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それが
75.くしゃみ
「へくちっ」
喫茶店で彼とお茶をしていると、どこからか小さなくしゃみが聞こえた。
「可愛いくしゃみ」
私はくしゃみを抑えるのが下手なので羨ましく感じる。しかし、「可愛いかな?」彼は不思議そうな顔をしている。
「僕は君の豪快なくしゃみの方が、自然体で可愛いと思うけど」
「……恥ずかしいわ」
76.異動
お世話になった先輩が県外へ異動になった。ショックが大きい。
「泣くなよ」
涙の止まらない私の頭を先輩が優しく撫でる。
「……そんなに寂しいなら、仕事辞めて俺についてくる?」
「何言って——」
余裕な表情がそこにあるかと思いきや、先輩の顔は赤くなっていた。
初めて見る表情に、私の頬も熱くなった。




