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時には、
23.不器用で意気地なし
冬は人肌恋しくなるというのは誰しもが同じことだと思う。
好きでもない相手と身を寄せ合って、暖かい春の日が来るのを待つ。
「それって寂しくない?」
彼は私を嘲笑う。
「放っといて」
「あ、そ」
本当は他でもないこの人からの愛を、欲している筈なのに。
素直になれない私は、今日も自分をただ呪った。
24.大人になった少年
「淫らに染めた頬は見納めですね」
言われた言葉にカッと更に顔が熱くなるのを感じる。
なんだ、その官能小説染みた台詞は。
「誰のせいだと…!」
車の窓ガラスが曇っている。それに背徳感を煽られるようで、グッと唇を噛み締めた。
「誰のせいでしょうね?」
笑った彼は、もう昔の少年とは大違いだった。