17/51
そこだった。
33.天使と人間
「腕の中で堕としてください」
天使は涙を流した。
「私は、貴方と結ばれたい」
好きな相手にそう言われて、それでも突き返すなんてことは僕には出来なかった。
力の限り抱きしめる。
「好きだよ」
僕の発した言葉は、彼女の羽を黒く染めた。
——天使にとって、人間と想いを通わせることは堕天を意味した。
34.バレンタインの苦い思い出
彼は甘いものが苦手なので、バレンタインはコーヒーゼリーを初めて作った。けれど苦くなりすぎて、渡すのが怖くなる。
「やっぱり買ってきていい?」
直前にそう言った私に、彼は首を横にふる。ゼリーを口にして一言。
「まずいけど嬉しい」
彼はどこまでも正直者で、来年は成功してみせると心に誓った。




