第三話
最後の方はシリアスです。
結構めちゃくちゃかもしれませんがそこはご容赦願いたいです。
※人化の魔法を応用すれば他の動物になれると言う部分を変更して、体の大きさを変えると言う風に変更しました。
僕がこの世界で生まれて15年が過ぎた。やっと成龍になり、魔法が使えるようになってやっとファンタジーの世界みたいになってきた。
この世界の魔法には8種類の属性がある。それらは火、水、土、風、氷、雷、闇、光があり、それぞれの属性には上位変化があり、火なら火炎、水は水流、土は土石、風は突風、氷は氷結、雷は雷鳴、闇は暗黒、光は神聖へと訓練していけば上がり、強くなる。
ドラゴンにはそれぞれの属性があり、そのそれぞれに最上位のドラゴンがいる。
闇の系統のドラゴンでは、ダークネスドラゴンである僕がそれにあたる。僕が使えるのは暗黒魔法が使える。
そして今、僕は8年くらい前から一緒に住んでいるツクモ母さんに人化の魔法を教えてもらっている。
母さんと言うのは、何年か前に子ぎつね達が人化することができた時に、一緒に言葉も覚えた。その時に僕のことを兄と呼ぶようになった。その時に母さんが「もう家族でいいんじゃないの?もう何年も一緒に住んでるんじゃしの」とかいってきたのをきっかけに家族となったってわけだ。
「ほれほれ、もっと集中せい」
魔力と言うものは体の中にある心臓で作られている。だから心臓が動いている、つまり生きている時は常に魔力が作られていると言うわけだ。魔法を使いすぎると魔力欠乏症になり、長時間の身動きができない状態になり、最悪死にいたる。
だからこそ魔力の操作を上達させ、極力無駄な魔力を使わずに魔法を使用する必要がある。それらは人間などの人型の種族が該当するだけで、僕たちドラゴンや、母さんみたいな個体には当てはまらない。魔力がなくなるのは同じだが、死ぬわけではないし、動けなくなるわけでもない。ただ体がだるくなる程度ですむ。
それに僕や母さんたちは生まれ持って魔力操作に長けているため、訓練する必要もない。けれども魔法は違う。知識がなければ実行することも出来ないし、イメージが無ければ発動されない。だから他の生物に教わるしかないのだ。人間たちはどういう風に魔法を知るのかは知らないが、母さんたちは親に教えてもらうそうだ。でも龍種は違う。
龍種は卵を産むとすぐにその場からいなくなってしまうため親が子に教えることはない。だから卵に魔法のことを書き込んでおくのだと母さんが言っていた。
だから僕も基本的な知識や魔法は知っている。けれども人化の魔法は基本とはこと離れた魔法なので僕は知らない。
人化の魔法は魔力を体に纏わせて自分の形を人の形にすれば人間の姿になれる。これを応用すれば龍の姿のまま体の大きさを変えたりすることもできる。
言葉にするのは簡単だが、本来なら僕は人の形は見たこともないので形成するのが難しい。だが、前世では人間だったためそこまで難しくも無かったりする。
僕は前世の自分の顔などを思い出してそれを自分の体に纏わせる。次第に体が縮まっていき、ついには人の形になった。
「やればできるではないか」
「まあね」
「ならばこれで教えることは無くなったな」
「母さんは暗黒を使えないからね」
母さんは火炎の属性しか使えないため、僕に暗黒の魔法を教えることができなかった。そのため、属性と言うものがない、魔力のみの魔法である人化の魔法を教えてもらったのだ。
「我は少し眠るでな、兄妹の面倒は頼むぞ」
「はいはい」
そう言って洞窟の中に入っていく母さん、それとは逆に洞窟から出てくる昔より結構大きくなって、尻尾が3つになった妹と弟が出てきた。まだ人化の魔法は覚えていないため、狐のままだ。
「あにさま~」
「にいさま~」
どんどん近づいてくる妹たちを受け止めるため、元の姿に戻り、待ち構える。
妹の名前はミコトで、弟の方がミカゲだ。
二人が僕の背中に飛び乗り、
「あにさま、空飛んで~」
「飛んで~」
と言うので、翼を羽ばたかせ、黒く染まった空へと舞い上がった。
「落ちるなよ~」
僕はミコト達を乗せて、そのまま長い時間飛び回っていた。二人は終始興奮した様に背中ではしゃぎまくっていた。
「リンネ、お主は旅に出ないのかえ?」
次の日の朝、母さんがいきなり僕にそう話しかけてきた。
僕は唖然としてしまって母さんの顔を見ながら固まってしまった。
「なんで?」
「龍種と言うものは成熟すると生まれ育った場所を離れ、旅に出るのじゃ。下位のドラゴンは本能のままに旅立つが、お主のような最上位のものは知識を得ようと旅に出る。最上位の中には人に紛れて生きているものもおるようじゃしの」
そう言うものなのか、確かにここにいるだけでは得られる知識も限られてくるし、最近ではこの森の魔物では戦う相手に物足りなく思ってしまったいたところだ。旅に出ると言うのもいいかもしれない。もともとは人間だから人のいる場所で暮らすのも困らないだろうしね。
「そうだね、行ってみようかな」
「あにさまどこかに行くの?」
後ろからミコトの悲しそうな声が聞こえてきた。今の会話を聞いていたのだろう。
「うん、行こうと思ってるよ」
「なんで?ミコトのこと嫌い?」
ますます悲しそうな顔をして詰め寄ってきた。
ちがう、そういうわけじゃない。
「そうじゃないよ、僕はミコトのこともミカゲのことも大好きだよ。もちろん母さんのこともね」
「じゃあなんで?」
「世界を見てみたいんだ。この森では解らないこと、この森では会えない強い奴、この森にはいない人間たちを見てみたい、だから行くんだ」
「ならミコトもいく!あにさまと一緒に行く!」
やっぱりそう来たか、漫画でも兄妹の別れとかではよくあるからなぁ。
「だめだよ、外は危険がいっぱいなんだから」
「ミコトも戦える!だから大丈夫だから!」
「だめだ」
「行く!行くったら行くの!」
「ミコト!」
いきなり大声を出した僕にびっくりして身を強張らせていた。
「ごめんね、連れてはいけないんだ。本当にごめんね」
「ううっ、やだぁ・・・」
ついには泣き出してしまったミコト、魔物、と言うか動物のような見た目だから分かりずらいが、同じ魔物である僕には表情が分かる。顔は悲しみに色塗られ、涙を流し、声も震えている。次第に僕も寂しくなってしまって僕の瞳からも涙が流れてきた。
「ミコト、我慢してね。僕も寂しいけど、いつかまた会えるから。その時はまた一緒に遊ぼう」
そう言ってミコトの頭を前脚で軽く撫でるとミコトは泣きながらではあるものの、笑ってくれた。
「わかった。ミコトが大きくなったら探しに行くから。見つけたらいっぱい遊んでね」
「わかったよ、じゃあねミコト。母さんも、ミカゲに伝えておいてね」
僕たちを見守っていた母さんの頬には涙が流れた跡があった。僕はその言葉を最後に、生まれ育った洞窟を飛び立った。
やっぱりシリアスは苦手ですね。
魔物は魔物の表情が分かりますが人間の表情は解りません。
逆に人間は魔物の表情が分かりませんが、中にはなんとなくわかる人もいるみたいです。これは他の人型の種族にも言えることですが、ドラゴンの上位種以上はどちらの表情もわかります。中位以下は魔物の表情しかわからないものもいれば、人型の表情しかわからないものがいたりとまばらです。