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生き方なんて
37.自分が死んでも世界は回る
どうやら私は死んだらしい。
目の前にある自分の死体を見て、その事実を受け止める。
家族の会話から過労死だと知る。誰よりも働いている自覚はあったけど、死んでしまうなんて。会社は大丈夫なのか。
職場の様子を見に行くと、予想以上に業務は円滑に回っていた。
その事実を受け止めるのは、困難だった。
38.車窓の景色
仕事が終わって電車に乗り込む。満員電車の中座れず、足腰の痛さにうんざりしながら窓の外を見つめていた。
河の水。
犬の散歩をしている人。
マンションの窓。
自転車を漕ぐ女子高生。
オレンジの光が反射して、キラキラと輝いている。まるで絵巻物語を見ているようだった。
たまには立ってるのも悪くない。