優しさは時として人を傷つける
あの人はとても優しい
可愛らしい我が儘からヒステリックな八つ当たりまでなんでも応えてくれる
どこそこに行きたい!あれが食べたい!帰りたくないからどこか連れていって!
簡単に
「いいよ」
と応えてくれる
でもそれは私にだけじゃない
ちょっと仲の良かった後輩の女の子
ずっと同じ学校で部活も一緒だった友達
誰に対しても同じ対応をする
泣けば泣き止み落ちつくまで側にいるし
愚痴も聞いてくれる
でも、それは私にだけ特別にしてくれるわけではない
その相手が余程のことを彼にしてなければ
彼は同じ対応をする
彼は笑いながら自分で
「私は八方美人だからね」
なんていう
でも、よくいるうわべだけ取り繕った八方美人なんかと違って彼は最後までその優しさを貫き通す
見捨てたり投げ出したりしない
悪いところは悪いと言ってくれる厳しさも持った優しい人だ
だから彼のまわりには人が集まる
厳しいことも言うから自分に甘い悲劇のヒロインタイプの女の子たちは離れていくけど
彼の本当の優しさを感じた子は離れられなくなる
私みたいに
たまに話題にでてくる後輩の女の子もその一人だろう
私は彼の特別になりたいと思ってる
きっと後輩の女の子もそうだろう
でも彼は特別を作らない
優しい優しい彼は拒絶はしない
でも受け入れてもくれない
彼の優しさは近付けば近付くほど私に傷をつけていく
嫉妬の感情で心がささくれだっていく
それでも私は彼に近付く
もう、彼の優しさがなければ生きていけないほどに依存しているから
彼の優しさは私の心の深い傷を癒してくれた
代わりに今は彼の優しさが私の心に小さな傷をつけ続けている




