リンネ、街に行く
多分次で1章終了の予定です。
朝起きると体全体を覆う圧迫感に襲われていた。目の前には幼い顔をした少女、ティアの寝顔があった。それの理由はわかっている、昨日一緒に寝たのだから。でも、わからないことがある。何故か背中にもう一人の人間の気配があるんだ、振り替えると誰かわかった。そこにいたのは美しいと言う顔の中に未だ幼さを残した少女の寝顔があった。カレンだ。
…………なぜ?
僕が起きて今の状況に困惑してから数分がたった頃、二人が起き出してきた。
ティアはカレンのことを見ると僕を手繰り寄せて渡さないといったようにしっかりと僕を抱き締めてカレンを威嚇?した。
カレンは僕の視線に気がついたのか顔を真っ赤にして俯いてしまった。
でも時々、僕たちの方を見て羨ましそうにしてる。
だから何で?
「ティア様、お食事の時間で……あら?なぜカレン様がここに?」
「な、何でもありません。行きましょう、ティア、リンネ様」
カレンはティアの手を握って部屋から出た。食堂に行くまでの少しの間で何度かカレンがティアに「私にも抱かせてくれない?」って聞いてたけど全部「やっ!」って、断られてその度にひどく落ち込んでいた。
そして食堂につくともうすでにグラノとレヴィさんが座っていた。何か二人から変な匂いがするな、でもこの匂い何処かで…………あ、思い出した森の中で交尾してた狼からしてた匂いだ。香水で誤魔化そうとしてるみたいだけど隠しきれてないよー。
「カレン、ティア。早く座りなさい、始めますよ」
「はい」
「はーい」
それぞれ席に座り、食事を始めた。でも今回は特に話もせずに淡々と沈黙の中食事した。
そのあとはレヴィさんが僕に話があるとかでやっとティアから解放された。
話ってなんだろう。お礼は言われたからあと思い付くのって僕の現状?ってそれしかないよね。
まあ、行けばわかるか。
久しぶりに人間の姿に戻ってレヴィさんの後に着いていく。その間に会話はなかった。
「さて、それでは始めましょうか」
とある部屋についてテーブルを挟んで対面して座る僕たち。なんだろう、少し緊張する。
「それで?話とは?」
「ええ、今のあなたの現状についてです。とは言ってもこれから何をしたいかとかそんな感じですけどね」
「何をしたいか?」
「このまま城の中にずっと居るのは退屈でしょうからこの城をでて街にでて人間として暮らすか、それともこの国を出て他の国を巡るか、その他にも選択肢は幾らでもあります。どうします?」
「どうしますって僕をここに縛り付けておかなくていいの?僕の力を使えばこの大陸を支配下に置くことも出来るかもしれないのに」
「そんなことをすればあなたにこの国は見捨てられるかもしれませんし最悪、滅ぼされるかもしれません。私としてはそのような愚策は取りたくありませんので。それでどうします?」
うーん、急に言われてもなあ…………。取り敢えずは街に行きたいかな、確かにここにずっと居るのはやだし、かといって他の国に行くのもめんどくさいからなあ……。
「取り敢えずは街に行ってみたいかな出来れば案内人も着けてくれるとありがたい」
「わかりました、ではルーナをお供につけましょう。では、ここを出て、街にすむと言うことでいいですか?」
「まだ住むかはわからないよ、何しろ先立つものが無いし、何より収入源がないからな~」
「でしたら冒険者ギルドに行くのはどうでしょう」
冒険者ギルド?ああ、ラノベとかでよく見るあれか、それいいかも。
冒険できるし強い魔物と闘えそうだし、何より冒険者ギルドのテンプレってやつを味わってみたいしね。
「それもいいかもね、ならそこで登録でもして生活するかな、1人の人間として」
「あなたはそれでよろしいので?」
「うん、龍としての僕の力は最上位だからね、それは人間の姿になっても変わらない。それが露見してしまったら日常には戻ることにはできないでしょう。だから人間として力を抑えながら生活していく」
「では、私たちもあなたには極力接触しないようにいたしましょう。そのほうがあなたが目立つことも無く過ごせるでしょう」
「助かるよ、あんまり目立つのは好きじゃないからね」
「それで、何時ごろここを出ますか?」
「今すぐ、でいいかな」
「ええ、問題はありません。部屋で待機していてもらえますか?ルーナを向かわせますので」
「わかった」
そう言って僕はレヴィさんと別れてここに来てから一度しか言ったことのない部屋に戻った。
ルーナさんが来るまでやる事が無いから横になってるか。
「……い、…おい、起きろ」
「ん、んむぅ……」
あれ、俺寝てたのか。ちょっと横になるだけのつもりだったんだけどな。
「おはよう……」
「おはようではない、まったく、これから街へ向かうと自分で言っておきながら寝るとはいい度胸ですね」
「龍は自由気ままなんだよ」
「ふん、まあいい。ほら行くぞ、着いてこい」
呆れたような顔をした後、僕を待たずに部屋を出ていく。
まあ、おいて行かれても匂いでわかるから別にいいんだけどさ。
ま、ついて行こうかな。
ルーナさんについて行って街に行った。
街の作りは以前の通りで、これからの僕たちの予定は、これから僕が家を買うまで過ごすための宿探しと、武器や防具、雑用品を買う店を回って最後に冒険者ギルドで登録してルーナと別れる。そのあとはやっと僕の1人暮らし、冒険が始まるんだ。
「一応、金貨を一枚だけ渡しておきます。それ以外は一切のお金を渡しませんのであしからず」
「金貨って、多すぎない?銀貨でもいいと思うんだけど」
「それでは足りないから渡すと言っているのです。冒険者とは低ランクの時はお金がかかります、自分の身を守るための武具、傷を治すためのポ―ション、野宿をするための道具など必要なものが山ほどあるんだ。しかも低ランクのクエストは報酬が低いのです、一日過ごすことも出来ないくらいに少ない。だから当面の
生活資金も含まれていると思ってください」
「そっか、わかったよ。なら早速行こうか」
「わかった。ついてきなさい」
「わかったよ」
まず先に向かうのは宿屋だ。暗くなってからでは部屋が埋まってしまうから早めに部屋を取っておかなければ泊まれなくなってしまうからだ。
僕が泊まるのは『空の業亭』と言われる場所で、特に高級でもなく、かと言ってぼろぼろなわけでもない普通の宿だ。そこをこれからの宿として決めることにした。因みに料金は朝と夜の食事つきで一泊五十ゲンだそうだ。とりあえず五泊だけの料金を払って武具屋に向かった。
ルーナのキャラが定まらない…………。