表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死人が行く、黒龍転生騒乱記  作者: レキ
第1章 ~成長~
6/16

第四話

本日一本目です


※人化の魔法で他の動物になれると言う点を体の大きさを変えられるに変更しました。

「勢いで飛び出したはいいんだけれど目的がないんだよなぁ」


僕が今まで過ごしてきた洞窟を飛び出し、母さんや兄妹に別れを告げて森を出たわけだが行く当てがない。しかも人化して人の街に行くにしても前に人化したときは服を着ていなかった今なったとしても裸で街に入ることになって逮捕間違いなしだろう。だから街に行くには服を手に入れる必要がある、だが服をてに入れるにしても人に会わなければならない。しかも人間と龍種は会話をすることができないから買うことも出来ないしそもそも金を持っていない。自分で作れるのであれば問題ないのだが僕にはそれができない。


さて、どうしたものか。


そのままいい考えが思い浮かばずただただ考えもせずに飛んでいた。そんな時、遠くの方から金属が擦れあう音が聞こえた。ドラゴンである僕だから聞こえた音だ。何かあったのだろうか、行ってみるか。





その場所へ行ってみると馬車に背を向けて戦っている人間が小さくてあまり見えないけど多分6人くらいかな?それを囲んで十数人の人間がいた。

あれってよくあるテンプレの盗賊襲撃だよね、なら助ければ報酬とかもらえるかも知れないな。

助けるしかないよね。


僕は加速して人間たちの近くに降りる。着地した衝撃で地面にクレーターができたけど気にしないで行こう。

どうやら盗賊たちは13人みたいだな。人間たちは僕を見て、何が起きているのかわからないと言ったような顔になり、状況を把握していったのか次第に顔が恐怖の色に染まっていった。

盗賊が6人その場から武器を捨てて逃げ出していった。

逃がすわけないじゃないか。

地面を踏みしめて逃げ出したやつらの前に飛び出た。龍種って体が大きいから行動が遅いって思われがちだけどそんなことは無い。かなりの速度で動くことができる。


いきなり目の前に現れた僕に腰を抜かしてその場に座り込んでしまった盗賊たち、なにやら股のあたりが濡れてるな・・・。漏らしたのか。

あんまり触りたくないけど仕方ないから上半身だけを尻尾で三人づつ掴みながら元の場所にゆっくりと戻った。なんでゆっくりかって?勢いよく戻ったら人間の体が圧力とかでつぶれるからだよ。


戻って行くとそこには呆然として戦う事も忘れたかのように僕を見上げる盗賊と護衛?達がいた。

いや、戦いなさいよ、僕が気を引いてあげたんだからさ。

て言っても無理か、いきなり目の前にこんな怪物が現れたんだからな。

尻尾に巻かれている盗賊たちは皆気絶しているので残る盗賊たちは7人、ゆっくり1人ずつ近づいて行くとそれだけでさっきと同じように腰を抜かして失禁していた。中には護衛?もいたけど。


そんなこんなで大した苦労もせずに盗賊たちを制圧した僕は馬車に目を向けた。勘違いしたのか僕の前に立って剣を構える護衛たち。勇敢なのは認めるけど足が震えてるよ?


このままでは会話もできないので一旦人化することにした。護衛たちはフルフェイスの兜をつけているからわからないけど多分男だろうから裸でも問題は無いはずだから話は出来るだろう、女性なら話をする前に逃げられるだろうけど。


僕は体に魔力を纏わせて人間の姿を取った。そのことに驚いたような感じだったけど次の瞬間僕の体を見て、


「「「キャ―――!!」」」


辺りに女性の叫び声が響き渡り、護衛たちが顔に手を当てながら馬車の後ろに逃げて行った。

・・・女かよっ!

普通護衛とかって男がやるもんじゃないのか?どうなってるんだこの世界は・・・。


頭に手を当ててため息をついていると馬車の扉が開き、中から恰幅の良い豪華な服を着た男と、薄いピンクのドレスを着て、目を隠してはいるものの指の隙間から僕の体を凝視している顔が羞恥で真っ赤に染まっている少女が出てきた。


え?なに?もしかして僕盗賊と間違われてる!?

そんな疑問を頭の中でめぐらせていると、


「お主はいったい何者なのだ」


とりあえず僕を盗賊だとは思ってないみたいだけどそれにしてもいきなりなんなんだ?


「もう一度聞くぞ、お主は何者なのだ」


なんかいらいらするなこの人、


「名前を聞くときはまず自分から名乗るのが常識ですよ?」


といってもこの世界の常識なんて知らないからわかんないけど多分一緒だろう。


「あいにくそんな身分ではなかったからそのようなことは知らなかったのだ、気に障ったなら謝る。許してくれ」


そう言って頭を下げる男、それを習って同じように頭を下げる少女。


「いや、別にいいさ。僕はリンネ、あなたは?」


「わしはファフタール王国の国王、グラノ・ベル・ファフタールじゃ」


「同じくファフタール王国の王女のカレン・ラーナ・ファフタールです」


・・・へ?国王?普通ここは商人とか貴族じゃないの?なんでいきなり王様なんだよ!

まあいいや、それよりもだけど、


「先ほどの戦いは見てなかったんですか?」


偉い人に対する言葉使いとかわかんないから普通でいいや、ドラゴンだから不敬罪とかにはならないだろうし。


「あいにく護衛たちに外は見るなと言われておったのでな、かなりの衝撃があったことと、途中から戦う音がしなくなって、代わりに大きな生物が歩いているような足音がしたのは分かったがなぜそのようなことになったのか知らんし、そもそもなぜお主が裸なのかもわからん、全く持って意味不明じゃ。にしても護衛たちはどこに行ったのじゃ?」


国王の隣で激しく頷いている王女も同じ意見なようだ。


「あの方たちなら馬車の後ろに隠れていますよ、戦闘に関しては僕が介入したために終了しました。足音とこの格好については今から見せますよ」


僕は国王たちから少し離れ、元の姿に戻った。

それを見て馬車の後ろではまた怯えたような声が聞こえた。国王も龍種の凶暴さや強大さを知っているのか少し顔が青ざめている。それに反して王女の方はまるで恋する乙女のように頬を上気させ、顔から手を離して僕の姿に見入っていた。

そこまで熱心に見られるとなんだか背中がむずむずするような感じがしたのですぐに人間の姿に戻った。

ちなみに王女は10人が見て10人が振り返るほどの美少女だった。


「これで理解してもらえましたか?」


「あ、ああ。わかったよ。ところで服とかを着てもらえないかね、護衛たちがお主が裸のままだと恥らって出てこれないみたいなのでな」


少し青ざめながらも困ったように提案してくる国王、服をくれるって言うなら着るけどさ。


「僕はもともとが龍だから服は持ってないんですよ、服持ってませんか?」


「今すぐ持ってこさせよう」


馬車の中にいるメイドに僕が着れそうな服を持ってこさせてそれに着替える。だいぶダボダボだったけど着れないわけでもないので借りることにした。

着替えた後は馬車の後ろに隠れていた護衛たちを呼んで、僕にお礼がしたいから国に来てほしいと言われたので馬車に乗ってファフタール王国に行くこととなった。

護衛たちの顔は兜で見れなかったけど彼女たちの視線は僕の一部に集中していた様な気がする。




「なんで護衛たちって女性だけだったんですか?」


「あの者たちは国の近衛騎士団の1つの『白百合の騎士団』と言う騎士団で、カレンが男ばっかりだと居心地が悪いだろうと考えて選んだのだ」


「騎士団の1つってことは他にもあるんですか?」


「あるにはあるのだが詳しくは言えんのだ、何しろ諜報部などもあるからの」


「ま、そりゃそうでしょうね」


「今度は此方から聞いてもよいか?」


「なんです?」


「お主のように人の姿を取れる龍はいるのだろうか」


「いますよ」


自分で聞いておきながらびっくりしている国王。


「その龍たちはどこに?」


「さあ?」


今度は肩透かしでも喰らったかのような顔をする国王。

見ていて飽きないなこの人。


「見つけることはできないのか?」


「わからないです。何しろ同族を見たことが無いので」


「そうか・・・」


「では次は此方から、なぜ王族であるあなたたちがあんな場所にいたんです?」


「隣国との交渉でな、貿易に関する事柄などを話し合ってきたその帰りだったのだ」


「貿易、ですか。そりゃまためんどうだ」


「お主わかるのか?龍種なのに」


「なんとなくはですがね、ちなみに僕のことをお主って呼ぶのはやめていただきたいんですけど」


「わ、わかった。ではリンネ殿、あなたはなぜわしらを助けてくれたのだ?無視していくことも出来たはずだが」


「人間の街で生活するにはまず服が必要じゃないですか。だから人を助けて服を譲ってもらおうかと」


「ふむ、ではなぜ・・・」


次の質問が来る前に御者が国についたと知らせてきたので一旦話を切り上げることにした。




ファフタール王国は人口2万3千人ほどの国で海に面しているため漁業や貿易が盛んで、塩の生産量が多いことも特徴的な国らしい。それに港もあり、ほかの国々のものなども市場に流れているそうだ。

治安もそれなりに良いがもの凄く良いと言うわけでもないので夜間に女性が外出するのは危険なようだ。

街の作りは上から見ると海に面して半月のような形で、街の真ん中に王城があるらしい。


壁門を抜け、一直線に王城まで続く道を馬車で進んでいると、馬車の窓からこの馬車に向かって手を振っている市民がいた。馬車の中では国王と王女が市民に手を振っていた。信頼されてるんだなぁ。


そんな光景を見ながら寛いでいるとあっという間に王城についた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ