奴隷の価値
今回は短めです。
ランデール商会からの帰り道、ふと裏路地の方から男の荒い息遣いと女の悲痛な呻き声が微かに聞こえてきた。周りを見てもそれに気がついた様子の人間はいなかったので結構深い所から聞こえてきているんだと思う。
普段僕の聴覚は人間のそれと同じ様に感じとることができるんだけど、遠くの物音や小さな声だけをはっきりと聞こえるように出来ているから周りの反応を見ないと区別がつかないときがあったりする。
なんか気になるな、もし、強姦されているんだとしたら助けないとだよね。
見捨てることも出来るけど流石に罪悪感が湧くんだよね。
「ねえ、何してるのさ」
声がした方に向かってみるとそこには、外であるにも関わらず下半身を露出している男と、粗末な服を着て、ぐったりとしながら座り込んで、首に白い首輪をしている女がいた。
「なにって、ナニだが?」
「いやがっているじゃないか、止めてあげなよ」
「何でだ?こいつには断る権利なんてものは無いんだぜ?」
「それは何故?」
「こいつが俺の奴隷だからだ」
「奴隷?」
あの、よく小説とかで出てくるあの奴隷か?この世界にも存在するんだな。
「ああ、首輪が着いてるのが分からねぇのか?」
「首輪……それが奴隷の証?」
「なんだお前、知らねぇのか?」
「僕は最近まで森の中で過ごしていたから常識とかは知らないんだ」
「ふーん、なら教えてやるよ」
その前にズボン履いてくれ。
「奴隷ってのはな、基本的に首輪をつけてる、白なら一般奴隷、黒なら犯罪奴隷、青なら高級奴隷、赤は戦闘奴隷ってな具合に別れてる。一般奴隷は戦闘が出来ない奴隷、犯罪奴隷はその名の通り犯罪を犯してなった奴隷、戦闘奴隷は戦ったり護衛をしたりするのに向いてる奴隷、高級奴隷は異種族だったり、美人でその上処女だったりする奴隷だな。奴隷には人権なんてものはない、単なる物として扱われてる、だからと言って殺したりするのは無しだがな。その他には奴隷の衣食住を整えないと主人が捕まったり、奴隷が罪を犯すと主人の罪になって捕まるくらいか。ただ、奴隷を犯すのは契約するときに了承しているから問題はないんだよ」
「ふーん、でもその人嫌がってるよ?」
「これが嫌がってるように見えるか?」
男が女の顔をこちらに向かせると、その顔は恍惚とした笑みで満ちていた。
え?なんで?
「こいつはアレな趣味があるからな、つまりはそう言うことだ」
「あ、そう。なんかごめんなさい」
「いや、別にいいさ。俺らはもう行くぞじゃあな」
そう言って男は女の手を引いて何処かに行ってしまった。
色んな人がいるんだなぁ。
それにしても奴隷か、僕も一人は寂しいから買ってみようかな。それに、僕も前世からの童貞を卒業したいしそう言う目的でもいいかもしれないなぁ。
一応、値段だけでも見に行ってみようかな……。
次回は主な登場人物の紹介を書くのでどれだけかかるかわからないので未定です。