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立ち止まることだってあった。
25.走れ
歴然とした差を前に、僕はただただ立ち尽くした。
この差があと少しでも小さければ、僕はまだ歩いていられただろうか。
「お前はただ俺から逃げただけだろ!」
そんな僕を認めずに走れと言ったのは、他でもない君だった。
君は僕の手を引き走った。
そのおかげで僕は、いつの間にか誰よりも前を走っていた。
26.夢の中の彼女の真実
「夢路に棄てていってください」
彼女は涙した。
「離れたくなかったけど、もうだめ」
「何のことだよ」
彼女は僕の言葉を遮るように、唇を重ねた。
「さよなら、貴方は生きて」
気がつくと視界には白い天井が広がっていて、僕はベッドに横たわっていた。
交通事故後、彼女は亡くなったと医師から伝えられた。