を吐いた。言ってから、しまったと思った。怒られる。そう思った。
——けれど母は、ただ寂しそうに顔を歪めただけだった。
96.逃避
気がついたら、彼のことを考えている。
それが嫌で私は日々、自分を追い込んで、彼の追跡から逃れようとする。仕事、勉強、友達との飲み会。何かに打ち込んでいないと私は、彼に縛られてしまうから。
——そうするうちに私は、彼のことを考えなくなった。
一切。全く。それを自覚した時には、もう遅かった。




